その他のテーマ

当研究室では,その他にも様々なテーマについての研究を行っています。

ここではその一部を紹介します。


ポリグルタミン病

アルツハイマー病,パーキンソン病,筋萎縮性側索硬化症 (ALS) に代表される神経変性疾患は,それぞれ様々な脳領域の神経細胞が原因不明で脱落・変性する疾患群の総称であり,そのほとんどは有効な治療法がない。当研究室ではその中でもポリグルタミン病と呼ばれる一群の神経変性疾患に焦点を当て,分子治療法の確立をめざした研究を行っている。

ポリグルタミン病では,異常伸長ポリグルタミン鎖をもつ変異蛋白質が,難容性の凝集体を形成することが発症に深く関わっていると考えられている。我々は,ポリグルタミン蛋白質が凝集体を形成するメカニズムを解明すると共に,凝集体形成の阻害をターゲットとした治療法を開発している。我々は,異常伸長ポリグルタミン鎖に選択的に結合するペプチドQBP1を見い出し,QBP1が試験管内,培養細胞,さらにショウジョウバエモデルにおいてポリグルタミン蛋白質凝集体形成を阻害し,神経細胞死を救済することを示した。現在,マウスモデルでの治療効果の検討を行っており,新たな分子治療薬として期待されている。

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                                              図1.  アミロイド様線維を形成するポリグルタミン蛋白質の原子間力顕微鏡像
                                              図2.  ポリグルタミン蛋白質の凝集体 (白矢印) を形成するCOS-7細胞
                                              図3A.  複眼色素の脱落を起こしたポリグルタミン病モデルショウジョウバエ
                                              図3B.  QBP1の発現により色素の脱落が抑制されたモデルショウジョウバエ

 


Bone Metabolism

骨の再構築は,骨吸収を担う造血系の破骨細胞 (osteoclast) と,骨形成を司る間葉系の骨芽細胞 (osteoblast) により調節されている。破骨細胞による骨吸収は,プロトンポンプを介して放出される酸による無機成分の溶解と吸収,およびシステインプロテアーゼやマトリックスメタロプロテアーゼを中心とした蛋白質分解酵素による有機成分の消化と吸収によって起こる。

当研究室では,小胞体からゴルジ体への蛋白質輸送阻害剤を用いて破骨細胞依存性骨吸収に及ぼす効果をPit assayにより調査し,同阻害剤の骨粗鬆症などの骨吸収亢進性疾患に対する治療薬としての可能性を探る。

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