アフリカ睡眠病の新規治療薬の開発
Trypanosoma brucei (T. brucei) は,人間や家畜に感染する寄生虫である。T. bruceiは,ツェツェバエと呼ばれる吸血種のハエを媒介し,人畜の体内に侵入する。体内に侵入したT. bruceiは,最終的に脳脊髄液に到達し,不眠症や失語症を引き起こす。この感染症はアフリカ睡眠病と呼ばれ,現在5000万人のヒトと1億5000万頭の家畜が被害を受けている。アフリカ睡眠病にはいくつかの治療薬が存在するが,いずれも副作用が強く,現状では有効な治療法が未だ確立されていない。
当研究室ではT. bruceiのゲノムライブラリを利用して,T. bruceiの生命活動に重要な酵素のクローニングを行い,この酵素の酵素化学的,あるいは構造生物学的な知見から,T. bruceiに特異的な阻害剤の開発を目指し研究を行っている。