応用生物科学科・専攻の研究グループ
研究グループ紹介
植物分子育種学研究グループ
分子育種とは遺伝子組換えやゲノム編集などの遺伝子改変技術により新しい植物を開発することです。しかし、分子育種により成長を早めたりストレス耐性を付与したりして植物の潜在能力を最大限に引き出すには、遺伝子の働きについて分からないことがまだまだ沢山あります。私たちは分子育種に役立てることを念頭に、遺伝子の発現調節メカニズムについて分子生物学的手法を駆使してモデル植物を用いた研究をおこなっています。
機能ゲノム科学研究グループ
ゲノムの理解に基づく研究は、生物の仕組みや成り立ちを解明し、生物の改良を何倍にも加速できるため、現代科学の基盤となっています。機能ゲノム科学研究グループでは、共生寄生による生物複合体や、動植物の表面や内部に形成されている大規模な微生物集団の機能に注目し、多様な生物集団に創発する新たな機能のゲノム科学的研究を推進します。論理的思考とバイオインフォマティクスの習熟により、様々な業界で活躍できる能力を養います。
細胞分子生物学研究グループ
細胞は生物の基本単位ですが、細胞が機能する仕組み、生物を成り立たせる仕組みには、まだまだわかっていないことが多くあります。細胞分子生物学グループでは、「細胞から世界を読み解く」をキーフレーズとし、動物・植物両方の細胞を研究対象として、細胞の新しい機能を明らかにする研究を行います。さらにその知見をもとに、植物・動物の病気の発症の仕組みや、植物の生長の仕組みを明らかにします。
代謝機能学研究グループ
人類社会は、生物が代謝機能によって作り出した様々な物質を、エネルギー資源や食資源として利用することで発展してきました。本研究グループでは、メタボロミクスなどの高度な分析技術を用いて、多様な遺伝子や酵素が担う未知の代謝機能の潜在能力を解明し、21 世紀の持続可能な社会の構築に貢献する研究と人材育成を目指します。
植物栄養学研究グループ
植物は土壌からミネラル(無機栄養素)を吸い上げて育ちます。植物栄養学研究グループでは、植物とそれをとりまく土壌微生物の持つ巧妙なミネラル獲得・利用能力を、遺伝子・タンパク質 ( トランスポーターなど)・細胞・個体・フィールドにわたる幅広いレベルで探求します。そしてミネラル獲得・利用能力の高い作物の育種や新たな生産技術へ応用し、持続可能な未来の農業・環境に貢献します。
植物病理学研究グループ
世界で毎年10 億人分の食料損失をもたらす植物の病気の防除が最終目標です。防除が難しい土壌伝染性糸状菌と植物ウイルスによる病害について基礎から応用まで体系的に研究しています。病原体の同定・分類と生態解明、発病抑止生物資材の開発、さらには発病メカニズムの解明や病原微生物の有効利用法の開発など、最新技術を駆使した研究を通して未来の植物医師を育成します。
遺伝育種学研究グループ
生物を遺伝的に改良して新しい品種を作ることを育種と言います。世界中の植物種(多様性の高い野生種・栽培種)をもとに、持続可能な農業と社会の役に立つ植物の育成を目指しています。例えば、植物がDNA 配列を変化させずに環境の変化を次の世代に伝える「記憶」の仕組み、「開花」の仕組み、交雑を妨げる「生殖隔離」の仕組みなど、育種に関する様々な現象について、バイオエンジニアリングや分子遺伝学的な手法を使って研究しています。
食料安全科学研究グループ
遺伝子組換え作物に加えて、ゲノム編集技術を含む新しい植物育種技術を利用した作物の開発が進んでいます。これらの新技術を社会で活かすためには、安全性に関わるデータの提供と消費者・生産者・事業者とのリスクコミュニケーションが不可欠です。私たちは、新技術を適用することで生じる植物の変化を主に代謝産物の網羅的解析を通じて評価するとともに、科学的根拠に基づいた安全性の議論に役立てることを目指します。
園芸生産学研究グループ
野菜や果樹など園芸作物は私たちの生活に欠くことのできない重要な作物です。園芸作物は、圃場以外にもハウスや植物工場などの施設でも栽培されます。栽培や加工方法を工夫することにより園芸作物の利用価値を高めることができます。高品質・高付加価値な野菜や果物を安定して生産するための栽培技術や環境制御技術、園芸作物の貯蔵技術や加工利用技術などの開発を目指して研究します。
栽培管理学研究グループ
作物を安定的に生産するためには利用する作物の特性を十分に知ることが重要となりますが、加えて作物生産に利用する土地の環境の違いを把握して、環境に適した作物の選択や環境に応じた栽培管理が必要となります。本グループでは降水、日射、温度、土壌、雑草、共生生物などの種々の環境要因に対する作物の応答反応を明らかにして、作物が最大限のパフォーマンスを発揮できるような栽培管理法や生育制御技術を研究します。