ごんたインタビュー

デンキのヒーロー・インタビュー企画!



ごんたが語る!

演出。劇団カオス(公演当時)。

――デンキのヒーローのストーリーを初めて読まれた時、どう思われましたか?
 脚本が(今年の1月くらいに)届いたときに、ついに来たか第3弾!と思いました。で、そこでまず脚本を開きました。う~ん、長いから後にしよと脚本を閉じました(笑)。
 しっかりと脚本に目を通したのは、演出を担当することが決まった6月中旬くらいですかね。そこで読んだときに、本多さんの長編脚本では初めての大阪の話、関西弁の脚本で、いっぱい関西の笑いのオマージュをしてはるんやなっていうのがよく分かりました。
 僕も吉本新喜劇をちっちゃいころにはほぼ毎週欠かさず見てましたので、親しみのあるコメディができるな!っていうワクワク感がありましたね。僕はコメディ大好きっ子なので、演出やるならコメディやりたいって思ってましたし。なので、当初、脚本を読んだときはやる気に満ち溢れていましたね・・・。
 やる気に満ち溢れていたってのをカッコいい言葉で表現すると・・・(間)。えっと・・・(長い沈黙)。・・・やる気に満ち溢れているってのをカッコいい言葉で言うと何になりますっけ?・・・(間)。え~っと、とくにかく、ですね、なんていうか、モチベーション。そうモチベーション!が上がりましたね。

 脚本を読んでて、今回、本多さん、苦戦されたな・・・と思いました。というのは、本多さんの脚本には「エデュ」(※エデュケーション=教育)要素と「コメディ」要素があるじゃないですか。いままでのエデュテイメンツ公演(継ぐまちファクトリーとショッパーズ・ハイ!)では、エデュのシーンとコメディのシーンがあって、ここはエデュ、ここはコメディって、シーンごとに切り分けられてましたよね。
 でも今回の劇では、それを(苦労して)ミックスされてましたよね。だから、その意味では、ずっとコメディシーンが続くんです。なので・・・、僕も苦戦しました(笑)。演出はすごく難しかったですね。1つのシーンのなかで、エデュとコメディの区切りを付けていくのが。

 あと、脚本読んだときに、マネーさん(おがわさん演じる真鍋役)をやりたいなと思いましたね。演出しながらマネーさん役で役者として出ようかと。役者の数が揃わなければ、役者兼演出というのも考えていたので。
 でも、ありがたいことになんとか役者が集まってくれたので、僕は演出だけをやることにしました。たぶん演出しながら役者をやっていたら、僕の身は滅びていたと思います(笑)。
 マネーさんをなぜやりたいかというと・・・、だってマネーさんってカッコいいじゃないですか!いままでの公演では島﨑さんだったり、ポンさん(※辻川さん)だったり、必ず悪役が登場してきましたよね。僕は悪役の大ファンなので!
 でかい権力が悪役になりがちな本多脚本のなかで、今回は単純に考え方の違うやつが出てきて、主人公と対峙するというパターンですね。今回、善、悪というよりも、温かみと冷たさのコントラストがしっかりと出た脚本だと思います。


――演出するうえで気を付けている点などあれば教えてください。
 役者同士が楽しく演技をしてもらうように気を付けています。アドリブをたくさん入れてもらったりとか、ある程度演出を役者に任せたりとか。
 やっぱり、大阪のコメディなので・・・(間)。大阪のコメディだから・・・(長い間)。・・・って言ってみたものの言葉が出なかったです(笑)。
 えっと、そう、大阪のコメディなので、素で楽しいと思って演じてもらわないといけないと思うんです。役者さんが楽しんでいるのを見て、楽しそうやな、楽しいな~ってなるみたいな。
 ですので、誰かがガンガン悪ふざけでやってるアドリブを僕はガンガン取り入れてます。今日の稽古でもそうでした(笑)。

 演出で迷ったとき、役者にがっつり投げましたね。シーン10(※脚本の中のシーンの1つ)はほんまに迷ったんで、1回がっつり投げてみたら、(役者の)ガチの会議が開かれて、こうすればいいんちゃう?ああすればいいんちゃう?という意見がたくさん出て助かりました。
 今回、演劇歴が僕より圧倒的に長い役者が何人もいますから、ポンポン意見が出て、まとめてくれて、ありがたかったです。役者に助けられてますわ~。ほんま役者に助けられてますわ~(笑)。
 役者に演出も考えてもらうっていうのは、当初からのプランではなく、稽古を進めていくうちにそうなりました。もともと僕は迷うタイプではないので、ポンポン決めていけると思ってたんです。けど、考えるべきことが20個とか30個とかになってきて、最初のほうはポンポンポンって決めていってたんですが、頭が回らなくなってきて・・・。もう(役者に)任してもええやろって途中で思ってきて。まあ、大先輩が多いんで(笑)。
 そのやり方は結果的には成功でしたね。でも、きっと役者にはこの演出、テキトーすぎるやろって思われてるんじゃないでしょうかね。こいつ~!って思われてるんでしょうけど、まあ・・・許してください(笑)。演劇はみんなでつくっていくもんなんでね(笑)。


――デンキのヒーローの見どころについて教えてください。
 たぶん、いや絶対に、本番中、役者たちが、僕がいっさい指示してこなかった演技を勝手にやると思うんですよ。自由な演技というか、アドリブを。それが見どころですね。
 この前、初めて全シーンを通してやってみたんですけど、稽古中にやってたやつと全然違うことをやり始めていたので(笑)。単に覚えていなかったというよりも、その場のノリで意識的に全然変えてるというのが結構あったんで、例えば、っていう言葉(※ネタバレなのでカットしました)なんて超絶期待してたやつでしたね(笑)。
 固くなってるところ(※脚本どおりの決められた掛け合い)にそういうアドリブ的なやつがスッと入ってくると、役者たちの屈託のない笑顔が見られて、素で楽しんでいる雰囲気がしっかり出てきますね。演技は自然に自然に、と指示はしてますけど、なにそれ?みたいなアドリブ的なものが急に入ってくることで、結果的に自然な演技になると思います。えっと・・・、大丈夫なんですかね、この僕の理論は?(笑)

 あと、今回、映像協力でSHK(大阪市大の放送部)さんに座組に参加してもらっているので、映像に注目してもらいたいですね。
 ヒーローショーも見どころですかね。初めてああいうアクションの演出をしたので、見どころというか、本番うまく決まってくれたら嬉しいです!
 ヒーローショーやりたいなってのは劇団カオス内でもずっと言ってたことなんで。照明と音響が付くことで、さらに見ごたえのあるものになるんじゃないかなと思いますので、ぜひ楽しみにしてほしいです。僕も楽しみにしています!


――最後にお客様へのメッセージをお願いします。
 JR阪和線が混むので、なるべく早めにご来場をよろしくお願いします!
 開場後にプロモーションビデオ(※SHKさんが今回のために制作)を会場で流そうかという案も出ております。早めに会場に来ていただければ、そういうものも楽しんでいただけますし、良い席で演劇を楽しんでいただけますので。ぜひ。
 田中記念館は広いので、端っこの席はおススメできないですね。なるべくど真ん中の真ん前の席を取って見てください。

 あと、お帰りの際には、なるべくカンパ箱にお札を入れてほしいです(笑)。冗談ですよ。
 お帰りの際にはですね、役者たちがお見送りをしておりますので、役者さんとしゃべっていただいて、僕らに、よくやってたよ~って誉め言葉をあびせてください。それが・・・、えっと・・・お客さんの・・・お客さんの仕事だ!(笑)

 実在の電器屋さんとか、実際の化学物質過敏症の方々の話をもとに、今回の演劇をつくっています。今回の脚本のモデルとなった(有)フサモトの房本社長のお話、さらには、化学物質過敏症患者の入江さんのお話を役者やスタッフで直接聞かせていただきました。演劇が終わってから電器屋さんのことや化学物質過敏症のことについてちょっともでも興味を持ってもらって、帰りがけにカフェにでも立ち寄って、この話題でダベるみたいなことをしてもらえたらありがたいですね。