南乃南インタビュー

演出・役者・裏方が語る!「ショッパーズ・ハイ!」の見どころ



南乃南が語る!

正代役・演出補佐・衣装メイク。劇団カオス出身・大阪市大4回生(公演当時)。

――ショッパーズ・ハイ!の脚本を初めて読まれた時、どう思われましたか?
 まず、すごいな!というか、早いな!と思いました。本多先生の書くスピードが(笑)。
 継ぐまち(※昨年の公演)が終わってすぐにもう書き終わられてましたよね。もう2作目があるらしいって聞いて、みんな、ザワってなりました(笑)。

 私も脚本を書いたことが1回あって、高校のときだったんですけど、すごい苦労した覚えがあって。全然書き終わらないし、辻褄も合わなくなってくるしで。それで締め切りに間に合わなくって、学校休んだこともあったんです(笑)。
 だから、先生すごいな!と思いました。もちろん、論文を書かれたり、本を書かれたりしているので、文章慣れされているというのはあると思うんですけど、お話を書くというのはそれとは違うと思うので。

 内容的には、正直、最初読んだときは、難しいなと思いました。
 専門用語も多かったので、これをやるのは難しいかなと思ったんですが、でも実際やってみたら、意外にギャグも多いし、盛り上がるシーンもあるので、まあ、やり方次第かなって思いました。
 やるほうにとっては、おもしろくもできるし、つまらなくもできるなって。


――南乃南さんが演じられる正代さんという役柄に関して教えてください。
 正代さんは、脚本を最初読んだときに、お婆ちゃんというよりも、下町のおばちゃんだな、と思いました。元気なおばちゃん。
 年齢的にはお婆ちゃんなんですが、お婆ちゃんに演技を寄せすぎると、元気がない人になってしまいそうですし、白髪やシワなどをメイクで作って、見た目でお婆ちゃんに寄せられるところはあるので、むしろ、元気のいい、やかましいおばちゃんであることを意識してます。

 あと、登場人物がみんなそうなんですけど、とにかく元気がよくて、あんまり気づかいしてしゃべるっていうタイプではないですよね。どちらかというと無神経なことや失礼なことを言ってしまう人、でも、いい人っていう。
 そういう1枚ベールを挟まないような関係が伝わるように、キャラクターづくりをやっていこうと思ってます。

 自分よりもかなり年上の正代さんを演じることは、実はそんなに難しいとは思わないです。いままで年上の役が多かったですし、そういう役がどうも自分は得意なようなので。
 私が年下とか同年代の役をやると、おばさんに見えるって言われるレベルなので(笑)、やりにくさはなかったですね。

 正代さんはいつも商店街の人達をスマホで動画で撮ったりしているので、一見、話に関わってない、傍観者のような立場にも見えるんですよね。
 でも、実は話を転がしていくことになるんです。背中を押したり、ちょっとしたきっかけづくりをしたり、話のアクセントになる人ですね。君江とともに皆の中では一番年上っていうのもあるので、皆を手助けする立場にあるんじゃないかなと思います。


――南乃南さんは演出補佐と衣装メイクの担当もされていますが、これらのお仕事について意識されていることなどあれば教えてください。
 演出については、あくまで補佐なんで、無糖さん(※演出チーフ)がしたいようにしてもらうというのを意識してます。
 無糖さんがお忙しいので、私が稽古場で演出しなければいけないときもあるのですが、無糖さんがやる感じで自分もやろうと思ってます。

 いままでに演出補佐の経験がそこそこあるので、補佐は大体こんな感じかなっていうのもわかってますし、無糖さんは私が演出に口出ししても、それでいこうと言ってくださる方なので、やりやすいですね。
 無糖さんはむしろ皆にいろんな意見を出してほしいと言う人なので、私も無糖さんに甘えて遠慮なく口を出させてもらってます。

 お客さんに楽しそうだなって思ってもらえるようなお芝居にしたいので、全員、どんな場面でも基本的にテンション上げていきたいですね。落ち込んでる場面であったとしても、その落ち込みのテンションを上げたいです。
 マイナスな場面だからすごい静かというわけではなく、うるさく落ち込んでほしいですね。

 今回は演劇を観たことがあまりない人も結構いらっしゃると思うので、「わかりやすく」ってのは絶対条件だと思います。
 あと、これは無糖さんが言ってることと全然違ってたらすごく申し訳ないんですが、奥深いことを考えさせるという演出もあるかもしれないですけど、見てておもしろい!でいいんじゃないかなって思ってます。  生きている意味を考えさせる、とか、深い感銘を与える、とか、そういうのは私たちはできないので、単純に見て楽しかった!という芝居をつくりたいですね。
 なので、見た目!ビジュアル!わかりやすさ!がすごく大事かなと思います。

 衣装については、下町っぽさを出したいです。と思いつつも、リアルを求め過ぎると、見た目が地味になるので、そのあたりは難しいですね。
 私は衣装のプロでもないので、キャラクターがわかりやすいってことが大事かなって思ってまして、キャラクターを色分けして、その色の衣装を着せるという感じで考えています。
 とはいっても、予算のしばりなどもあるので、どうやって衣装をそろえていくか難しいですね・・・。


――ショッパーズ・ハイ!の見どころについて教えてください。
 私、見どころとか言うのすごい苦手なんです(笑)。なんか、見どころって見る人によって違うと思うんですよね。こんなの言うのずるいかもしれないですけど(笑)。
 こちらがまったく意識してなかったところがおもしろかったとか、脚本にない小ボケとかアドリブとかがおもしろかったとかっていうお客さんの感想も全然あるので。

 ここ「見どころ」なんでって言ってしまうと、そこをあまりに気にされてしまうかもしれないので、だから、全部見てもらって、お客さんにお好みのところを見つけてほしいです!

 例えば、お気に入りのキャラを探してもらうとか。
 無糖さんや私が指示を出していないところで役者はちょっとした小ボケを入れているのがおもしろいし、私自身もそこが結構楽しみなんで、そういうのを見つけるのもいいかもしれないですね。
 それを気にしすぎてセリフを聞いてなかったってなったら、それはそれで困りますけど(笑)。でも、セリフをしゃべってない、端にいる役者のそういう動きにも注目してほしいですね。

 会場の田中記念館は広くて舞台を上から見下ろす形になっていますので、そういうのに適した会場だとだと思うんです。舞台を広く見ていただいて、お気に入りの小ボケを見つけてもらうとか。
 ここはアドリブかなって考えながら見てもらうと、楽しいかもしれないです。今の絶対勝手にやった!とか(笑)。そういう見方があってもおもしろいと思います。


――最後に、皆様にPRやメッセージなど一言お願いします。
 学問と演劇のコラボなので、学問?難しいかも・・・と思われるかもしれないですけど、でも、結局、学問があるからこそ、この演劇はおもしろくなっていると思うんです。学問がなかったら、ただのよくある話ってなってしまいます。
 逆に、学問だけだと単に難しいってなりますよね。そこを演劇によっておもしろくしています。
 ですので、相互に必要な要素で、どっちもないとおもしろくないというお芝居ですね。

 ですので、ぜひ、肩ひじ張らずに、気軽な気持ちで来ていただけたらいいなあって思います。
 初めて演劇見るという人でも全然大丈夫です。学問としても、演劇としても、入門編という感じですので、これを機会にいろんな学問、いろんな演劇に手を伸ばしてみようかなって思ってもらえたら嬉しいです。