北原稔

研究者紹介

北原稔  /教授   ミクロ経済学

キーワード:マッチング,ゲーム理論,産業組織論, オークション

「制度設計の理論と応用:マッチング・市場競争・オークションの研究」

私の専門はミクロ経済学で、特にマッチング理論、産業組織論、ゲーム理論を研究しています。市場や制度の設計に関心を持ち、より良い仕組みを理論的に探求することを目的に研究を進めています。

近年は、教育や労働市場におけるマッチング制度の課題に取り組んでいます。参加者の選好形成に伴うコストや、適切なマッチングが得られない非マッチの問題に注目し、効率的かつ公平な制度の設計を研究しています。

「賦金調-明治8年」(総務省統計局統計図書館蔵)

学校選択や労働市場におけるマッチング制度の研究については、例えば Kitahara and Okumura (2021)では、学校選択のマッチング制度において、優先順位が完全に決まっていない状況下での効率的なマッチングを実現する方法を提案しました。特に、初期の安定マッチングから学生にとって最適な安定マッチングを導出するアルゴリズムを開発し、制度の改善に貢献する可能性を示しました。また、Kitahara and Okumura (2019)では、安定的かつ効率的なマッチングにおける最低限のマッチ数を分析し、安定性と効率性の関係について新たな知見を提供しました。

 

さらに、産業組織論やオークション理論の分野でも研究を行っています。Kitahara and Matsumura (2008)では、企業が価格競争を行う市場において、戦略的な購買者の行動が企業の価格設定に与える影響を分析しました。この研究は、企業の競争戦略の理解を深め、より効率的な市場設計のあり方を考える上で有益な示唆を提供しています。また、オークション理論においても、異なる入札ルールが市場効率や競争環境に与える影響を研究し、公的機関やオンラインプラットフォームでの適切なオークション設計について考察しています。

 

私の研究の特徴は、理論的な厳密性を重視しつつ、実際の経済問題への応用可能性を追求する点にあります。マッチング制度や市場メカニズムの設計・改善を通じて、社会に貢献できる研究を続けていきたいと考えています。

参考文献