牛冰

研究者紹介

牛冰  /教授   医療経済学

キーワード:ヤングケアラー、介護リテラシー、健康・医療情報

「日本のヤングケアラーにおける実証研究」

ヤングケアラーのケア負担の実態

ヤングケアラーにおける独自の社会調査を行い、入手した個票データを用いて、ヤングケアラーの負担、負担に影響する要因および支援のあり方などについて実証分析を行った。具体的には、

  • Becker(1981)の家計内における分業の経済理論を応用し、ヤングケアラーの負担や影響要因における理論的仮説を立てた。
  • 負担を測る様々な指標を開発し、負担の実態及び負担に影響する要因を定量化した。
  • ヤングケアラーが抱えている問題(実際の負担 vs 認知)に着目し、外部支援に求められる役割について検討した。

「賦金調-明治8年」(総務省統計局統計図書館蔵)

図1:ケア負担を測る指標

(Niu et al., 2022)

ヤングケアラーのケア役割とケアに対する肯定的・否定的反応の関係

日本のヤングケアラーを対象に、国際指標(PANOC-YC20)を用いて、ケア役割とケアに対する主観的認知(肯定的反応及び否定的反応)の関係を明らかにし、ヨーロッパ諸外国の先行研究と比較した。

  • ケアを担うことに対する肯定的反応と否定的反応負担を定量化した。
  • 諸外国との比較によって、日本のヤングケアラーを取り巻く状況の特徴を考察した。

 

今後の展望・政策立案への期待

  • 今後ヤングケアラーに対する社会的認識や社会的支援が広がる中で、ヤングケアラーや同居家族の実際のニーズに沿った支援のあり方を探索することが必要不可欠である。様々な支援のあり方(例えば、心理面、時間面、経済面など)が検討されている中で、ヤングケアラーが求める支援を提供することができるよう、社会調査や研究を通してヤングケアラーのニーズをさらに明らかにしていく必要がある。
  • 外部支援の働きを通して、ケアラーとしての認知が向上し、ケア負担の軽減に有効な支援へとつなげてゆく(図2)。

「大阪商法会議所月次報告」(個人蔵)_600×400

図2:外部支援の役割

(Niu et al., 2022)

参考文献