宇野浩司

研究者紹介

宇野浩司  /教授   ゲーム理論

キーワード:ポテンシャルゲーム, 均衡選択

「ゲーム理論におけるポテンシャルアプローチ」

世の中の多くの状況は,自分が何をしたかだけでなく,他の人が何をしたかも自分の利害に影響を与える,いわゆる「戦略的状況」です.(非協力)ゲーム理論は,戦略的状況において人々がどのように行動するかという問題に理論予測を与える学問です.ゲーム理論では理論予測として「ナッシュ均衡」や「相関均衡」をよく使います

私の研究は,「入れ子式ポテンシャル」,「鞍関数」という新たな概念を提案し,それらを用いて,理論予測を与える上でよく直面するゲーム理論の基本問題に解答を与えてきました

 

「賦金調-明治8年」(総務省統計局統計図書館蔵)

入れ子式ポテンシャルのイメージ

具体的に,私が考察した問題と与えた解答は次の通りです

 

問題1:(純粋戦略での)ナッシュ均衡はどのような時に存在するか

解答1:「入れ子式(擬)ポテンシャル」をもつゲームならば,純粋戦略でのナッシュ均衡が存在する

 

問題2:複数のナッシュ均衡が存在した時,どのナッシュ均衡が理論予測としてもっともらしいか

解答2:「鞍関数」の「maximin値」より「鞍関数」値が大きくなるような相関均衡の集合は,人々の情報構造に対して頑健な理論予測であるという意味でもっともらしい

 

問題3:近視眼的な人々が長期的に関係しあう状況において,どのような理論予測を用いればよいか  

解答3:「入れ子式(指示最適反応)ポテンシャル」をもつゲームを近視眼的な人々が長期的に繰り返す状況ならば,理論予測としてナッシュ均衡を用いればよい

 

最近は,ポテンシャルアプローチの応用について研究しています.

「大阪商法会議所月次報告」(個人蔵)_600×400

      鞍関数のイメージ

参考文献