日々の活動
2024年5月15日
【日々の活動】未来に伝える船主集落 - 天然迷宮都市「さの町場」【泉佐野市】
こんにちは!建築情報学研究室修士2年の吉田智哉です!
みなさんは「さの町場」という街をご存じでしょうか?
さの町場とは、大阪府泉佐野市北西部にある旧市街地の別称です。
先日、大学院の演習課題にてこの「さの町場」を訪れ、独特な歴史的街並みを現代に残しているその術について地元の方々にお話をいただきました。
「さの町場」は、江戸時代ごろに構成された歴史都市であり、2020年6月には日本遺産にも登録されています。
船主集落として栄えたこの街は戦争でも焼かれることがなく、当時の街の構成が今も残されています。
そのため、入り組んだ路地が現在も多くあり、別名「天然迷宮都市」とも呼ばれています。
この価値ある街並み・歴史・文化を現代に受け継ぐことができているのは、まぎれもなく地元の有志の方々による強い思いによるものです。
古い民家を残しながら、路地が入り組む泉佐野の歴史的街並み
実際に訪れると、歴史情緒溢れる街並みを楽しむことができる一方、先の見えない入り組んだ路地に翻弄され、始めて訪れた私はしっかりと迷子になりました笑。
そんな「さの町場」ですが、私のように初めて訪れた人や地元住民に対し、”迷子になりながら街を楽しんでもらいたい”という思いから手書きの地図「さの町場迷路路マップ」が作られていました!
”ギリギリ通れる細い路地” ”ジブリのような世界” ”2階から洗面台”
など、地元の方々も気づかないような街の魅力がユーモアに描かれており、迷子になりながらも街を楽しむことができました!
手描きで作成された地域マップ「さの町場迷路地マップ」
このマップを作成されたのは、泉佐野市で建築設計や書籍販売など多様な業務をおこなっている「むてんかスタイルふくろや」で代表取締役を勤めている「袋谷幸宏(ふくろや・ゆきひろ)」さんをはじめとした有志の方々。
彼らはさの町場に残る魅力を向上し未来に繋げるため、古民家のリノベーションやイベントの開催等を通して地域活性化を進めています。
中には築200年以上の古民家をリノベーションした古民家をレンタルスペースとしたり、空き部屋が目立つ築約50年の木造アパートを文化複合施設・イベントスペース等の活気ある空間に変化させたりと、非常に興味深い活動を行ってました!
築200年の古民家をレンタルスペースとして改修した「くらふとや」
町や建築の歴史を受け継ぐ空間で、ミーティングやワークショップなどに利用できる
築50年越えの木造アパートを改修し”衣食住+芸術”をテーマにした店が集まる文化複合施設村「ふくろYA!BASE」
「町を活性化させたい」と思うことは簡単でも、それを実行するにはかなりの労力が必要です。
その中でも、さの町場ではあらゆる人や団体が手を取り合い、街全体に魅力を生み出すために、改修やイベントなどを通してその魅力を街の領域を超えて発信しています。
街への想いを形にし、後世に残していく「さの町場」のこれからを、みなさんも追ってみませんか?
さの町場には他にも、「朝日湯」という銭湯を市役所に改修した「泉佐野市文化保護課」や、1936年から2017年まで銭湯として使われ、現在は街に開いた空間として改修が進む、戦前の銭湯建築の好例「大将軍湯」など、見どころがたくさんあります。
ぜひみなさんも足を運び、価値ある歴史的建築群を堪能してみてください!
泉佐野市文化保護課(旧朝日湯)
現在はプロジェクターも設置し、地域の人々も使えるコミュニティスペースとして活用されている
【リンク】
・”むてんかスタイルふくろや”HP : https://mutenkastyle.jp/index.html
・"Sanomachiba まちばの芽"HP : https://sanomachiba.com/
・"一般社団法人 バリュー・リノベーションズ・さの(VRS)"HP : https://vr-sano.com/
・泉佐野市HP : https://www.city.izumisano.lg.jp/
投稿者/吉田智哉(建築情報学研究室 修士2年)