高性能モノクローナル抗体作製法を利用した創薬シーズの開発(立花)
診断および治療に用いるモノクローナル抗体は、高い特異性と親和性を有することが求められる。マウスモノクローナル抗体作製は一般的に細胞融合法を用いるが、ウサギやヒトなど優れた免疫システムを持つ動物由来のモノクローナル抗体を融合法で作製することは困難であった。そこで私たちは、大阪公立大学発バイオベンチャーである(株)細胞工学研究所の協力を得て、1つのリンパ球から抗体遺伝子をクローニングしてモノクローナル抗体を作製するシングルセル法を開発し、ウサギやヒトのモノクローナル抗体作製を可能にした。そして本作製法やショットガン法(後述)を利用して、様々な疾患の発症メカニズム解明や治療に寄与する抗体の開発を行っている。特に難治性がんである膵臓がんをターゲットとして高性能モノクローナル抗体を作製し、膵臓がんの治療法と診断系の開発に挑戦している(1-3)。
- (1)Generation of Rat Monoclonal Antibodies Against Human Pancreatic Ductal Adenocarcinoma Cells. Higashi K, Fujii N, Kushida M, Yamada K, Suzuki N, Saito K, Tachibana T. Monoclon. Antib. Immunodiagn. Immunother. 35(3), 148-54. 2016
- (2) Carbohydrate 3’-Sialyllactose as a Novel Target for Theranostics in Pancreatic Ductal Adenocarcinoma. Higashi K, Maeda K, Miyata K, Yoshimura S, Yamada K, Konno D, Tachibana T, Saito K. Tumor Biology 42(10), 1-9. 2020
- (3) 膵臓がん幹細胞に対する抗体
立花太郎、伊原寛一郎、堀裕一、清水一也 PCT/JP2022/017037