生体組織と気泡との相互干渉

  • 生体組織と気泡との相互干渉

超音波によるマイクロバブルの崩壊現象を利用した遺伝子治療法が注目されている.本解析では,遺伝子注入のメカニズムならびに効率的な遺伝子注入方法を明らかにすることを目的として,球面調和関数展開を用いた理論解析,境界要素法やGhost Fluid法などの数値解析手法を用いて,生体近傍での気泡の崩壊挙動ならびに音場中での気泡群の非線形振動の解析を行う.特にナノマイクロバブルを用いた超音波治療や診断を視野に入れ,弾性管内での気泡群の力学を解析している(Fig. 1).本解析では,気泡の体積振動を吹き出しで,並進運動を二重吹き出しでモデル化することにより,管壁の三次元変形を考慮した境界積分方程式を導出し,それを固有値解析することにより,血管内の任意の位置に存在する気泡の固有振動数の導出法を提案する.さらに,Ghost Fluid法を用いて,各種生体組織近傍での気泡崩壊に伴う薬剤等の物質輸送のシミュレーションを行っている(Fig. 2).Fig. 2から,生体壁近傍において超音波と気泡が干渉した結果,気泡が崩壊し,気泡から発生した衝撃波により,生体壁がくぼみ,気泡がくぼみの中に侵入していく様子をわかる.

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Fig. 1 Bubble oscillations in a capilarry tube


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Fig. 2 Bubble collapse near a tissue bounadry

  1. T. Murasawa, R. Kameda, H. Takahira, "Numerical simulations for matter transport by the interaction between bubbles and pressure waves near tissue boundaries," J. Fluid Science & Technology, Vol. 19, No. 2, (2024).
  2. K. Kobayashi, T. Kodama, H. Takahira, “Shock wave–bubble interaction near soft and rigid boundaries during lithotripsy: Numerical analysis by the improved ghost fluid method,” Physics in Medicine and Biology, 56, 6421-6440, (2011).