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2022年4月12日

大阪公立大学先進の情報リテラシー ICT [ごく一例:出張上申書] (エクセルの賢い活用術)【解説】

 以下は、大阪公立大学最新の事務処理入力システムで用いられるエクセルフォームです。

 おそらく大阪公立大学では、工学部の強みや世界クラスの大学を目指し、「総合知」を生かして、ICT化が計画、導入されたと憶測します。この入力フォームにもとても素晴らしいアイデアが組み込まれているので、新入生の皆さんも、情報教育においてエクセルの実習を受ける場合には、『エクセルで美しい書類を作る方法』として参考にされると良いと思います。

Fig_ExcelInputFoam_OMU

 エクセルでは、入力項目によってセルの長さが異なり、入力内容に マッチしたセルの幅、高さを設定することが、見やすい書類によって何よりも最優先に非常に重要です。特に上席の役職者の皆さんが見やすくチェックしやすい書類を作成することが事務処理にとっては大切です。

 そこで上図のように、まずは方眼用紙のようにセルの幅を細かく設定変更します。その大きさは、2ビット文字の大きさ(幅、高さ)や、英文などの1バイト文字を使用する場合にはより細かくその大きさに合わせると、幅の設定の自由度が向上します。後は、細かく分割したセルを自由に選択して、設定したセルを選択してセルの連結を行い、見やすく美しい書面をデザインしていきます。

 実際に入力フォームを見てみると、タイトルの大きい文字も、入力内容の文字も、不自然さはほとんど感じられません。煩わしく美しさをぶち壊す不均衡なセルもなく、背景が方眼紙のようでエクセルフォームとは気づかないほど自然な画面です。書類の形式として十分美しい仕上がりになっています。ベクター作画アプリケーション等の「グリッドに固定」機能を応用したかのような柔軟な発想です。

 多分、このシステムの設計仕様を決めた、あるいはこのようなフォームを作成した担当部署は、かなりエクセルで文章をきれいに作成するスキルに優れているものと思われます。

 私のような老害で先入観が強い万年末端の下層教員には、まさしく目からうろこの完成度です。

 つまり、私のような古い思想の人間は、どうしてもマルチプランの容量制限の呪縛から抜け出せず、入力フォームはあくまで「入力フォーム」としてしか受け止められない、1セル1データー、の呪いがあります。

 もし私が担当者なら、40年前の手法から抜け出せずに、入力フォームと表示フォームを別々に作成してしまい、あるいは1990年代初頭に開発された固有アプリで入力フォームを別途表示させてしまうというとても古典的で複雑怪奇なエクセルフォームにしてしまっていたことでしょう。あるいはいっそ、Webプログラミングで入力から文書整形、印刷、送信までを複数の処理プログラムを借用、組み合わせてしまってツールを作ってしまっていたかもしれません。

 情報技術が発達した現代の技術では、セルの連結やそのほか複雑なフォームでも、プログラム側ですべてを担い、入力と書類体裁の両立を実現しているようです。複雑な入力内容をたった一つのフォームで実現できてしまっています。全く高度なツールを新大阪公立大学では導入しています。エクセルをここまで書類作成ツールとして昇華させてしまうとは、恥ずかしながら隔世の感ひとしおです。美しい日本語を使用している日本人だからこその、世界に誇れる独自感性、固有技術なのかもしれません。

 新しい大阪公立大学に入学した第一期の優秀な新入生の皆さんは、情報基礎やプログラムに関する演習などの科目でICTを意識した授業が始まっていることでしょう。プログラミングなしに実用的な事務処理システムができるこのような一例を参考に、インターネットやワード、エクセルなどのITスキルを習得し、総合知による大阪公立大学の発展に寄与され、ひいては日本の情報技術の中で将来ご活躍されることをお祈りしています。

てへ

※ 総合知:科学技術政策担当大臣等政務三役と総合科学技術・イノベーション会議有識者議員との会合(令和3年度) 」参照方