SSSRCだより

2017年8月1日

SSSRCだより 2017年8月号

 センターで私達が日々行っている活動について,ブログや各プロジェクトのページよりもわかりやすくお知らせするために,本 Web サイトのリニューアル以来発行されていなかった「SSSRC だより」を復活させることになりました.

BBM 開発中(OPUSAT-II プロジェクト)

 初めまして,プロジェクトマネージャーの飯田 輝澄と申します.航空宇宙工学課程の4年生で,卒業研究と並行しながら,プロジェクトの予算管理やメンバーの進捗管理を主に担当しております.今回は,最近の衛星プロジェクトの活動について簡単に紹介します.OPUSAT-Ⅱプロジェクトは2016年8月より始動し,2019年度の打ち上げを目指して開発を進めています.現在はミッション部の概念設計を終え,BBMを用いて設計を詳細化しています.また,開発と並行して打ち上げ費用を集めています.

 今年5月には,学部2,3年生が中心となり,OPUSAT-IIミッションシステムのサブシステムの実装を行いました.初めて実装作業を行う者が多く,苦戦を強いられましたが,なんとか形にすることができました.その後,学部4年生と大学院生が中心となり,ミッション部の設計と実装・試験結果のレビュー会を開き,妥当性を確認しました.6月から7月にかけては,レビュー会で洗い出された問題点を設計に反映させ,システムの統合を行いました.バスシステムであるOPUSAT-KITとミッションシステムのBBMを統合し,さらに新型無線機も統合した状態で,ミッションシステムが正常に動作することを確認しました.

OPUSAT-II BBM

 また,EMの開発に向けて,電子回路やプログラムの開発と同時並行で,各種シミュレーションを行っています.衛星のCADモデル用いての強度計算,熱解析,アンテナのシミュレーション,そして姿勢シミュレーションを行い,設計の妥当性を確認しています.


OPUSAT-II CAD モデル

 今後はBBMを利用した動作試験・シミュレーションを継続し,逐次洗い出される問題点を設計に反映することで,衛星の完成度を高めていきます.完成度がある程度高まった段階で,EMの製作を開始します.未だ打ち上げ費用を集めきれていない状況なので,引き続き資金集めに全力で取り組みます.そしてサクセスクライテリアを達成できるように,メンバー一丸となって開発に取り組みます.

工学域 航空宇宙工学課程 4年 飯田 輝澄


センター初の快挙 → モデルロケットで技術継承(CEES ロケット プロジェクト)

 当センターでは,およそ1年に1機のペースでCEESロケットの開発・打ち上げを行っています.今年の3月には和歌山加太の宇宙イベントで打ち上げを行い,CEESロケットの複数回打ち上げに初めて成功しました.


3月の加太宇宙イベントで打ち上げを行ったCEES4-miniロケット

打ち上げ準備の様子

 3月の加太宇宙イベントが終わった後は,今年の9月に行われる加太宇宙イベントに向けて大型モデルロケットの製作を行っています.このモデルロケットは,構造的にCEESロケットと類似している部分も多いため,CEESロケット製作の技術継承も目的としています.当団体初めての大型モデルロケット製作なので,わからないことも多いですが他大学の方に質問をするなどして開発を進めています.

 私個人としては,大型モデルロケットの打ち上げのため,モデルロケット第3級ライセンスを取得しました.現在はモデルロケットの構体の製作を主に担当しています.GFRPを用いてボディチューブを作製,3Dプリンタでノーズコーンを印刷するなど機体のほとんどを自作しました.

開発中のG型モデルロケットTKG-G1

 今後は,電装部分のバッテリー試験やパラシュート放出試験,発射装置の点火試験など試験を実施します.試験が無事終われば打ち上げのために必要な文書を製作し,9月に打ち上げるのみとなります.

工学域 航空宇宙工学課程 2年 岸田 聖子


期末テストが終わったらCanSat(新入生教育)

 センターへの参加を希望した1年生に,CEESロケットや衛星をつくるに当たって必要となる,プログラミングや電子工作,プロジェクトマネジメントなどの知識を,講習会やモデルロケット・CanSatの製作を通じて培ってもらっています.カリキュラムは上級生が作成しており,今までに行ってきた新入生教育の反省を取り入れて,講習や実習の内容を毎年改善しながら行っています.

近年の新入生教育は,

①モデルロケットの製作
②プログラムや電子回路,システムズエンジニアリングの講習
③CanSatの製作

を軸として約1年間をかけて行われています.

 今年度の新入生教育では,CanSatの製作期間を少し短くして,CEES・衛星開発により早く合流できるようにスケジュールを調整しており,CanSatの構造系を担当する人にCADを教えるなど,技術的な面でも新たな試みを取り入れています.

 現在は,今年度の新入生教育はモデルロケットの製作を終え,プログラムや電子回路,システムズエンジニアリングの講習が終盤に差し掛かっている状況です.この講習を終えたのち,テスト期間を挟んで1年生には半年ほどCanSatの製作に取り掛かってもらいます.


モデルロケット講習

 また,よりものづくりの楽しさを経験してもらい,実際の開発にスムーズに合流してもらえるように,今年度の新入生教育で良くなかった点は反省し,今後のカリキュラムに改良を重ねていく予定です.

工学域 航空宇宙工学課程 2年 前田 陽生