SSSRCだより
2021年12月1日
SSSRCだより 2021年12月号
高速通信ミッション達成!!!!!!
こんにちは,修士2年の前田です.今回はメインミッションの1つ「アマチュア無線帯における高速通信技術の実証」の結果についての報告をしたいと思います.3ヶ月ほどかけて高速通信ミッションを行ってデータを取得し,通信性能を比較しました.そのうち,ダントラ無線で通信が阻害されやすい日中の,衛星-地上局間の距離が遠いパス,という通信条件として最悪な環境で集めたデータがこちらです.
我々の目的はここでERと書かれている値(緑のバー)が,1番左に示す「GMSK 9.6 kbps AX.25」より大きいと証明することです.ERは「同じ時間でどれだけたくさんのデータを取得できるか」を表します.「GMSK 9.6 kbps AX.25」というのはこれまでアマチュア無線のパケット通信で使われていた方式です.「これよりもっと速いほうが嬉しくない?」という要請からミッションが始まったわけですが,結果を見ると左から2番目と5番目が超えていますね.ミッション達成です!
ミッション達成の割に淡白な文章になってしまいましたが,この結果に対する考察や,ここでは解説していないDRについて,ブログに詳しく書いたのでそちらもご覧ください.それでは.
https://ameblo.jp/sssrc/entry-12710609881.html
修士2年 前田 陽生
衛星設計コンテストに出場して
今年の4月から11月にかけてSSSRCに所属している学生で有志を募り衛星設計コンテストに出場しました. このコンテストは過去の先輩方も出場経験のあるもので, 衛星の設計においてミッションにおける将来性や着想を競いあう, ミッションの決定から各系の設計に至るまでを自分たちで検証を行うという具体性のあるアイデアコンテストです. メンバーは主に3回生で構成されおり, 実際に衛星の開発に携わった経験が乏しい私たちにとって今回が初めての衛星設計でした. これまで先輩方のひろがり開発に関する資料や実験の報告書を読んだり, 自分たちで勉強したりしたことを精一杯活かそうと考えて臨みました.しかし, 実際の開発では模倣ではなく自分たちで考えなければならないことが多くこれまで知らなかったことやより高度で詳細な理解・知識を問われ, まだまだ勉強しなければならないことがたくさんあることを実感しました. また,系で情報や考えを共有しながらチームで開発を進めていくというこれまであまりしたことのなかった経験を通してチーム開発の難しさと楽しさを知ることができました.
先輩たちのおかげで私たちは電子情報通信学会賞をいただくことができました. 今回のコンテストを通して情報の共有やスケジューリングといった開発の際に気をつけなければならないことを知ることができ技術や知識的な面だけではなく開発者としての面でも成長することができました. 今回得た知見や経験を次の衛星開発にも活かしていきたいです.
図1. ワイヤレス電力伝送実証衛星 “Wi SAT”
電気電子系学類 情報工学課程 3年 高本凌平
一年を振り返って
はじめまして,学部2年の島﨑です.12月になりました.毎朝布団から出るのがつらいです,皆様はいかがお過ごしでしょうか.
今回は,私が所属する熱系でこの一年間行ったことを振り返っていこうと思います.
熱系に入って最初の1,2か月は,熱制御の概要についての輪講を行ったり定常熱解析のプログラムを書いたりして,熱系が衛星開発の中でどういう役割をもつのかを学びました.そしてその内容を踏まえて,衛星の熱解析に使うソフトの操作を学んでいきました.夏からは衛星設計コンテストに参加させていただき,座学で勉強した内容を実践として使うことができ理解を深めることができました.また熱制御をするうえで必要になってくる軌道などの姿勢に関する勉強も行いました.
そして先日は,衛星を宇宙に模擬した環境で正常に作動するか確認するための熱真空チャンバを用いた試験を行いました.初めて使うチャンバにずっと心が躍りっぱなしでした.次号機で使うときのためのとても良い経験になったと思います.
振り返ってみるととても成長できた一年だったと感じます.もうすぐ今年も終わりますが,まだまだ引き続き先輩の後を追いかけながら,少しでも次号機の開発に役に立てるように精進していきたいと思います.
熱解析ソフトを用いた軌道上平板の様子
熱真空試験に用いるチャンバ
学部2年 島﨑乃斗夏