SSSRCだより
2020年12月4日
SSSRCだより 2020年12月号
“ひろがり”引き渡しに関するご報告
こんにちは、SSSRC修士二回生の渋谷です。SSSRCでは衛星プロジェクトに所属しており、電源系兼安全審査のメンバーとして活動しています。 SNSを通してご存知の方もいらっしゃると思いますが、2020年10月16日にてJAXAつくば宇宙センターにて私たちが開発してきた人工衛星“ひろがり”を無事引き渡すことが完了しました。今回はそのことについて報告させていただきます。 9月~10月頭にかけてNASA・JAXAによる安全審査Phase3が行われ、あとは衛星を引き渡しするだけという状況でした。安全審査を終え一安心といったところですが、引き渡しに向けて必要な作業がたくさんあります。例えば衛星を輸送・保管する際のケースを製作する必要があります。“ひろがり”にはディプロイメントスイッチと呼ばれるスイッチがあり、このスイッチによって電源のON/OFFを操作するのですが、輸送・保管中にこのスイッチが何かの拍子で入ってしまうと勝手に起動してバッテリの残量が減ったり、アンテナが展開したりしてしまいます。ケースを作る際はこのスイッチが絶対に入らないような設計を考えなければなりません。他にも引き渡し後にJAXAの方がケースから衛星を取り出しやすい手順の確立やアンテナ展開・パドル展開に用いるニクロム線の位置が正しいか、太陽電池が割れていないかなど入念にチェックする必要があります。これらの作業を終え遂に引き渡し当日を迎えました。JAXAに入構後、JAXAの方と一緒に衛星の最終チェック(外観検査、インヒビットチェック、フィットチェックなど)が行われました。てっきり数人に見られながら作業するものだと思っていましたが、実際は何倍もの人に見られ、さらにカメラも合ったので作業は非常に緊張しました。それらの作業を終え無事引き渡し完了となりました。
外観検査の様子 数日後、J-SSODと呼ばれる実際に衛星が放出されるケースに収納されたということもあり、あとは打ち上げ、放出を残すのみとなりました。思い返してみるとここまでくるのに非常に長かったように感じます。引き渡しの達成感とともに寂しさも感じています。僕は来年卒業してしまうので、衛星運用まで携わることができないのが残念ではありますが、無事ミッション成功するよう祈っています。 最後になりますが、本プロジェクトを応援してくださった方ありがとうございました! 皆様の応援がなければここまでたどり着くことはありませんでした。今後ともSSSRCをどうぞよろしくお願いいたします!
引き渡し時記念写真
機械工学分野 修士2年 渋谷昌宏
先輩方の意思を継いで
お久しぶりです.学部4年の仲瀬です.先月11月より“ひろがり”プロジェクトのプロジェクトマネージャーを引き継ぐことになりました.というのも,“ひろがり”が打ち上げられて運用が始まる頃には先輩方がまた卒業されてしまいます.運用直前に混乱を招かないためにも,現在のうちから段階的に引継ぎが行われています. 今年の10月に“ひろがり”の引き渡しが無事完了し,このプロジェクトも一つの大きな節目を迎えました.しかし,「これであとは打ち上げを待つのみ」とはいきません.地上局の受信設備開発や,アマチュア無線ミッションのメッセージボックスサービスのシステム開発・整備,運用の模擬練習など,まだまだ多くの作業があります.そして,同時に進むこれらの工程を把握し管理することの難しさを感じています.これまで,僕はマネジメント側ではなく,実際の開発や実務をこなすことがほとんどでした.自分の所属する系の工程だけでなく,他の系の工程やプロジェクト全体のスケジュールも意識しながらプロジェクトに取り組んでいましたが,いざ自分が管理する側の立場になってやってみると,メンバー個々の動きというのは見えにくいもので,メンバーとのこまめなコミュニケーションの重要性をひしひしと感じるようになりました.プロジェクト管理体制も今一度立て直しつつ,前マネージャーからいろいろとノウハウを教えていただいているところです. “ひろがり”プロジェクトが始まって約5年の時を経て,ようやく宇宙で運用できるところまでたどり着きました.プロジェクト開始当初から携わっていた先輩方の中には,この衛星を最後まで見届けられないまま引退された方も多くいらっしゃりました.僕がこれまでたくさんお世話になった先輩方に,また,これまでこのプロジェクトに協力してくださった関係者の皆様に,そしてこのSSSRCだよりを読んでくださっている皆様に,胸を張って“ひろがり”プロジェクトの成功を伝えられるよう,運用終了まで気を抜かず進めていこうと思います.これからも僕たちの開発を応援していただければ幸いです.
先輩とともに成功祈願へ
航空宇宙工学課程 学部4年 仲瀬 寛輝
ロケットプロジェクトが加太共同打上実験に参加しました
こんにちは。我々ロケットプロジェクトは、10月31日から11月3日までの4日間、和歌山県の加太で行われた第9回加太共同打上実験に参加しました。今回は新型コロナウイルス感染症の影響により、本来の予定であった9月18日から23日からは大幅に延期されましたが、感染症対策を十分に取った上で、共同打上実験が無事に行われました。 今回我々は、G型のエンジンを使用したモデルロケット(機体名:Rocket Start)を打ち上げました。また、今回の開発は、推進系・構造系・電装系の3つの系に分かれて行いました。ここでは、それらを軽く紹介致します。 ・推進系 推進系では、姿勢制御を主にしています。Open Rocketというソフトを使用して、落下分散の計算やフライトシミュレーションなどに取り組みました。 ・構造系 構造系では、ボディーチューブやカプラ、ノーズコーン等、機体の設計・製作をしました。また、製作した部品を組み立てました。 ・電装系 電装系では、ロケットに搭載する電子機器類、つまり、ロケットの頭脳とも言える、ロケットの安全な運用やミッション達成のためには必要不可欠な箇所を担当しました。今回は、GPSモジュールや9軸センサなどを搭載しました。 今回の実験では、打上が見事成功しました!! が、開放機構が上手く作動せず、弾道落下してしまい、機体は大きく破損してしまいました... 今回の反省を生かして、次のハイブリッドロケットの打ち上げに望みたいと思いますので、これからもロケットプロジェクトのご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
発射の準備
打ち上げの様子
ロケットとともに
機械工学課程 学部2年 許 慎