SSSRCだより
2020年1月14日
SSSRCだより 2020年1月号
ひろがり EM振動試験@IMV様
こんにちは.学部3年の横田です.衛星プロジェクトでは,構造系メンバーとして活動しております.僕は2年の冬頃から,構造系の取りまとめになりました.当初はかなり不安もありましたが,それからはや一年が経ち,無事FM開発が目前まで来ました. この度は,僕たちが開発している超小型衛星“ひろがり”のEM構体振動試験を実施しました.加振器はIMVさんのものを使わせていただきました. まず,なぜEM構体で振動試験を行うかというと,現設計での構体がロケットの振動に耐え,ミッション成功率を上げるためです.そして,ロケットの打ち上げが安全に終わるために,この衛星の安全性を証明するという目的もあります. 今回の振動試験は無事終えることができ,また今回判明した問題点を今後の設計に活かして,ようやくFM発注に入ることができます!自分たちで設計し,組み立てた衛星が宇宙に飛び立つということに誇りを持っています.これからもSSSRCのメンバーとして「ひろがり」のミッション成功を祈って,開発に励んでいこうと思います. 最後に,IMV様,振動試験器を使用させていただき,さらに,工場の見学までさせていただき誠にありがとうございました.
加振器とひろがりEM構体
航空宇宙工学課程 学部3年 横田航一
ひろがり統合計測試験(室蘭工業大学にて)
明けましておめでとうございます.SSSRC 3回生の栢割です.ここでは去年の12月7日に行ったひろがりの統合計測試験についてお話したいと思います. 現在私たちがEMを開発している2UサイズCubeSat「ひろがり」の展開板およびその展開機構は室蘭工業大学が開発を行っています.今回の統合試験ではその展開板と展開機構を統合した状態で,各パドルに1つずつ搭載した2つのカメラで撮像をする試験を行いました. 試験項目としては2つあり,まず現在採用している撮像方法で画像の解析が可能なのかを調べる試験,次にパドルの展開状態を様々に変えて撮像することでパドルの展開誤差が画像の解析に与える影響を調べる試験を行いました. カメラを用いた光学的な表面形状計測では,被写体に対するカメラの位置が重要になります.そのためパドルを展開した際に毎回同じ位置までパドルが展開すること(展開再現性)が重要になってきます.しかしながら,寸法公差などにより全く同じ位置まで展開することはできません.そのため画像を解析するためにはどれくらいの精度でパドルを展開する必要があるのか,どの程度の誤差は許容するのかという,展開機能性能に対する要求を出す必要があります.今回の試験では衛星自体の向きを様々に変えることで,重力を利用してパドルの展開状態を変えながら撮像するという作業を繰り返して,パドルの展開誤差が画像の解析に与える影響を調べました.その結果,解析の精度を向上させるためにはFMでは今以上に展開誤差を抑える必要がある可能性が浮上しました.また,画像の解析に関しては,現在の撮像方法で展開板の表面形状の計測が可能であることが分かりました.この結果を受け,現在はパドル展開機構の調整を行っているところです. 先日EMの振動試験が終了し,いよいよFMの開発がスタートしようとしています.FMは実際に宇宙に打ち上げるモデルのため,基本的にクリーンルームの中で作業をする必要があります.白衣,帽子,マスク,手袋全てを装備しながらの開発は初めてで,開発スピードなどに不安は感じますが,楽しみながら,開発を進めていきたいと思います. 最後になりましたが,本年もSSSRCをどうぞ宜しくお願い致します.
展開板を統合したひろがりEM
(展開板にクラウドファンディングでご寄付をいただいた方々のロゴを描画)
撮像の様子
現代システム科学域マネジメント学類 学部3年 栢割 脩平
振動試験
お久しぶりです.2回目の執筆担当となった,学部2回生の西川です.約一年前にこのSSSRCだよりを執筆したときは,cansatプロジェクト真っただ中でしたが,今は構造系の一員として,“ひろがり”プロジェクトに参加しています.現在の衛星開発は,試験用のモデルであるEM(エンジニアリングモデル)の開発から,実際に宇宙に行ってミッションを行うFM(フライトモデル)の開発へと移ろうとしている状況です. 今回は,そのEM開発の中でも非常に重要な試験である,振動試験(宇宙に行くときや宇宙に行ってから起こりうる振動の中で,衛星の一部が破損したりネジが取れたりすることで,他の衛星や宇宙飛行士などに被害を与える恐れがないことや,ミッションで行う機能を失わないことなどを確かめるための試験)を12月に行ったので,それについて書かせてもらいます.今回の振動試験は,株式会社IMVさんで行わせていただきました.今回,IMVさんで試験を行った中で,その充実した設備はもちろんですが,<案内してくださった人や私たちと一緒に試験を行ってくださった人,さらには社内ですれ違った人たちも笑顔で挨拶をしてくださり,温かい会社だと感じました.>特に,一緒に試験をしてくださった人は,私たちの試験のサポートしてくださったり,私たちがこれからの衛星開発を進める中でも役立ちそうな情報を教えてくださったりして,試験に対する知識はもちろんですが,プラスαで別の知識も身に着けることができました.その方をはじめ,EMの振動試験を行わせていただいたIMVさんに感謝したいと思います,ありがとうございました. 今回の振動試験を通して,個人としては,実際に試験に携われたことで,IMVの方や先輩方から多くのことを学ばせていただき,非常に良い経験をさせてもらいました.また,構造系全体としても,FM開発に向けて取り組まなければならない課題も見えてきました.2020年度の打ち上げに向けて,みんなで力を合わせてその課題に取り組み,最高の衛星を完成できるよう精進していこうと思います.
お世話になったIMVの方たちと
航空宇宙工学課程 学部2年 西川 誠寿
Cansat実習を振り返って
こんにちは、一年生の米川雄大です。SSSRCでは初年度教育の一環でCansat実習というものを行います。“Cansat“は小型の模擬人工衛星で、一年生はこの実習を通して実際に開発を体験することで二年生からの衛星・ロケット開発で必要とされる様々な力を養います。 私が参加した班は火星での植物栽培実験をするCansatを作成しました。土を掘ったり、種をまくなどの農業に必要な機構を搭載し自動で作業します。最終試験の気球試験では種をまくなどの機構が正常に動くことは確認できましたが動かない機構もありました。特に植物栽培が可能かどうかを調べるためのカメラ部分が正常に動かず、確認することが出来ませんでした。前日のチェックでは正常に動くことは確認でき、試験後の部分チェックでも動くことは確認できました。今回は実習でしたがこれが衛星・ロケット開発では大問題です。 開発期間が限られていたとはいえ、自分たち意識の甘さを感じました。 今回は今回実習を通して勉強しなければならないことがたくさん見つかりました。プログラミングや電子工作もまだまだ失敗ばかりでなかなかうまくいきません。そんななか自分の能力不足を感じるとともに仲間の大切さを感じました。もちろん人間ですから、考え方の違いなどで仲間割れすることもありますが、1人では考えられないようなアイデアを得られたり、役割を分担することで作業量を確保し、一つ一つの完成度を上げられます。 来年から衛星・ロケット開発に加わるわけですが、仲間を大切にそして欲深く追及する野心を持って頑張って行きたいと思います。
A班のCansat”KASSMY”
機械系学類 学部1年 米川雄大