SSSRCだより
2018年12月1日
SSSRCだより 2018年11月号
PERSEUS プログラムについて
こんにちは、修士2年の梅崎です。SSSRCでは熱構造系のお手伝い係と広報係としてこのSSSRCだよりを編集、投稿しています。今回は11月12日にキックオフセミナーが行われた「PERSEUS」について紹介、報告をさせていただきます。 PERSEUSとは、文部科学省宇宙航空科学技術推進委託費の宇宙航空人材育成プログラム(http://www.mext.go.jp/b_menu/boshu/detail/attach/1406357.htm)の一つとして採択されたプログラムです。正式には「超小型衛星開発とアントレプレナーシップ教育を通じた宇宙システム活用人材の育成」という名前なのですが、非常に長くて呼びづらいとのことで、学生たちで案を募って略称を考えました。アンケートの結果、上記の正式名称を” Program of Education through Research of Satellites and Entrepreneurship for Utilizers of Space”という英語に直し、その頭文字を取ったPERSEUS(ペルセウス)が選ばれました。なかなかカッコいい名前が付けられて学生側も非常に喜んでいました。何しろ、これが決まるまでは正式なプログラム名を略して「宇宙人」と呼ばれていましたから...。 さて、このプログラムは名前の通りの教育プログラムなのですが、その対象は本センターで活動する学部生・大学院生を中心とした、宇宙開発に興味のある学生です。期間は今年度を含めた3年間で、特にメインとなるのは今の学部1,2年生です。本プログラムでは大阪府立大学だけでなく、株式会社レヴィさん、株式会社インディージャパンといった企業の方も協力してくださり、人工衛星開発等を通してシステム思考やアントレプレナーシップなど様々な分野の知識を教えて頂きます。当センターに所属する学生からすると、いつもの自分たちの活動にプラスして、その活動を円滑に行うための知識と、その知識を行動に役に立てる方法を学べるわけです。 先日、PERSEUSのキックオフセミナーが行われ、関係者がたくさん来てくださいました。セミナーでは先生方が今後の展望についてお話してくださり、そのあとの懇親会では学生からも様々な意見が飛び交い、今後の活動に対して良い流れが形成されていたと思います。このプログラムを通して、本センターの活動が更に盛り上がるとともに、継続的に衛星やロケットを開発していける環境を整えることが出来ればと思います。これからも私たちの活動を随時報告させて頂きますので、暖かく見守っていただければ幸いです。
キックオフセミナーの様子
懇親会の様子
工学研究科 航空宇宙海洋系専攻 修士2年 梅崎 修一
姿勢系のお仕事
はじめまして、学部4年の坂野です。SSSRCだよりを書くのは初めてですが、SSSRC広報室(https://ameblo。jp/sssrc/)の方は、何度か担当しています。そちらも是非読んでみてください! 今日は私が普段担当している、姿勢系のお仕事について簡単に紹介したいと思います。 姿勢系ではその名の通り、衛星の姿勢を制御したり、計測したりと、姿勢に関することは何でも行っています。しかし姿勢を制御するとはいっても、JAXAなどの開発する大型衛星とは異なり、リアクションホイールなどの機器は「ひろがり」には搭載されていません。「ひろがり」は、みなさんもよく見たことがあるような磁石をのせることで、通信や電力に不利にならない姿勢を保っています(図1)。なんだか身近に感じませんか? ほかにも、磁気や角速度のセンサを用いて、宇宙空間での姿勢を計測するのも姿勢系のお仕事です。 私は主に姿勢制御を担当しており、最近は衛星の軌道上での姿勢を予測しています。 宇宙空間は不確定要素が多く、見通しのたたない開発に苦しい思いもしましたが、最近は色々な人の助けを借りながら少しずつ進められています。来年の打ち上げを、晴れやかな気持ちで迎えられるように、一層頑張っていきたいと思います。
ひろがりに搭載された永久磁石(赤丸)
航空宇宙工学課程 学部4年 坂野 文香
色々とやることが多い季節です
お初にお目にかかります。 学部三回生の長澤です。 私は衛星開発では通信系に所属しています。 通信系というと、前回はデコードソフトの開発、前々回はアンテナパターン試験や高速通信性能試験と何やら小難しいことに腐心している様子が取り上げられていて、The 技術畑という感を抱かれた人が多いと思います。 もちろん私もそういった類のことに従事していたわけですが、最近はそこからシフトして事務職がメインになってました。 衛星通信の質を高めるのに技術開発が大切なのはそうなのですが、そういった技術を生かすためには、通信ができる環境を整えてやる必要があります。 では具体的に今私が何をやっているかですが、大きくは二つで「アンテナ周りのやりとり」と「地球局・衛星局の免許取得」です。 前者については地球局・衛星局両方に関してで、衛星局側はアンテナ自体の発注、地球局側はアンテナの建設まわりをそれぞれ担当しています。 衛星局アンテナについては他の系の要望等も反映させながらやり取りをするので、そのあたりのやり取りがなかなか大変でした。 また地球局アンテナについては大きなお金が動く話ですし、学校の施設的な問題も上がってきたのでそこの調整が難しいところでした。 いずれもビジネスメールを用いる場なのでメールを送信するのも一回一回が緊張の瞬間です。
発注した衛星局側のアンテナの図面
次に後者についてです。 電波を発射するとなるとその局には免許を申請する必要があります。 衛星を打ち上げてからの通信に際して必要となる免許についてはまだ申請しなくても問題無いのですが、地上で試験運用するにあたって地球局も衛星局も免許を申請する必要があります。 ここでさらりと書きましたが、地球上で使用する場合の免許と衛星としての免許は別物になっているので、同じ局に対して二回免許申請をする必要があるのです。 この衛星としての免許申請についても最近資料を整える必要があったので一部まとめていました。 こんな感じでみんなが開発した通信技術が日の目を見られるように色々と事務的な仕事を最近はしていたわけですが、やはり事務仕事は退屈なので私も開発サイドに戻りたいというのが本音ですね(笑)。 でもこういうことをする中でシステムの全体像が見えてくるのは興味深いことでした。 今後もバシバシ頑張っていきます。
航空宇宙工学課程 学部3年 長澤 恒聖
困難と成長
こんにちは、SSSRC1回生の上田です。私達一回生は今cansatという地上ローバーに似たものを開発しています。私の属するa班のミッション内容は、機体に乗せた植物の種と土を地面に放出し、自動で種まきを行うというものです。ミッション内容だけ聞くと簡単だと思われるかもしれませんが、はじめてのことばかりなので毎日開発に苦戦しています。ですが、班員や仲間たちと相談しつつ一つのものを作り上げる経験はなかなか得難いもののように思っています。 さて、皆さんの中には、実用的な物理・数学の知識がない私達がいきなり数ヶ月で機械を作るのは無茶だと思うかもしれません。まあ、実際はやや無茶ぶりだと思うことはありますが笑。しかし、その無茶ぶりのおかげで大きく成長できていると感じています。まず、知識の量が圧倒的に増えます。電子回路の構成やプログラミング、材料の切り方などをこの数ヶ月の間に身に着けました。同時に、自分たちの知識の無さを痛感するので勉強へのモチベーションが高まります。また、自分たちで開発に優先順位をつけることを通してマネジメントの能力も培われます。このように自分たちに立ちはだかる困難は、自分を大きく成長させるきっかけになります。 開発も佳境に入ってきており、スケジュールの遅れを取り戻そうと班員全員で頑張っています。忙しくはありますが毎日がとても充実しています。12月の気球試験の日を笑顔で迎えられるよう努力していきます!
A班の現在のCANSAT
工学域 機械系学類 学部1年 上田 滉也
Veneeの由来
はじめまして。学部1回生の西川です。私は、can-satプロジェクトc班に所属しGPSの位置情報と送信を担当しています。c班では、キャタピラ型のcan-satを作っていて、ほかの班にないことに挑戦しようと日々活動しています。今回は、そんなc班のcan-satの名前に触れていきたいと思います。 私たち、c班は3つあるcan-satプロジェクト班の中で唯一の男子だけの班です。そのため、活動の時はとても騒がしく、みんなでワイワイやっています。休憩の時はみんなで生協に食べ物を買いに行ったり、自動販売機に飲み物を買いに行ったりしています。それが私たちに活動を続ける元気を与えてくれます。そんな私たちが3ヶ月以上やっているcan-satプロジェクトですが、夏休みの時期は自分たちの目指すべきゴールが分からないという面で非常に苦しい時期でした。そんなとき、私たちの間で流行ったのが自動販売機で、ドラゴンボールのフィギュアが当たるコーヒーを買うことでした。私たちは、そのフィギュアを当てるため、活動のたびにコーヒーを買いにその自動販売機に通っていました。そしてついに、ある班員がゴテンクスのフィギュアを当てることに成功しました。それを記念して、私たちのcan-satのはじめの名前は、漢字表記がかっこいいということで、中国語でゴテンクスを意味する、「悟天克斯」に決まりました。しかし、なんて読むのかを尋ねられた時に、中国語で発音するのが恥ずかしいという理由で、この名前の代案を考えようと話になりました。私たちは、「悟天克斯」に代わる良い名前が存在するのだろうかと悩みました。悩みに悩んだ結果、すばらしい名前が思い浮かびました。その名前は、「Venee」です。これは、自動販売機を意味する英単語である「vending machine」と、コーヒーを意味する英単語である「coffee」を合わせて作られたものです。これならば、私たちの頑張りと思いのつまったcan-satの名前にふさわしいだろう。となりました。 こんな、ちょっぴり遊び心もあるような経緯で名付けられた、私たちのcan-sat「Venee」ですが、あと少しでその完成を迎えようとしています。どの班にも負けないcan-satにすべく、完成までc班全員で頑張っていきたいと思います。
C班の活動風景
C班の現在のCANSAT
休憩中の様子
工学域 機械系学類 学部1年 西川 誠寿
CanSat D班 活動内容
CanSat製作D班の鈴木と申します。私たちD班が今回行うCanSatプロジェクトのミッションは、「GPSに頼らず、機体の位置推定をする」です。ミッションの達成条件は、目的地との距離が一定以下になることです。そのために、加速度センサや地磁気センサの値、タイヤの回転数を読み取ります。そして、それらを基に距離計算を行いながら移動させます。また、GPSが使えない場所を想定し、位置推定の精度を高めるために事前走行を行って計算プログラムの修正も済ませた状態から走行を始めます。日常生活から研究まで多くの用途に貢献しているGPSをあえて使わないという斬新なミッションであるため、ミッションの仕様までの道のりは難航しました。初期段階ではメンバー全員が位置推定の手段に関して異なる考えを持っていたので、共通のミッション内容を班全員で共有する必要があり、紆余曲折を経てミッションシーケンスを確定しました。回路作成時も各電子部品が正常に動作するか試行錯誤を繰り返し、プログラムに誤りはないか、動作に不具合が生じてないかなどを担当別に検証しました。現在(本稿執筆時の11月下旬)は回路および必要な部品を機体に取り付けた状態のフライトモデル作成に向けて総員で作業に取り組んでいます。
ペーパークラフト模型
ブレッドボードに取り付けた回路を乗せた機体
思うように動かない、部品が壊れたというなど、不具合の連続に苦戦しながら決められた日程までにプロジェクトをこなすことは非常にハードですが、。しかし、ミッション成功という共通の目標に向けて班員が担当を越えて協力し合い、先輩方の意見を参考にしながら何を優先すべきか、どの部分をどのように変更するかを日々協議しています。 メンバーも個性豊かで、それぞれが得意とする部分を活かしながら有意義な活動時間を過ごしています。 12月に行われるミッション本番と3月の種子島ロケットコンテストに向けて、D班のCanSatを作り上げていきますので、ぜひ見届けてください。
生命環境科学域 理学類 学部1年 鈴木 啓太