SSSRCだより

2018年2月18日

SSSRCだより 2018年2月号

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SSSRCの活動を応援していただき、ありがとうございます!

 SSSRC 衛星プロジェクト3回生の青島と申します.今年度は,活動に必要な開発費を集めるための活動を力を入れて行いました.KaSpI宇宙ふれあいサマーキャンプ2017,宇宙HACK!出張講座,大阪府立大学全学同窓会,大阪府立大学航空宇宙工学科同窓会などに参加させていただき,我々の活動紹介やご寄付のお願いなどをさせていただきました.その結果,2017年4月から12月までに406万3000円ものご寄付をいただくことができました.このように多額のご寄付金をいただけたのは,偏に皆様のご支援,ご協力あってのことだと強く感じております.センター員一同,心より感謝申し上げます. しかし,衛星開発費(約1000万円),打ち上げ費用(500万円)が不足している状況は変わらず,資金面に大きな課題を抱えているのが現状です.来年度も,ご寄付の幅を広げる活動を継続して行い,「衛星を宇宙へ届ける」「ロケットを空高く飛ばす」という目標達成のために,全身全霊をかけて努力していきたいと考えております.そんな私たちの活動にご支援よろしくお願いいたします.

工学域 機械工学課程 3年 青島 猛弘


ミッション部機能試験の集大成となったEnd-to-End試験―衛星プロジェクト

初めまして,振動計測系の山田将史と申します.最近のEnd-to-End試験についてご紹介します.現在,私はミッション部の実装班として衛星開発に携わっています.ミッション部の実装は主に私たち学部2年生が中心となって任されており,開発メンバーに加わってから今まで多くの時間を実装にかけてきました. 昨年の5月頃から本格的に始動していたミッション機能の実装ですが,11月頃にはブレッドボード上でのソフトウェアの修正が終わり,12月は実際の衛星のミッション部とほぼ同じ基板を用いてバグ回収を行いました.これらの試験は全てミッションの機能ごとに単体で行われ,各機能のソフトウェアはこの後のEnd-to-End試験で初めて統合されることになります.また,End-to-End試験では実際の運用を模擬するため文字通り初期運用からミッションが終了するまでの一連の流れを通して行われました.アンテナ展開や衛星の健全性確認など,バス部であるOPUSAT-KITが持つ機能を含めたものもここで試験されました.この試験を通してこれまでには見えていなかったバグや機能性能の確認などをより詳細に分析し修正していくことが求められ,EM開発に向けてより洗練されたソフトウェアを作り上げていくことが重要となります. End-to-End試験は今までの試験環境とは異なり試験用の機器を用いない独立した衛星を動かすことになるため,実装班だけでなく色々な系が携わる複合的な試験となり衛星全体の幅広い知識が必要になることも多々あります.そのため,開発メンバー全体がこの試験に関わり意見交換や情報交換を逐一行いながら進めていきました.ここでは新たに衛星プロジェクトに入った1年生も勉強を兼ねて参加しました. 年明けから始まったこの試験も,途中に学部生の期末試験を挟みながら,2月中旬で終わらせることができました.試験を行う中で見つかったバス部の再設計や各ミッション機能の修正が必要な点は,この試験で得られた情報を用いて3月から始まる再実装に移行することになります. 今年の夏に向けてEM開発はより本格化し,ソフトウェアの実装も大詰めを迎えます.一方で,OPUSATの運用を知る先輩方も少なくなっており世代交代も求められます.先輩方のノウハウを受け継ぎながらより良い衛星を作っていきたいと思っています.打ち上げ時期に向けてタイトになってきたスケジュールですが,これからのEM,FM製作とプロジェクトメンバー一丸となって開発に取り組んでいきたいと思います.

End to End試験で用いた回路

工学域 航空宇宙工学課程2年 山田 将史


OPUSAT-IIの構体について―衛星プロジェクト

熱構造系担当の谷 亮太朗です.最近の熱構造系の活動について紹介します.前号で紹介されていた通り,私たちは構体を再設計していました.その再設計もようやく終わりを迎えようとしています.私は構体を設計した経験がなく,様々なことを考慮しながら形状を決めていくことが大変難しかったです.まずは,構体に対する要求を洗い出し,その要求を満たすような仕様を考えていきました.最初に洗い出した要求だけを満たすような構体を設計すればよいのであれば,ここまでの時間はかからなかったのかなと思います.最初に洗い出した要求に加えて,「製造する際に材料効率をよくしたほうがよい」,「組み立てた後でも,内部に手が入るような隙間があったほうがよい」などといった要求が後になって出てきました.ミッションの達成のための機器に関する要求やJAXAからの要求とは異なる視点が必要であるとわかり,様々な視点を持つことの難しさを体感しました.やはり経験があるのとないのとでは,かなり違うと思い,今回設計の際に考慮した内容をしっかりとまとめ,後輩たちに伝えたいと思います. 今後は,今回設計した構体の強度解析,熱解析,図面作成を進めていきます.強度解析は,衛星がロケットで打ち上げる際の振動で変形しないか,壊れてしまわないかを確認する解析です.熱解析は,宇宙空間で衛星がどのような温度遷移をするのかを検証する解析です.解析が終われば,作成した図面をもとに構体を製造し,宇宙環境に耐えられるかどうか検証する,様々な環境試験が待っています.厳しい宇宙環境に耐えられる,私たちの最善を尽くした構体を作っていきたいと思います.

製作した構体

工学域 航空宇宙工学課程 3年 谷 亮太郎


CanSatを終えて次のプロジェクトへ―CanSatプロジェクト・C班

先日から,衛星の熱構造系担当となった1年の横田です.まず,cansat開発プロジェクトについて書こうと思います.12月に気球試験を行ったのですが,3班ともミッションを成功することができず納得のいくような結果を得ることはできませんでした.僕はC班に所属していたのですが,反省として挙げられたのは,まずはスケジュール管理でした.回路の作成が遅れ,また配線がかなり複雑であったために気球試験までに完全に完成させることができませんでした.次に挙げられるのは,作業分担がしっかりできていなかったことです.仕事が特定の班員に集中していたことがあり,班員全員が理解できていないことが多々ありました. Cansatプロジェクトを通して自分が思ったことは,ものづくりが非常に難しかったということです.最初,自分はほとんど知識がなく,回路も作ったことがなくプログラミングも基本的なことしかできないような状態でした.そんな状態で,自分たちでミッションを考え,機器を選定し設計するということは非常に難しかったです.また,自分はバイトなどを理由にあまりプロジェクトに参加しなかったことがあり,もっと自分で時間を作り作業に加担するべきだったと反省しています. 先月から,衛星の熱構造系としてOPUSAT-Ⅱのプロジェクトに参加することとなりました.この前CADを初めて使い操作方法に中々慣れなかったり,定例会議や系内会議にではわからない言葉が飛び交ったりしていますが,cansatプロジェクトで得た知識や自分で調べたり先輩に聞くなどして,この一大プロジェクトに積極的に参加していきたいと思います.

工学域 機械系学類 1年 横田 航一

製作したCanSat

1回生の仲瀬です. 昨年は, 夏ごろからC班のCanSatの製作に取り組んでいました. 私たちの班は, モジュールやセンサーなどの取り付けを終わらせられないまま気球試験を迎えることになり, 気球試験では, 当初決めていたミッションを1つも達成できませんでした. これについての反省点はたくさんありますが, 総じて, ミッションの実現可能性の検討が不十分でした. 多くの機器を扱おうとしており, それぞれの調整は技術的に難易度の高いものばかりだったので, 結果的に, 優先度の低い機器の削除やミッションの変更を早い段階でするべきだったと感じました. また, どの工程にどれだけの時間がかかるかの見通しが甘く, 開発全体を通して, 最初に立てたスケジュールから遅れる一方でした. それから, 各作業の効率的な分担が図れなかったことも反省すべき点です. 自分の役割が他の班員の役割に干渉する場合に, 他の人のタスクに関わるうちに役割分担から大きく外れることがありました. また, 特定のタスクが特定の班員に偏ることもありました. これらの反省点を踏まえたうえで, 今もなおCanSatの製作を続けております. 本来は, 年末に行われた気球試験をもってCanSatへの取り組みは終了となるのですが, 私たちの班は3月に行われる加太共同実験というイベントにも参加し, そこでもう一度同様の試験をします. 次こそはミッションをすべて達成できるよう, 改善を加えながら鋭意製作中です. 今年になってから, 私はOPUSAT-Ⅱプロジェクトの振動計測系に配属されました. 今は, CanSatの製作と並行しながら, 新たなプロジェクトでのタスクに取り掛かっています. まずは先輩方が作り上げてきたシステムやプログラム, 資料などを読んで理解する必要がありますが, わからないことばかりで非常に大変です. このプロジェクトでは, CanSatの時のような失敗は絶対に許されません. これまで以上に自分の仕事に責任を持ち, より多くの仕事を任せてもらえるよう頑張ります.

工学域 機械系学類 1年 仲瀬 寛輝