SSSRCだより

2024年3月1日

SSSRCだより2024年3月号

SSSRC振り返り

大阪公立大学のSSSRC衛星プロジェクト修士2年、寺垣と申します。

私はこのプロジェクトで衛星の姿勢制御系に関わってきました。 卒業・卒所まで残り1ヶ月となり、6年間の活動を振り返ると、「ひろがり」の運用とその準備に関わることができた事が印象深い思い出です。

衛星の開発や運用のエピソードが注目を集めがちですが、運用を成功させるためには準備もまた重要な部分となっています。 準備で大変だったのは、運用フローの作成です。これは一見簡単そうに聞こえますが、ダウンリンクしたデータに不足がないか、パドル等を展開しても電力が不足しないかなど、様々なケースを想定して作成するため、かなり複雑なフローになります。当時、私は3年生だったので、衛星の仕様などを完璧に把握する必要があったり、その中でも姿勢に関しては責任を負う立場だったりと中々大変でした。

運用の方は多くの想定外が起こったので、特に印象に残っています。放出後1週間するまで通信が取れなかった話は既にお伝えしているかと思います。しかし、それ以外にも運用初めの最初の1週間は、姿勢や温度が想定と異なった状態になり、状況確認をするために毎日明け方までダウンリンクしたデータの解析、そして、次の日の運用についての議論とかなり充実はしていたものの、後から振り返るといつ寝ていたかも覚えてないぐらいハードな日々だったなぁと思います。

 ですが、達成感もかなりあって、「ひろがり」のパドル展開が特にその瞬間でした。ニクロム線を焼き切ってパドル展開をするのですが、宇宙上では予定よりも温度が低く、焼き切れないという問題が起きました。そのため、衛星から見て太陽が出て、温度が高くなるタイミングで実行する必要がありました。当時、私は衛星の軌道も担当しており、そのタイミングを計算したり、衛星のステータスを考慮した結果、PMとコマンド実行の判断をして、実際に成功したわけですが、そういった達成の瞬間を味わうことが出来て良い経験をさせてもらったなぁと感じています。

 最後に,衛星運用という経験しがたい経験をさせて頂き色々なことを学ばせて頂いて卒業することが出来たのは皆様のご支援あってのことだと感謝しております.次期衛星プロジェクト,ロケットプロジェクトにおいても現在進行中でして、後輩が頑張って開発していますので、引き続きご支援賜りますようお願いいたします!

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ひろがりの運用フロー

航空宇宙工学分野 修士2年 寺垣 隼

この一年を振り返って 

 こんにちは、小型宇宙機システム研究センター(SSSRC)に所属しています、岡と申します。僕は次から3回生ということで、SSSRCに入所してからもうすぐ2年が経過しようとしています。一年目はCanSat実習で、日々時間との闘いだったため、ほかのことを考える余裕がありませんでしたが、今年度からは衛星プロジェクトの姿勢系に配属され、自分のペースで開発をすることとなり、より自由度が上がりました。本文では、この一年を振り返ってみようと思います。今年度は、開発以外にも新歓活動から始まり、学祭でお店を出したりしました。どの活動も、非常に有意義なものでした。さて、一年姿勢系で過ごしてみて思ったこ

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友好祭での出店

 

とは、とても楽しかったけど、正直苦しかったです。もちろん、自分にとって衛星の開発に関わるというのは初めてのことばっかりで、新鮮で、非常に貴重な経験だな、という実感はあり、秋ごろまではモチベーションも高くやっていたのですが、SSSRC以外のことも含めてやらなければならいことが増えると、どうしても自分の中で収拾がつかなくなって、何も手につかなくなってしまいます。冬以降はそのような状態が続いてしまって、あまり開発に積極的になれませんでした。このことは、自分の中でもうちょっとやりようはあったのではないかな、と反省すべき点です。しかし、そうはいってもこのプロジェクトに参加し、衛星開発に関わっているという現状は自分にとってプラスになることばかりだということも痛感しました。多くの方々の協力があってこそ開発できる、ということも忘れず、これから一年、また一年、着々と知識や技術をみにつけていければいいなと感じています。そして、このSSSRCを退所する日に、すばらしい達成感を味わえるように頑張っていきたいと思います。以上、ちょっと暗い内容になっちゃった部分も多かったけど、これで本文を締めくくらせていただきます。

 

衛星プロジェクト 姿勢系2年 岡柊斗

CanSat講習は大変だった

 CanSat講習はSSSRCに新しく入所した私たちにとっての関門です.この講習で私たちはCanSatと呼ばれる模擬人口衛星を5~7人のチームでおよそ半年をかけて開発します.CanSat講習というと最初に私が想像したのは電子部品を組み立てたりコードを書いたりといった作業でしたが,実際にはこれらの作業はもちろん,ミッション検討やCanSatローバーに求められる要求の分析などといった,話し合いにも多くの時間を割きます.この話し合いの結果を発表資料にまとめ,先輩方にその内容へのレビューをもらうというのがこのCanSat講習の前半の主な活動でした.

 こうした発表資料の多くは「〇〇日までに提出せよ」と先輩方への提出期限が設けられているのですが,まあこうなると私たちは提出期限前日の23:55といったギリギリの時間に提出します.そうすると夜行性の先輩方がオンラインで資料の内容についてのコメントを下さり,翌朝からそれらのコメントをもとにまた話し合いを行っていきます.前半はこの流れの繰り返しで,決して楽なものではありませんでしたが,成長している感覚を得ることができました.

 講習の後半はCanSatのイメージ通り,電子部品を組み立てたりコードを書いたりといった作業が中心に行われました.私たちは開発スケジュールを組んで,それに間に合わせるために遅くまで作業部屋に残ってはんだ付けや動作確認を行いました.作業はなかなか思い通りにはいかず,マイコンボードが故障したり,パラシュート展開の試験時にCanSatローバーが地面と衝突して壊れたりといったトラブルも数多くありました.

 開発したCanSatローバーは,最終試験においてミッションが達成できたかどうかを試験されます.ミッションの一部の達成はかなわなかったものの.私たちはCanSat講習を通して「開発」がどのようになされていくのかを身をもって知ることができました.

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組み立て途中のCanSatローバー

 

電子物理工学科 1年 坂本一眞