SSSRCだより

2024年6月20日

SSSRCだより2024年6月号

最近のミッション系の活動 

 はじめまして、衛星プロジェクトの電源系とミッション系に所属している、学部4年の宮路です。今回はミッション系での最近の活動をご紹介します。 

 

 そもそもミッション系とは何ぞやと申しますと、人工衛星は、「バス部」と「ミッション部」から構成されています。バス部は衛星の基本的な動作を支えるのに必要な部分です。電源系などはこちらにあたります。対して、ミッション部は衛星に与えられたミッションを遂行するために必要な部分です。ミッション系では、このミッション部の設計やミッションに関する実験を行います。 

 

 現在、ミッション系では、次号機OMUT-IIIのミッションである「格子投影法による膜構造物の計測」に向けた実験を行っています。格子投影法とは、計測対象物に格子を投影し、その画像を撮ることで、計測対象物の形状を画素ごとの座標として計測するという画像計測法です。現在行っている実験は、超小型衛星サイズ(~10cm×10cm)で格子投影法が可能かを確かめるため、衛星を模した機器配置で平板を計測しています。しかし、残念なことにまだ上手く計測が出来ていないです。 

  

 これまで何度か実験してみた結果、現在使っているガラス格子では投影される格子の明暗の差が小さいため、座標が上手く計算できていないことがわかりました。そのため、明暗がはっきりするよう格子幅を変えたり、格子を投影する他の方法を探したりしています。 

 

 この実験のように衛星開発はなかなか思い通りにいかないことも多いのですが、その分、上手くいった時の喜びも大きいです。これからもOMUSAT-IIIがより良い衛星となるよう、精進していきたいと思います。 

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格子投影法の実験の様子

航空宇宙工学課程 学部4年 宮路健誠 

アマチュア無線ミッション

 はじめまして、現在SSSRC唯一の現代システム科学域所属である学部3年の田原です。僕は衛星プロジェクトで、通信系とC&DH系に所属しています。今回は通信系で取り組んでいるアマチュア無線ミッションについて話そうと思います。 

 当センターで現在開発中のOMUSAT-IIIでは、アマチュア無線ミッションとしてSSTVによる衛星搭載カメラで撮影した画像の放送を予定しています。SSTVとは、「低速度走査テレビジョン・Slow Scan Television」の略で、画像を音声信号に変換して、1分から2分程度の時間でゆっくり転送する画像の転送方式です。 

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SSTV信号を画像に変換している様子

 

 現在通信系では、カメラで画像を撮影する機能、画像を音声信号に変換する機能、音声信号を音声出力端子から出力する機能を実装しました。これからは、コールサインを画像中に埋め込む機能なども含めて機能の統合や、実際に無線機に信号を入力しての試験などを行う予定です。また先日、放送スケジュールやどんな画像を放送するかなどの、どのようにミッションを進めるかの運用フローを決める作業会を行いました。カメラでの撮影、撮影した画像の確認、画像の放送をそれぞれコマンドで実行するように決定しました。今後はこの運用フローに従ってミッションモードの実装を行っていく予定です。 

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検討中の運用フロー 

 

今年度はOMUSAT-IIIの開発を大きく進めたいと考えております。最後まで読んでいただきありがとうございました。 

現代システム科学域 知識情報システム学類 3年 田原史之典 

ロケットプロジェクトに入って

 皆さま、こんにちは。この4月からロケットプロジェクトの電装系と構造系に所属した学部2回の浅井です。 

 今回は電装系の活動について書こうと思います。

 電装系の仕事はずばり電子工作です!基板の設計やはんだ付けなどの製作、プログラミングまで全て自分たちで行います。 私は4月から先輩と一緒に頂点検知試験を行いました。ここで、頂点検知についてご説明しようと思います。ロケットが打ち上がった後、パラシュートを開く必要がありますが,パラシュートを最高高度付近で開傘する為に,頂点検知を行います。具体的には、気圧センサで計測する高度とロケットが打ち上がってから計測する時間を用いて頂点検知の判定を行います。 

 最初は2週間ぐらいで終わるかな、と思っていましたが、最終的に1ヶ月近くかかりました…CanSat講習が終了してから3ヶ月近くプログラムに触っていなかったので不安でしたが、先輩に色々教えてもらいながら、試験で使うプログラムをつくることができました。しかし大変なのはここからでした。はんだやXHコネクタの接触不良で試験が出来ないことが多々あり、それの修正にかなりの時間をようすることとなってしまいました…その後,エレベーターに乗って試験をし、電装系に所属している先輩方からの助言を参考にプログラムを改変していき、なんとかプログラムを完成させ、試験に成功することが出来ました。

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先輩と試験をしている様子 

 他のプログラムと統合して,試験を行ったり,運営に提出する審査書の記入が次のタスクとなっています. 最近,9月に打ち上げる予定のロケットの名前も決まったところなので,これからより一層活動を頑張っていきたいと思います. 

航空宇宙工学科 2回 浅井遥翔