機械工学科

 

概要

人や環境と共存する
高品質な「ものづくり」を。

機械工学は、幅広い産業分野で必要とされる基盤的な学問分野です。環境やロボット、マテリアル、航空・宇宙、輸送、医療など、人々の生活を豊かにする様々な技術の構築に寄与してきました。既存の伝統的な基盤技術に加え、時代とともに変化する産業構造や社会の要請に応えるため、新たに創成された技術や原理を取り入れ、日々進化・発展を続けています。
機械工学科では、現代社会を支える機械・装置・設備・構造物・プラントなど、「機械」という範疇に含まれる全ての「もの」を対象としています。人・環境と共存・共生する「ものづくり」のための学理を構築し、質の高い「もの」の創成・開発・設計・生産・運用を探求しています。それと同時に、持続可能な社会の実現に貢献できる人材の育成に注力しています。
まず、材料・システム・環境・エネルギーなどの幅広い基盤技術に関する知識を修得します。その後、研究活動を通じて原子・分子レベルのナノ・マイクロスケールから社会のマクロスケールまでを、多角的・俯瞰的な視点でとらえて課題を認識・考察します。こうしたプロセスを経て問題の解決法を主体的に発想し、実践する能力を身につけます。機械工学科が求めているのは、ものづくり、物理や数学、人・社会・環境に興味を持つ学生、持続可能な社会の実現を切り拓く意欲のある学生です。ともに次世代の機械技術や先端材料の創成に挑戦しましょう。

機械工学 海洋システム工学科

 

研究グループの構成と教員

中百舌鳥キャンパス(B7棟)

研究グループ 職名 氏名 主たる研究内容等
1.熱プロセス工学 教授 伊與田 浩志 過熱水蒸気・湿り空気、水、複雑流体などが関わる様々な移動現象解析に基づく産業機械の開発、湿度の計測と制御装置の開発、色彩と光沢の評価装置の開発、渦流動や液滴を利用した新規撹拌・混合プロセスの開発
講師 増田 勇人
助教 藤本 恵美子  1)
2.環境熱工学 教授 脇本 辰郎 界面活性剤添加流れの抵抗低減メカニズム、波力発電システムの開発、界面活性剤水溶液薄膜の安定性
3.流体物理学 准教授 大森 健史 固体と液体の濡れと摩擦の物理、マイクロ・ナノ流体力学、特に界面近傍での多重スケール性に着目した研究
4.知能システム 講師 今津 篤志 生活支援ロボット、特殊移動ロボットの開発、リハビリ支援機器の開発
助教 高井 飛鳥
5.生産加工工学 教授 金﨑 順一 表面科学的・光物性学的手法を用いた固体分析、光を用いた超精密加工と新物質創成、金属系抗菌材料の開発、微生物腐食の事例解析
准教授 川上 洋司
6.動力システム工学 准教授 瀧山 武 内燃機関の制御、知能化ビークルの開発
7.ロボット工学 教授 高田 洋吾 アクアロボットや橋梁検査ロボットの開発、ロボット周りの流動解析、血流シミュレーション
8.材料知能工学 准教授 中谷 隼人 繊維強化複合材料の知能化、成形プロセスの最適化、強度と破壊、接着・接合、FRP/金属ハイブリッド複合材料の成形および機械的特性と損傷許容性の評価
9.材料数理工学 教授 山崎 友裕 超音波による材料の非破壊評価、FRP成形の超音波モニタリング、知的材料の振動制御、機能性流体を用いたデバイスの開発
助教 大島 信生
10.材料機能工学 教授 兼子 佳久 先進SEM法による格子欠陥解析、バルクナノ結晶の創製と力学的特性、ナノ構造膜の電気めっき、ミクロとマクロの変形を繋ぐ研究、プラスチックの変形評価、デジタル画像を用いた変形測定
准教授 内田 真
11.材料物性工学 講師 三好 英輔 金属材料の微細組織形成シミュレーション、金属材料の界面特性および力学特性の数値解析
12.材料先進工学 講師 桑原 卓哉 マルチスケールマテリアルモデリング、金属・セラミクス・炭素系材料のトライボロジー、メカノケミストリー
13.応用数学 教授 松岡 千博 流体力学、パターン形成、カオス力学系における数理的研究、特に界面や渦層の非線形運動の数値的解析

 

中百舌鳥キャンパス(B4棟)

研究グループ 職名 氏名 主たる研究内容等
1.材料力学 教授 三村 耕司 材料力学、塑性力学、固体力学、材料強度学、衝撃工学、実験力学
准教授 楳田 努 材料力学、固体力学、衝撃工学、動的構造解析、損傷力学
准教授 陸 偉 計算科学、生体医工学、生体材料学
2.機械設計工学 教授 石原 正行 弾性数理解析、湿熱弾性学、電気弾性学、グリーンマテリアルの固体力学
3.バイオ生産システム工学 教授 福田 弘和 結合振動子システム、同期制御、パターン形成、複雑ネットワーク制御、植物工場
助教 藤永 拓矢 フィールドロボティクス、農業ロボット、水中ロボット
4.機械計測工学 講師 水谷 彰夫 計測工学、応用光学、ナノフォトニック・デバイス
5.システム制御学 講師 小林 友明 システム制御学、実時間制御、最適制御、制御理論応用、メカトロニクス
6.機械力学 教授 新谷 篤彦 振動工学、耐震工学、流体構造物連成振動、アクティブ制振、人間工学、振動利用
准教授 中川 智皓 機械運動学、移動システム、機構学応用
7.伝熱工学 教授 須賀 一彦 伝熱工学、乱流モデル、多孔体乱流、格子ボルツマン法、ナノ・マイクロ熱流動
准教授 金田 昌之 自然対流、数値流体力学、液滴、磁化力対流、電磁流体力学
准教授 桑田 祐丞 乱流工学、数値流体力学、壁乱流、乱流スカラー輸送
8.動力工学 教授 瀬川 大資 燃焼学、燃焼診断、内燃機関、宇宙環境利用実験
講師 片岡 秀文 デトネーション、燃焼学、衝撃波、内燃機関
9.流体工学 教授 高比良 裕之 流体工学、キャビテーション、気泡力学、気液二相流、マイクロ・ナノ流体工学
准教授 小笠原 紀行 流体工学、気液二相流、気泡力学、流体計測
講師 中嶋 智也 流体工学、機械工学と製造業技術
10.エネルギーシステム工学 教授 涌井 徹也 エネルギーシステム工学、数理最適化、エネルギーマネジメント、サイクル解析、ゼロカーボンエネルギーネットワーク、再生可能エネルギー
11.熱環境システム工学 教授 木下 進一 環境工学、環境熱工学、熱物性、人間熱科学、都市環境システム
助教 安田 龍介 環境工学、大気拡散、大気汚染制御、局地気候
12.環境保全工学 教授 大久保 雅章 環境保全工学、環境プラズマ、低環境負荷エネルギー変換、プラズマ材料科学
准教授 黒木 智之 環境保全工学、非熱プラズマ応用技術、排ガス処理、廃液処理
准教授 山崎 晴彦 環境保全工学、低環境負荷エネルギー変換、磁気機能性流体、二酸化炭素サイクル

 

1) 日立造船(株)とのクロスアポイントメント教員

カリキュラム

1年次 1年次前期に情報リテラシー科目・外国語科目・教養科目・基礎教育科目などの基幹教育科目で汎用性のある基礎力を磨きます。特に数学、力学を中心とした基礎教育科目を、機械工学の基盤科目として履修します。また、基礎教育科目や専門科目の位置付けと相互の関連、目標と役割について理解を深めるため、「機械工学概論」を履修します。1年次後期には専門の導入科目として「機械工学基礎」を履修します。
2年次 数学、力学の応用的な基礎教育科目を、機械工学の基盤科目として履修しながら、3年次以降の専門科目の基礎となる材料力学・機械力学・流体力学・熱力学・材料学と、機械工作・機械製図・機械設計・機械制御を扱う専門科目を履修します。さらに「機械工作実習」では機械工学の本質である「ものづくり」を、「機械製図演習」では情報技術により「ものづくり」を効率的に扱う手法を学びます。
3年次 「機械設計演習」「機械基礎実験」などの科目で仕様に応じた適切な設計手法などを学び、機械工学に関連する課題設定能力・問題解決能力・対話能力・自己表現能力を獲得します。「工学倫理」「環境倫理」では、技術者・研究者としての倫理観を身に付けます。また、学生ごとに専門コースを設定し、縦断的かつ横断的に専門科目を履修することで、個性を活かしながら様々な領域の知識と応用力を獲得します。
4年次 「機械工学卒業研究A」(前期)、「機械工学卒業研究B」(後期)を履修し、最先端の研究課題に取り組むことにより、機械工学の学びの集大成として、創造能力・対話能力・自己表現能力を獲得します。

 

研究トピック

生態系の調査や社会インフラの点検をロボットで合理化する。

ロボット工学研究グループ

自然や天然資源を無尽蔵に利用し、社会インフラを造っては壊す社会のあり方は過去のものになりつつあります。ロボット技術は、既存のものを次世代へ継承する持続可能な社会づくりに役立つ技術として注目されています。現在、「橋梁検査ロボットBIREM」「コンクリート構造物調査機HORNET」などを開発中です。複数の磁石を車輪に取り付けたBIREMは鋼橋のあらゆる場所で走行可能です。また、HORNETは磁力を活用できないコンクリート建造物の側面に爪を軽く接触させて建造物壁を昇降します。これらの移動型ロボットの開発には、機械工学・電気工学・情報工学の全てをマスターすることが要求されます。大変ではありますが、ロボットの開発プロセスは、社会で商品づくりに取り組むときに役立ちます。研究室では、AI時代をより良く生き抜くのに不可欠な想像力・洞察力・デザイン思考の力などを思う存分に伸ばしてほしいと考えています。

ロボット工学研究グループ

 

ロボット工学研究グループ

ロボット工学研究グループ

 

在学生の声

めざすは未踏の領域。創造力をバネに機械工学を追求でき、研究者としての成長が止まらない学科です。

大阪市立大学 大学院 工学研究科 機械物理系専攻 前期博士課程 1年生 谷本 昂士郎 さん
兵庫県立宝塚北高校 出身

様々な業界に広く通用する機械系分野に興味を持ち、機械工学科に進学しました。プログラマーへの強い憧れがあり、4年次から流体工学の研究室に所属。コンピュータシミュレーションによる流動解析を行っています。研究室では、各々が研究に深く向き合っています。教授とのコミュニケーションはもちろん、学生間の議論も活発です。大学院進学後も引き続きシミュレーションの技術を使った研究に取り組んでいます。現在は、企業との共同研究で空気噴流で精密ガラス表面に付着したサブミクロンサイズのゴミを除去する装置を開発しています。大学および大学院での学習・研究を通して、未解決課題を突破する力を身につけ、将来就職したときに大いに役立てたいと考えています。

谷本 昂士郎さん

 

卒業生の声

環境保全・高齢化・移動権確保の観点から人にも環境にもやさしい
個人の新しい移動手段の創出をめざします。

大阪府立大学 工学部 機械システム工学科(飛び級により中途退学)その後、東京大学大学院にて博士号 中川 智皓 さん
大阪府立三国丘高校 出身
勤務先 大阪府立大学 准教授

現代社会では、航空機・船舶・鉄道・自動車などの高速・大量輸送システムの技術開発が行われています。その一方で、人にも環境にもやさしい個人の新しい移動手段である「パーソナルモビリティビークル(PMV)」の創出が必要とされています。機械工学科では、倒立振り子型車両やコンパクトな自転車、あるいはスタイリッシュな高齢者用移動車両など、新しいPMVの開発に取り組んでいます。また、人の心理まで含めたPMVの相互作用の解明をめざしています。

中川 智皓さん

 

主な就職先

関西電力/クボタ/ダイキン工業/デンソー/三菱重工業/三菱電機/キヤノン/パナソニック/ダイハツ工業/帝人/京セラ/日本航空/東海旅客鉄道/東京エレクトロン/トヨタ自動車/キーエンス/日立製作所/スズキ/住友重機械工業/住友電気工業/三井化学/ファナック/富士通/ブリヂストン/北陸電力/村田機械/川崎重工業/シマノ/日立造船 ほか

教育目的

機械工学を中心とした幅広い知識、技能と、豊かな人間性、及び倫理観を持ち併せ、地域社会から地球規模までの機械工学における最新の重要課題について、多角的、俯瞰的な視点で課題を認識・考察して、人にも環境にも優しい持続可能な社会の構築に向け、主体的にその克服・解決を発想し実践できる人材を養成する。

学科ポリシー

アドミッション・ポリシー

持続的発展が可能な社会を構築していくことが求められる中で、人・環境と共存・共生する機械技術、機械システムの確立が必要不可欠となっている。そのために機械工学科では、機械工学を中心とした幅広い知識、技能と、豊かな人間性、倫理観を持ち、大阪から地球規模までの機械工学における重要な課題を、材料からシステム、環境、エネルギーまで、原子・分子レベルのナノ・マイクロスケールから社会のマクロスケールまで多角的、俯瞰的な視点で認識・考察して、主体的に克服・解決法を発想し、実践する人材を育成することを目標とする。したがって、機械工学科では、工学部のアドミッション・ポリシーに加えて、次のような学生を求める。

  1. 機械工学の幅広い技術・学術に強い関心があり、社会の持続可能な発展に貢献する意欲を持つ人
  2. 機械工学に関する専門知識と技術、論理的な思考力、豊かな創造力の獲得を目指し、勉学意欲を持つ人
  3. 機械工学に関する専門知識と技術をもとに、国際的な視野で豊かな社会の構築に貢献する意欲を持つ人
  4. 高い倫理観を持ち、機械工学に関する専門知識と技術を利用して、社会の諸問題の解決に意欲的に取組む

 

ディプロマ・ポリシー

工学部および機械工学科の人材養成の方針にもとづき、以下の能力を身に付けたものに学士(工学)の学位を授与する。

  1. 数学、物理学および情報科学に関する知識と技能を工学に応用できる(基礎能力)。
  2. 機械工学に関する専門の知識と技能を体系的に工学に応用できる(専門能力)。
  3. 日本語等で、機械工学に関連する文章を、読み、書くことができ、論理的な議論ができる(論理的思考力)。
  4. グローバル化し、高度にネットワーク化された情報化社会に柔軟に対応でき、豊かな教養に基づいて多面的、俯瞰的に物事を考えることができる(幅広い視野)。
  5. 国際的コミュニケーション能力を有し、対話や自己表現により異文化と交流できる(異文化コミュニケーション能力)。
  6. 機械工学の専門領域において、社会および自然に及ぼす影響や効果、およびこれらの分野の専門家、技術者が社会に対して負っている責任を認識し、倫理観とそれに基づいた判断と行動ができる(倫理観)。
  7. 機械工学の専門分野を利用して、社会の要求や課題を理解し、解決に向けた手法や取り組み方を創造できる(課題解決のためのデザイン能力)。
  8. 生涯学習の観点から、自主的、継続的に機械工学の専門分野について、その応用も含めて学術分野全般を学習できる(学び直し能力)。
  9. 与えられた制約のもとで計画的に課題を進めて、まとめることができる(マネジメント能力)。

 

カリキュラム・ポリシー

工学部および機械工学科のディプロマ・ポリシーの達成を目的として、以下のように教育課程の編成を行う。

  1. 工学の基礎に根ざした学問の系統性と順次性を尊重して、基幹教育科目と専門科目により構成される整合性・一貫性を持つ体系化された教育課程を編成する。
  2. 基幹教育科目の履修により、自然科学、人文科学、社会科学を体系的に学修させて、教養豊かな人間性と幅広い学修成果を身に付けさせる。とくに基幹教育科目に含まれる基礎教育科目の履修では、工学を学ぶために必要な、自然科学全般についての基盤的知識を修得させるとともに、生涯に亘る学びの基礎を築く。
  3. 1年では、学生の幅広い学修を保証し、豊かな教養を身に付けさせるため、基幹教育科目を中心に配当する。とくに数学、力学を中心とした基礎教育科目は、4年間の学士課程教育の基礎を築くため、適切に配当する。また、前期には専門の概論科目を配当し、機械工学の概要を紹介してその特徴を理解させるとともに、基幹教育科目も含めた幅広い学修の重要性を認識させる。さらに後期には専門の導入科目(数学、材料力学、機械力学・振動工学、流体力学、および熱力学の基礎)を配当し、学修意欲を高めるとともに、専門教育への接続を円滑にする。
  4. 2年では、1年の学修で得られた基礎的で幅広い学修成果を2年以降の専門科目履修に繋ぐ基礎能力を育成することを目的として、数学、力学を中心とした基礎教育科目を、引き続き適切に配当する。また、2年前期には、材料力学、機械力学、流体力学、熱力学および材料学の入門的な専門科目を配当し、機械工学の基本的な専門能力を育成して、2年後期以降の専門科目への接続を円滑にする。
  5. 2年後期から、材料力学、機械力学、流体力学、熱力学および材料学と、機械工作、機械製図、機械設計、機械制御を中心とした専門科目を配当し、講義、実習、演習、実験の連携により、機械工学に関する問題解決に応用できる専門能力を育成する。また、それらの学修を援助するため、機械工学の観点から電気、情報、数学などを学修する専門科目も、適切に配当する。
  6. 3年では、学修を深化させる専門分野を、学生ごとに素養と希望をもとに設定し、その専門分野を中心にして、その他の専門分野も含めながら縦断的かつ横断的に専門能力を育成する。また、倫理2科目を必修とし、技術者・研究者としての倫理観を涵養する。

各科目の学修成果は、定期試験、中間試験、レポート、発表等の平常点等で評価することとし、その評価方法の詳細については、授業内容の詳細とあわせてシラバスに記載する。