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2024年4月1日
- 2023年度イベント情報
<報告>「社会課題解決アイデア発表会2023」を開催しました(2024年2月28日)
「社会課題解決アイデア発表会2023-共創の学びの場-」
2024年2月28日(水)に、「社会課題解決アイデア発表会2023-共創の学びの場-」を、博士後期課程学生の支援プログラムである、科学技術イノベーション創出に向けた大学フェローシップ創設準備事業のボトムアップ型として採択された「スマート社会を牽引する共創型X-Care 課題解決アーキテクト養成」のイベントとして開催しました。
本イベントは、研究で取り組んでいる内容を活かして社会課題を解決するアイデアを募集し、毎年開催しているものです。人・モノ・社会・文化などの社会課題に対峙し、多数のステークホルダーとの共創活動により、課題解決に向けた社会実装ソリューションを具体的にデザインすること、その過程を通じて皆さんのトランスファラブルスキルが向上することを狙いとしております。
大学フェローシップ創設事業生の参加を推奨しておりますが、大阪公立大学(府大・市大含む)全学生であれば、学域・学部・研究科は問わないことから幅広い方に興味をもっていただき、9チームの応募をいただきました。
厳正なる審査の上、今年もチャレンジ精神溢れ素晴らしい解決アイデアを企画・実行された5チームが本選にて発表を行いました。
■アイデア1
チーム名:KKコンビ
『消費期限のリマインドシステム ー家庭⾷品ロスの直接廃棄を減らすためにー』
代表者 坂本 ⼀眞さん (⼯学部 電⼦物理⼯学科/B1)
出雲 航基さん (⼯学部 電⼦物理⼯学科/B1)
■アイデア2
チーム名:クルトギ
『コンポストマッチングシステムによる家庭系⾷品廃棄物の再⽣利⽤促進』
代表者 ⽯倉 直武さん (情報学研究科 基幹情報学専攻/D1)
関 勇弥さん (情報学研究科 基幹情報学専攻/D1)
鄭 民雋さん (経営学研究科 グローバルビジネス専攻/D1)
■アイデア3
チーム名:チョウさん
『アルツハイマー病の発症率を下げるための最適なプログラムシステムの開発について
ーアルツハイマー病の⼀因とされる⽯油系溶剤の排出削減政策実施に向けてー』
代表者 張 蒙さん (経済学研究科 経済学専攻/D2)
王 聞達さん (工学研究科 航空宇宙海洋系専攻/D2)
傅 裕さん (医学研究科 細胞機能制御学専攻/D2)
■アイデア4
チーム名:グーさん
『⾼齢者の歩⾏活動を促す近隣環境要素は何か?』
代表者 顧 洋成さん (⽣活科学研究科 ⽣活科学専攻/D1)
王 暁鋭さん (⽣活科学研究科 居住環境学専攻/D1)
■アイデア5
チーム名:ユニバーサル
『障がいを抱えた⼈への⽣活の質を向上させるための取り組み
ーみんなが楽しめる「介助付きリゾート施設」の⽴ち上げー』
代表者 島本 淳⼦さん (⽂学研究科 ⽂化構想学専攻/D2)
福本 敦也さん (大阪教育大学 教育学部 学校教育教員養成課程 特別支援教育専攻/B4)
岡野 翔さん (近畿大学 総合社会学部 総合社会学科 心理系専攻/B4)
安見 一葉さん (文学研究科 文化構想学専攻/M2)
<委員長>
■松井利之
副学長/国際基幹教育推進機構 高度人材育成推進センター長 大学フェローシップ創設事業運営委員長/スーパーシティ研究センター 研究員
<審査委員>(順不同)
■戸出英樹
情報学研究科 教授/大学フェローシップ創設事業スマート社会 部会長/スーパーシティ研究センター副センター長
■河北哲郎
国際基幹教育推進機構 高度人材育成推進センター 特任教授/大学フェローシップ創設事業・次世代研究者挑戦的研究プログラム事業 運営委員
■川野英二
文学研究科 人間行動学専攻 教授/大学フェローシップ創設事業スマート社会 部会委員・次世代研究者挑戦的研究プログラム事業 副委員長
■水関健司
医学研究科 基礎医科学専攻 教授/大学フェローシップ創設事業スマート社会 部会委員
■関山泰司
研究推進課 学術研究推進本部URAセンター URA/スーパーシティ研究センター 研究員
<外部審査委員>(順不同)
■狩野俊明 氏
大阪府スマートシティ戦略部戦略推進室 戦略企画課課長/大阪公立大学 スーパーシティ研究センター アドバイザー
■豊島義裕 氏
大阪市デジタル統括室 スマートシティ推進担当課長
■花家薫 氏
堺市 市長公室 政策企画部課長
■河村真徳 氏
富士通Japan株式会社 パブリック&ヘルスケア事業本部 関西公共ビジネス部 関西教育ビジネス部
■田中健司 氏
株式会社K-FIRST 代表取締役
■森下亮佑 氏
シー・システム株式会社 専務取締役
■南原一輝 氏
株式会社ATOMica 代表取締役Co-CEO
<メンター>
■辻智
特任教授/研究推進課 博士人材育成支援室/スーパーシティ研究センター 研究員
■田中誠
特任教授/研究推進課 学術研究推進本部URAセンター/スーパーシティ研究センター 研究員
■中西徹
特任教授/研究推進課 博士人材育成支援室 /スーパーシティ研究センター 研究員
●13:00~開会
大学フェローシップ創設事業スマート社会メンターである辻智特任教授の開会及び趣旨説明に続いて、スマート社会部会長である戸出英樹教授による開会の挨拶により、いよいよアイデア発表会2023のスタートです。
会場は、ご来場いただいた観覧者の方々含め、とても和やかな雰囲気です。
●13:40~プレゼン開始
1番手はチーム:KKコンビによる「消費税期限のリマインドシステムー家庭食品ロスの直接廃棄を減らすためにー」です。
なんと学部生、しかも2人とも1年生によるエントリーです。
本発表会は大阪公立大学生全員に出場資格がありますが、学部生からのエントリーは過去前例がなく大変嬉しいものでした。代表の坂本さんに感謝です。当日は同チームの出雲さんがプレゼンに奮闘。会場の皆さんの興味を惹きつけるべく、冗談を交えたり別画面を準備したりと、随所に工夫が見受けられました。初プレゼン、しかも1番手として緊張されていたとは思えないほど堂々と、アイデアのアピールポイントを楽しく解説いただき、会場の雰囲気を盛り上げてくれました。
発表終了後は審査員の方々が次々に手を挙げられて、1番手のチームへの質問量とは思えないほど白熱。
特に自治体の方々にはSDGsに絡む“「食品ロス」を減らそう、なくそう”に直結するアイデアであるとの事で称賛をいただき、実現化に向けてより具体的な質問が飛び交いました。
2番手はチーム:クルトギによる「コンポストマッチングシステムによる家庭系食品廃棄物の再生利用促進」です。
代表の石倉さんによる発表です。柔和な雰囲気をまとい、明瞭で聞き取りやすい解説に、アイデアの行く末がイメージしやすい発表資料。まるでプレゼンのお手本を見ているようでした。
こちらもSDGs絡む内容であったため、発表終了後は質問の嵐!
質問には石倉さんはじめ、同チームの関さん、鄭さんも加わり、各質問に各自の強みを活かして回答。審査員の方々もすぐに納得され、更に質問が続くという好循環が起こっていました。今回のアイデアは鄭さんの故郷である韓国での日常風景から発想を得たということも審査員の興味を引いた要因でした。
3番手はチーム:チョウさんによる「アルツハイマー病の発症率を下げるための最適なプログラムシステムの開発について-アルツハイマー病の一因とされる石油系溶剤の排出削減政策実施に向けて-」です。
発表者は王聞達さん。発表直前までプレゼン資料を手直しされ、皆さんへアイデアが届く準備に余念がありませんでした。
チーム:チョウさんは経済学研究科、工学研究科、医学研究科とメンバー各自の所属が違う混合チームです。その強みを活かし、この難題に対するアプローチを多角的に行いました。
発表後、審査員の方々からは「アルツハイマー病発症率低下についての視点が斬新で、このアイデアは将来とんでもなものに化けるのでは…。」と好評でした。
4番手はチーム:グーさんによる「高齢者の歩行活動を促す近隣環境要因は何か?」です。
代表である顧さんの日頃の研究から発想を得たもので、坂道の多い大阪狭山市の金剛団地にお住まいの高齢者の方々数十名にご協力いただいたデータを活用したものです。
発表後、質問を重ねていくと何やら矛盾が…。審査員、特に自治体の皆様はそれぞれスマートシティ実現に向け、モビリティとの融合社会実現を進められていますが、顧さんの実験では、負荷のかかる環境での運動は健康寿命に良いと出ており、モビリティの進出は逆効果なのでは…とのジレンマが…。審査員の皆様をハッとさせる素晴らしい結果となりました。
最後はチーム:ユニバーサルによる「障害を抱えた人への生活の質を向上させるための取り組み-みんなが楽しめる「介助付きリゾート施設」の立ち上げ-」です。
代表者の島本さんも緊張の中、現在進行中の屋久島にて計画中の介助付きリゾート施設の立ち上げについて、ご自身を取り巻く環境を説明した上で、その必要性を力強く報告してくれました。
実際に進んでいるプランであるということもあり、質問は現在の進捗状況や介護施設を運営する難しさや見積もりの甘さなどの指摘が相次ぎ、司会の辻特任教授から「アイデアの内容についての質問で。」と軌道修正が入るほど…。ですが、それほど魅力的なプランであり、皆さん「実現に向けて是非役立ちたい、お手伝いしたい。」という前向きな熱い思いが込められていたのです。
●16:00~審査員は審査のため、別会場へ
この間、スマート社会メンターである中西特任教授に楽しいミニゲーム大会を開催いただきました。参加者の緊張もほぐれ、再び和やかに戻りました。
●16:25~審査結果発表
プレゼンター:大会委員長・松井利之副学長
本来であれば、最優秀賞1組・優秀賞1組・奨励賞3組のところ、今回は非常にレベルの高い発表であったことから、最優秀賞1組、優秀賞2組、奨励賞2組となりました。
とはいえ、どのチームも甲乙付け難く、先生方はかなり苦慮されたとの事です。
そして、審査結果は以下のとおりに…
【最優秀賞】
■アイデア2
チーム:クルトギ
『コンポストマッチングシステムによる家庭系⾷品廃棄物の再⽣利⽤促進』
【優秀賞】(順不同)
■アイデア1
チーム:KKコンビ
『消費期限のリマインドシステム ー家庭⾷品ロスの直接廃棄を減らすためにー』
■アイデア5
チーム:ユニバーサル
『障がいを抱えた⼈への⽣活の質を向上させるための取り組み
ーみんなが楽しめる「介助付きリゾート施設」の⽴ち上げー』
【奨励賞】(順不同)
■アイデア3
チーム名:チョウさん
『アルツハイマー病の発症率を下げるための最適なプログラムシステムの開発について
ーアルツハイマー病の⼀因とされる⽯油系溶剤の排出削減政策実施に向けてー』
■アイデア4
チーム名:グーさん
『⾼齢者の歩⾏活動を促す近隣環境要素は何か?』
表彰式の後、大阪公立大学のオリジナルワイン『大阪公立大学 葡萄酒 零号 Type zero』を会場の全員(未成年はジュース)で試飲しました。
大会委員長である松井利之副学長より、このワインが本学の共同研究パートナーであるエースシステム㈱と大阪府立環境農林水産総合研究所との3者の共同研究成果により完成した逸品であり、大阪公立大学と企業によるイノベーションの象徴であると、ご説明いただきました。
また、本日のアイデア発表会には様々な企業の代表者に参加いただいており、学生と企業を繋げる貴重な場といえます。このチャンスを活かして学生達と様々な企業や人々が繋がって欲しい、そしてこのワインのように新たなイノベーションを起こして欲しい…。そんな期待を込めて準備されたとのことでした。
艶やかなピンク色のワインはスッキリとした甘さで、大変好評でした。
参加者の頬もワインと同じ色に染まる中、閉会の挨拶を松井副学長にいただいた後、会場全員で大学フェローシップ創設事業 社会課題解決アイデア発表会の大弾幕を掲げ、記念撮影をして無事閉幕。終了後も企業の方々が次々に学生達に名刺を渡して、今後の展望について熱く語られている光景が繰り広げられ、大盛況のうちに大会をしめくくることが出来ました。
*主催:大阪公立大学 大学フェローシップ創設事業(スマート社会)事務局
*協賛:大阪公立大学 スーパーシティ研究センター(SCRC)