学部長・研究科長挨拶
学部長・研究科長挨拶
法学部長・法学研究科長 手塚 洋輔
社会を形作る基盤の一つに、さまざまなルールがあります。これらルールをどう作り、世の中でどう動かしていくのか──法学部・法学研究科では、「法学」と「政治学」という大きく2つの学問領域から迫ることで、これまで人類が直面した苦悩と選択肢を理解し、今起きている実態をつかまえ、未来のありうる姿・あるべき姿を構想しています。混沌とした世の中にあって、ひとりひとりが尊厳を持って生きていくためにも、社会に対する深い洞察を欠かすことはできません。
私たち大阪公立大学法学部・法学研究科の特徴は、なにより、教員と学生とが一緒になって、都市とともに学ぶ、という姿勢にあり、それは、大阪市立大学法学部創設から70年余にわたり、変わることなく脈々と息づいています。その精神を体現する卒業生たちは、法曹、公務員、企業人、研究者などの道に進み、それぞれの持ち場で活躍を広げてきました。それと同時に、健全な民主主義を担うひとりの市民として、この社会を支える力強い存在であることも、私たちの誇りです。
2022年4月に大阪公立大学となり、法学部・法学研究科の陣容が強化され、さらに総合大学として諸分野との連携を容易にする環境が整えられました。都市シンクタンク機能など新しく生まれた対話の中で、いわゆる文系・理系を超えて、ありとあらゆる課題がルールと無縁ではないこと、そしてそれを探究する法学と政治学の可能性が拡がっていることを再認識しています。私たちは、今後も引き続き、国内外との研究交流に意を注ぎながら、息の長い研究に専心し、この大阪から世に問い続けてまいります。
研究と結びついた教育の展開は、研究大学たる大阪公立大学の使命です。そのため法学部では、かねてから少人数で教員とともに学ぶ多彩な演習科目(ゼミ)を教育の核としてきました。加えて、幅広く自由選択できる授業配置は、日本有数の規模をほこる充実した図書館や手厚い経済的支援とあいまって、さまざまなバックグラウンドを持つ学生が切磋琢磨できる基盤となっています。近年では、法曹養成プログラム(法曹コース)や法学・政治学の大学院科目の先行履修といった、学部と大学院とを接合するカリキュラムも積極的に取り入れており、法学政治学専攻(博士前期課程・博士後期課程)と法曹養成専攻(法科大学院)からなる2つの大学院では、綿密な少人数教育をさらに徹底して次世代の担い手を育成するとともに、教員と学生とが手を携えて法学・政治学の可能性に挑戦しています。