卒業生メッセージ
卒業生メッセージ
新宮 愛さん(弁護士、2012年3月卒業)
私は、現在、弁護士として、主に民事事件(交通事故、労働事件、契約書のチェック等)の仕事をしています。 法学部に在籍していた頃は、弁護士になるとは考えてもいませんでした。大学生活は、授業をこなしつつ、よく遊び、バイトに明け暮れた日々でした。卒業後しばらくして、残業代の計算に関して疑問に思ったことをきっかけに、弁護士になろうと決意しました。今思えば、学部生のころに受講した労働法の授業があったからこそ、残業代に関して疑問に思うことができたのかもしれません。3年次生の時、法哲学ゼミを受講し、ベーシックインカムについて、研究、討論し、論文を書いた経験は、視野が広がるきっかけになりましたし、自分の意見をわかりやすく相手に伝える練習にもなりました。この経験は、間違いなく今の仕事にも活きていると思います。憲法や民法、刑法などの授業では、基本的な法的思考を学ぶことができたと思います。
また学術情報総合センター(図書館)の設備がとても充実していて、自習はもちろん、私は授業の合間にDVDを見たり、雑誌を見たり、息抜きの場としてもよく利用していました。 大学生活は、自由な時間が一番多い時期だと思います。大学生のうちに勉強はもちろんですが、それ以外にもたくさんの経験をして、充実した学生ライフを送ってください。
望月 葵さん(公立小松大学、2016年3月卒業)
私は現在、中東地域の難民問題を専門に研究しています。法学部入学時は、まさか自分が研究者になり、大学の講義を担当する側になろうとは夢にも思っていませんでした。
在学時は政治・行政学部門の講義を中心に履修しました。その時に学んだ内容は私の研究の土台になっています。しかし決して政治学の講義だけが私の糧になっているわけではありません。実はイスラームの聖典クルアーンには、相続に関する規定などがあります。イスラーム社会を運営するイスラーム法は、クルアーンなどを法源として発展してきました。私自身はイスラーム法の専門家ではありませんが、フィールド調査中にムスリムの友人と遺産相続の話題になったことがありました。友人に「クルアーンの内容は日本の民法と通ずるところがあると思う。日本の法律について教えて」と言われ、私たちは日本の民法とイスラーム法にどのような類似性があるのかについて議論をしました。どんな学びも人生の中で活きる時がくるのだと、私はその時に痛感しました。
また、単なる知識の獲得だけが、私の財産になったわけではありません。学部時代の講義のおかげで、私は自分の抱える問題意識を明確にすることができ、現代社会を見る視野を広げることができました。この世界を生きるための「自分らしいまなざし」は、何にも代えがたい財産です。きっと皆さんも、大阪公立大学法学部で心に残る一生ものの教養に出会えると信じています。
振り返ってみれば、大学図書館で友人たちと議論を交わしながら試験勉強をした日々はとても充実していました。実のところ進路には大いに悩みましたが、私を温かく励ましてくださった先生と、一緒に楽しい大学生活を過ごした友人たちのおかげで、今の私があります。皆さんも、自分らしく、素敵なキャンパスライフを送ってください。
鈴木 雄大さん(大阪市役所、2022年3月修了)
僕は、大阪市立大学法学部で4年間すごし、その後同大学の法学研究科で2年間院生として政治学を学びました。そして、大阪市職員として就職しました。本稿では主に、法学研究科の魅力について簡単に紹介したいと思います。
僕が大学院に進んだ大きな理由は、十分な時間と充実した環境の中で研究に没頭する機会が社会人になると得られないと考えたからです。大学での4年間では、いかに最短コースで単位を取るか、ということに全集中していたので、いざ振り返ってみると個人的にはとても勿体ないことをしていたと感じていました。正直法学研究科に進まれる方は、法科大学院(ロースクール)と違って、少ないと思います。しかしながら、その分、偉大な先生方とマンツーマンで授業ができますし、先生方も、自分の研究分野に合わせて授業を計画してくれます。充実度が段違いです。また、法学部では卒論はありませんが、大学院ではもちろんあります。論文の作成は自分の主体性が試されますし、自由度が高い分、様々な角度から物事を捉える力を養うことができます。
ちなみに、僕は現在地方公務員として働いていますが、そこでは法学部で学んだことがとても役に立っています。公務員である以上、1つ1つの行動について、どの法律・条例に根拠があるのか、しっかりと市民に説明できるように把握しておく必要があります。また、条例や規則の解釈についてグループ内で話し合うこともありますので、法学の下地が少しでもあると、理解が早いですし、積極的に取り組むことができます。昇進試験には、法律の試験もあるみたいです。
最後に、皆さんにお伝えしたいことは、何か目標を持っていてほしいということです。僕自身、大学の4年間はなんとなく過ごしているだけだったので、結局自分自身何がしたいのか分からず、苦労しました。大学生活でも、授業選びから就職活動まで、様々な局面で選択に迫られると思います。そういったときに、目標や夢があればきっと自分が進むべき法学(方角)が見えてくると思います。そして、どうしても答えが見つからないときは、自分が正しいと信じる道を進んでください。周りが何を言おうと、その時自分が正しいと信じて選んだものこそが、その時の最善の道なのだと僕は思います。みなさんが最高の大学生活を送れることを願っています
柴田 淑乃さん(外務省、2018年3月卒業)
受験生の皆さん、こんにちは。皆さんは大学生になってどんなことを学びたいですか。私は憲法や法律を学びたくて法学部を選びましたが、卒業する頃には国際政治により強い関心を抱くようになっていました。
私の大学生活は試行錯誤の連続でした。一生懸命やったけれどあまり身にならなかったこともあれば、何の気なしに受講した一般教養の講義で学んだ内容を卒業して何年も経ってから思い出すこともあります。何が正解で何が失敗かは、そのときには中々分かりません。回り道をしても、試行錯誤の結果やりたいことが変わっても良いと思います。法学部には、そのような学生の気持ちに寄り添い、熱意を持った学生の学びたいという思いに優しく、時に厳しく応えてくれる先生方がいらっしゃいます。他大学の例を見ても、学生一人一人にここまで丁寧に指導をしてくれるというのは当たり前のことではありません。
4年間の大学生活で、市大(現:公立大)には様々な機会を与えてもらいました。グローバル・コミュニケーション副専攻でカナダ研修に行き、コミュニティ・再生副専攻(大阪市立大学時の副専攻科目)では地域振興に関わる様々な課題について触れました。中でも3年次に所属した国際政治ゼミでは、論文執筆のいろはを教えていただいたばかりか、三商大学ゼミを通して他大学の学生に出会う機会をいただき、非常に良い刺激になりました。
入学式の日に在校生代表の方のスピーチで、「市大に入学したことが貴方にとっての正解になるよう努力してください」と言われたことが非常に印象に残っています。大学生活とは自分で情報を探し、試行錯誤し、チャンスをつかんでいく歩みだと思います。そして、法学部には意志を持って夢を追う学生を応援してくださる教職員の方々がいます。大阪公立大学を選んだことが貴方の正解になることを願っています。