研究科長挨拶、専攻長挨拶
研究科長挨拶
大学院法学研究科長・法学部長 手塚 洋輔
社会を形作る基盤の一つに、さまざまなルールがあります。これらルールをどう作り、世の中でどう動かしていくのか──法学部・法学研究科では、「法学」と「政治学」という大きく2つの学問領域から迫ることで、これまで人類が直面した苦悩と選択肢を理解し、今起きている実態をつかまえ、未来のありうる姿・あるべき姿を構想しています。その中にあって、私たち大阪公立大学法学部・法学研究科の特徴は、大阪市立大学法学部創設から70年余にわたり、教員と学生とが一緒になって、都市とともに学ぶ、という構えで取り組んでいるところにあると自負しています。
その姿勢は、大阪公立大学ロースクール(法曹養成専攻)でも核をなしています。旧大阪市立大学ロースクールの頃より、大都市であるがゆえに発生するさまざまな法的問題に即応できる高度な法的能力を備えた、「真のプロフェッション」の育成を理念として掲げ、鋭い問題意識を武器に社会の津々浦々で活躍する優れた法律家を数多く輩出してきました。
教室では、研究の一線に立つ研究者教員と、豊富な経験を有する実務家教員とがタッグを組み、教育にあたっています。授業が終わった後も丁寧な指導と対話が多く見られるのは、少人数教育ならではといえるでしょう。また、先輩弁護士でもあるアカデミックアドバイザーからは、学習方法などの細やかなサポートを受けることもできます。施設面でも、学生ひとりひとりが座席を持つ自習室のほか、同じ棟には談話室やゼミ室が設けられ、学生同士の自主的な勉強会などを通じて切磋琢磨し合う環境があります。加えて、大阪公立大学の他の大学院(博士前期課程)と同様の無償化を含む授業料減免の仕組みや、成績優秀者に対する独自の奨励制度も兼ね備えています。
このように、大阪公立大学ロースクールは、大都市・大阪市の市域内にある唯一の法科大学院として、法曹を目指す、志の高いみなさんの挑戦を支えます。そしてこれからも、弛まぬ努力を続け、「真のプロフェッション」の育成に尽くしてまいります。
専攻長挨拶
大学院法学研究科法曹養成専攻長 杉本 好央
大阪公立大学法科大学院は、前身の大阪市立大学法科大学院からバトンを受け継ぎ、大都市であるがゆえに発生する様々な法的問題に即応できる高度な法的能力を備えた「真のプロフェッション」としての法曹の養成を目指しています。
プロフェッションすなわち専門家の特徴の一つは、高度な専門知識と鍛錬を要する技能にあります。伝統的にプロフェッションの代表例とされる法曹、とりわけ弁護士でいえば、法と裁判に関する知識や技能がこれにあたります。したがって、本法科大学院では、この知識や技能の修得に向けた教育が、体系的な理論と豊かな実務経験を基礎にして行われます。
また、複雑な現代社会では、AIによる著作権侵害や大手企業によるプラットフォームの独占など、解決に先端的な知識を必要とする問題が生じます。もちろん法と裁判は、このような最先端の問題にも関係します。そこで、本法科大学院では、知的財産法や経済法に関する講義や演習が提供されます。
さらに、専門的な知識と技能を用いた法曹の活動は、自由や正義や人権といった公共的な価値の実現に向けられたもの、あるいは少なくともそれと本質的に矛盾しないものである必要があります。社会全体の利益のために奉仕するというプロフェッションの使命と強く結びつくからこそ、自由で平等な現代社会においてもなお法曹に特権的な地位が認められ、強い力が与えられるからです。それゆえ、本法科大学院では、常に人間という存在に関心をもち、法と裁判に関する知識と技能をより広い視野から相対化し批判的に検討する能力が養われることになります。
大阪公立大学法科大学院は、真のプロフェッションとしての法曹の養成にむけて、以上のような舞台装置を整えています。しかし、私たちの法曹養成にとって何より重要なのは、他でもないみなさんです。私たち大阪公立大学法科大学院は、主人公であるみなさんの登場を待っています。