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2022年7月7日
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居住環境学分野 修士1回生 吉田幹央さんの学部卒業論文が学術誌Sustainabilityに掲載されました。
[ 研究概要]
非正規雇用者、単身高齢者、母子世帯といった人々を中心に住まいの貧困が深刻な社会問題となっています。しかし、日本では住まいの公的支援が乏しく、低所得者の多くは民間の住宅に住んでいます。そこで本研究は、不動産ビッグデータを用いて、住宅供給の面から「住宅アフォーダビリティ※」の現状を分析しました。
その結果、低家賃住宅の抱える二つの問題が明らかになりました。一つ目は、低所得世帯の数に対し供給量が大幅に不足していました。加えて、供給量の約9割を1Rや1Kといった単身者向けの住宅が占めており、間取りタイプに極端な偏りが見られました。二つ目は、住宅の質に関して、単身者向けの住宅の大部分が国の最低居住面積水準を下回り、狭小性の問題が見られました。また、2DKや3DKといった複数人世帯向けの住宅は深刻な老朽化を迎え、大阪府周縁部に立地が偏在していました。
こうした低家賃住宅の問題は、非正規雇用者や母子世帯等の生活を不安定にする上、若者の社会的なステップアップの妨げとなっています。これらを改善するためには、国による家賃補助の充実や、住宅セーフティネット法による住宅ストックの活用等を進める必要があります。そして、格差社会の是正に向けて、住宅問題に対するさらなる社会的制度の充実が必要です。
※「住宅アフォーダビリティ」とは、低所得層の住宅困窮度を表す概念です。一般的に、収入に対する家賃が30%以上を占めると、改善が必要になります。
■掲載誌情報 雑誌名: Sustainability, Vo. 14, Issue 12, No. 7433 (2022) ※ IF=3.251
論文名: Housing Affordability of Private Rental Apartments According to Room Type in Osaka Prefecture
著者: Mikio Yoshida and Haruka Kato
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