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2024年11月22日
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- 研究
中村志津香 准教授 論文が国際誌に掲載されました
研究概要
感染症の流行など、社会情勢の変化により在宅勤務を導入する企業が増えています。在宅勤務はワーク・ライフ・バランスを向上させますが、仕事とプライベートの境界が曖昧になるため、労働者が就業時間外に仕事から心理的に離れること(心理的ディタッチメント)が難しくなるという弊害が生じることが考えられます。さらに、仕事からの心理的ディタッチメントを高め、勤務時間外に仕事に関連した思考が生起しないようにするためには、高い思考制御能力が必要となると考えられます。質問紙調査と認知課題による実験的検討を行った結果、在宅勤務者は仕事からの心理的ディタッチメントが困難となり、より高いワーク・エンゲイジメントを示すことが明らかとなり、在宅勤務は潜在的なストレッサーとなりうることが明らかになりました。一方、思考制御能力の高さは、認知課題中の仕事関連の思考の発生頻度には有意な関係が見られないことが明らかになりました。
この研究成果は、通勤という物理的な移動がない在宅勤務環境下では、仕事と私生活の境界が曖昧になりやすく、そのことが心理的な切り替えを難しくしている可能性を指摘しています。労働環境が多様化する中、在宅勤務者のメンタルヘルス対策において、仕事と私生活の境界を意識的に作ることが重要であると言えるでしょう。
資金情報
本研究はJSPS科研費(20K14238)の支援を受けました。
掲載誌情報
雑誌名:Discover Psychology
論文名:Examining psychological detachment from work, work engagement,
and thought control in Japanese work at home environments
著者:Shizuka Nakamura, Masanori Kobayashi
掲載URL:https://link.springer.com/article/10.1007/s44202-024-00291-7
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