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2025年2月14日

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袁 継輝 准教授:都市ヒートアイランド現象の緩和に貢献する回帰反射建材の効果をCFD解析で検証 ~屋外の熱的快適性向上に新たな手法を提案~

<ポイント>

◇ 都市熱島現象の緩和に向け、回帰反射建材の効果を計算流体力学(CFD)解析で検証。

◇ 回帰反射建材が屋外の熱的快適性を向上させることを実証。

◇ 省エネ建築設計や都市計画への応用が期待される新たな手法を提案。

 

<概要>

都市熱島現象は、都市部の気温が周辺地域よりも高くなる現象で、特に夏期の熱ストレスやエネルギー消費量の増加が問題となっています。この現象を緩和するため、建築物の外壁に回帰反射建材を使用することが提案されていますが、その効果を定量的に評価する手法が求められていました。


大阪公立大学大学院生活科学研究科の袁 継輝准教授を中心とする研究グループは、計算流体力学(CFD)解析を用いて、回帰反射建材が都市熱島現象の緩和にどのように寄与するかを検証しました。研究では、回帰反射建材を使用した建築物の外壁が、周辺の屋外環境の熱的快適性を向上させることを明らかにしました。さらに、この手法を用いることで、省エネ建築設計や都市計画における回帰反射建材の効果的な活用が可能になると期待されます。

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本研究成果は、2025年2月12日に国際学術誌「Next Research」のオンライン速報版に掲載されました。

 

 

<研究の背景>

都市熱島現象は、都市部の気温上昇による熱ストレスやエネルギー消費量の増加をもたらす深刻な問題です。これまで、建築物の外壁に高反射率の材料を使用することが提案されてきましたが、これらの材料は周囲の環境に熱を反射し、逆に周辺の温度を上昇させる可能性がありました。そこで、回帰反射建材が注目されています。回帰反射建材は、入射した太陽光を元の方向に反射する特性を持ち、周辺環境への熱の影響を最小限に抑えることが期待されています。しかし、その効果を定量的に評価する手法が不足していました。

 

<研究の内容>

本研究では、計算流体力学(CFD)解析を用いて、回帰反射建材を使用した建築物の外壁が周辺の屋外環境に与える影響を詳細に分析しました。具体的には、回帰反射建材が屋外の熱的快適性を向上させることを実証し、その効果を定量的に評価しました。さらに、異なる気象条件下でのシミュレーションを行い、回帰反射建材が都市熱島現象の緩和にどのように寄与するかを明らかにしました。

 

<期待される効果・今後の展開>

本研究で提案した手法により、回帰反射建材の効果を定量的に評価することが可能となり、省エネ建築設計や都市計画における応用が期待されます。将来的には、より多様な気象条件や地域への適用を目指し、持続可能な都市開発に貢献することを目指します。

 

<資金情報>

本研究は、JSPS科研費(JP24K01053, JP22K02098)の支援を受けて実施しました。

 

<用語解説>

※回帰反射建材:入射した光を元の方向に反射する特性を持つ建築材料。都市熱島現象の緩和に有効とされる。

 

<掲載誌情報>

【発表雑誌】Elsevier Next Research

【論文名】Mitigating Urban Heat Islands: Enhancing Outdoor Comfort with Retro-Reflective Building Materials through Computational-fluid-dynamics Analysis

【著者】Jihui Yuan, Da Yan, Xiong Xiao, Yasuhiro Shimazaki, Yupeng Wang, Zhichao Jiao, Zhengsong Lin, Marko Bizjak, Craig Farnham, Kazuo Emura

【掲載URL】 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S3050475925000703

 

<研究内容に関する問い合わせ先>

大阪公立大学大学院生活科学研究科

准教授 袁 継輝(えん けいき)

TEL:06-6605-2833

E-mail:yuan@omu.ac.jp

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