ファーナム クレイグ 准教授

居住環境学は 
あなたの人生の90%に影響を与えます

ファーナム クレイグ 准教授

居住環境学科 准教授

farnham1
2013年4月より生活科学研究科で建築設備を担当。熱中症対策として使用するミスト蒸発冷却の評価と応用、建築設備の省エネ仕組みのシミュレーションと証拠実験を研究しています。この夏「熱中症」という言葉を毎日聞くなかで、研究している熱中症対策として使用するミスト噴霧の実験内容のお話や実験現場に訪問してきました。またアメリカの大学卒業後の来日に至るまで、来日のきっかけや経緯などいろいろなお話を伺いました。

-研究を志したきっかけを教えてください。

Osaka is one of the most extreme urban heat islands in the world. There is great potential to find many routes to improve the environment. Further, there are many industries that want to find ways to save money by saving energy. Such solutions have the chance to be adopted widely, as opposed to an energy-saving solution that costs triple the normal method.
An example is mist cooling, it is much cheaper than typical air conditioning. I hope it becomes much more common. However, many people have misconceptions about its effectiveness. Further, proper application of mist cooling needs some careful consideration to yield the best effect. There are many opportunities for applications, but we need to research how to best meet those needs.

大阪は世界でも有数の都市型ヒートアイランドです。環境を改善する多くのルートを見つける大きな可能性があります。さらに、エネルギーを節約することでコストを削減する方法を見つけたい産業も多いです。そのようなソリューションは、通常の方法の3倍のコストがかかる省エネソリューションとは対照的に、広く採用されるチャンスがあります。
例えば、ミスト冷房はエアコンよりはるかに安く一般的になることを願っていますが、多くの人がその効果について誤解しています。さらに、ミスト冷房の適切な適用には、最良の効果を得るための慎重な検討が必要です。応用のチャンスはたくさんありますが、どのようにすればそのニーズに応えられるかを研究していく必要があります。

Farnham's research topic

図1

図2

図3

図4

In Osaka, a typical mist installation reduces air temperatures by about 3 degrees. Reducing air temperature by only a few degrees on a very hot day can greatly reduce the risk of heat stroke. In the photo, a very dense mist was used to reduce temperature by about 6 degrees.
However, mist is easily scattered even by a light breeze. Further, the random scattering by wind makes it very difficult to measure and model in computer simulation.
So, I usually use mist with a fan. The evaporative cooling of the mist is added to the convection cooling of the fan to create a very strong effect. Because we can choose the direction of the mist, the cooling is not wasted. Also, because the mist is controlled, it is possible to measure, analyze, simulate, and then optimize to create the best effect for people in a given situation.

大阪の夏の気候では、普通のミストシステムは気温を約 3 ℃度下げます。非常に暑い日に気温を数度下げるだけで、熱中症のリスクを大幅に減らすことができます。

この写真では濃いミストを使用して、温度を約6℃下げます。しかし、ミストは軽い風でも飛散されやすいです。

さらに、風によるランダムな散乱により、効果の実測とコンピュータ シミュレーションでのモデル化が非常に困難になります。

なので、普段は扇風機でミストを使っています。 ファンの対流冷却にミストの気化冷却を加えることで、非常に強力な効果を生み出します。ミストの向きをコントロールできるので、冷却を無駄にしません。また、ミストが制御されるため、特定の状況で人々に最適な効果を生み出すための測定、分析、シミュレーション、最適化が可能になります。

-学生へメッセージをお願いします

Reducing energy consumption, relieving the urban heat island and protecting the environment requires solutions to thousands of issues. This is not going to be done by a lone researcher with a miracle invention. It is going to be solved by thousands of researchers, professors and students working together.
We spend over 90% of our lives in buildings. Thus, finding ways to save energy in buildings will have a big impact. An education in the built environment field can be a great foundation toward becoming a strong contributor to solving environmental problems.

エネルギー消費を削減し、都市のヒートアイランドを緩和し、環境を保護するには、何千もの問題に対する解決策が必要です。これは、奇跡の発明をした一人の研究者によって切り開かれるものではありません。何千人もの研究者、教授、学生が協力することで解決されます。
私たちは人生の90%以上を建物の中で過ごしています。建物でエネルギーを節約する方法を見つけることは、大きな影響を与えることになります。建築環境分野の教育は、環境問題の解決に貢献できる人材になるための大きな土台となります。

-先生の趣味や休日の過ごし方を教えてください。

I commute to the university by bicycle every day, rain or shine. It saves energy, saves money, and is good for my health. It also helps me directly experience what the outdoor urban environment feels like. The outdoor environment influences the design of the indoor environment. It surely does feel hotter and more humid than a few years ago.

私は雨の日も晴れの日も、毎日自転車で大学に通っています。エネルギーの節約になり、お金の節約にもなり健康にもつながっています。また、屋外の都市環境がどのようなものかを直接体験するのにも役立っています。屋外環境は屋内環境のデザインに影響を与えるため確かに数年前と比べると、暑くて湿度が高いと感じる。

-来日のきっかけを聞いてみました。

時代劇映画をTVでみるようになり日本の歴史に興味を持ち、日本にはじめて旅行にきたときの楽しかった思い出があります。その後、NASAインターンシップなどアメリカで研究を続けながらも大阪市立大学大学院工学研究科都市系専攻の研究分野に近いことがわかり学びたくて来日したのがきっかけです。工学研究科で研究を続けていたときに、生活科学研究科の永村 一雄先生(現:大阪公立大学名誉教授)と研究でつながり、気象、雨量変化、100年間予測する計算分析などに惹かれ、生活科学研究科居住環境学科の教員になりました。

farnham5

教員プロフィール

生活科学研究科 建築設備分野 准教授 
ファーナム クレイグ (FARNHAM CRAIG)farnham7

工学博士。蒸発スプレー冷却システムを使用、人間の熱ストレスを減らし、空調のエネルギー消費を減らす目的で、実証実験、数値流体力学シミュレーション、基礎研究を行っている。建物のエネルギー消費の予測と削減のために、気象データを収集して分析する。エネルギーを節約するために建物で使用する、新しい低コストで耐久性のある反射材料を開発および評価しています。

研究者詳細