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2022年7月21日
- 研究
関節リウマチ患者の虚弱状態(フレイル)に生体電気インピーダンス法で算出される指標の位相角に関連性があることがModern Rheumatologyに掲載されました。
関節リウマチ(RA)は炎症性の疾患であり、RA患者では炎症や痛みなどが主な原因となって虚弱状態(フレイル)になりやすいことが知られています。フレイルには、身体面、精神面、社会面など様々な要因が相まって影響していると考えられています。フレイルは一般高齢者において、要介護や死亡リスクとなることが知られており、RA患者においてもフレイルの早期発見と早期介入を行い、日常活動動作レベル(ADL)を維持できるよう支援することが重要であると考えられています。
我々はRA患者170名を対象として、以前の報告(Mastumoto Y et al. Nutrition 2022)と同様に生体電気インピーダンス法という方法を用い、体を構成する細胞の栄養状態を示す『位相角』という指標に着目して、フレイルとの関連性を検証しました。フレイルの判定は、身体面、精神面、社会面などに関する25個の質問項目から成るフレイルの基本チェックリストを使って行いました。その結果、位相角が低値を示す患者ほど、2年以内にフレイルになるリスクが高いというデータが得られました。また、経年的なフレイルの状態変化(例えばもともとフレイルではない人が翌年フレイルになるなど)と位相角の経年変化には密接な関連性がある可能性も示されました。
我々はこれまでに、RA患者の位相角が転倒予測に有用である可能性を示しましたが、フレイルの予測にも有用な指標となる可能性があることを見出しました。位相角は栄養状態や身体活動量と強い関連性があることが知られていますが、RA患者においても同様の関連性があるかの調査を含めて、今後RA患者の位相角を高められるような生活科学的な視点からの研究に取り組み、RA患者の自立した生活に貢献したいと考えます。
The bioimpedance phase angle may be associated with frailty in rheumatoid arthritis patients: Results from a prospective, cohort study
【掲載雑誌】
Modern Rheumatology
【論文へのリンク】