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2023年5月2日
- 研究
海外で開発された入院患者の病院食に関する質問票を日本語訳した論文が日本臨床栄養学会雑誌に掲載されました。
日本の病院では、入院患者の栄養管理・患者サービス向上に向けた取り組みの一環として、年間数回病院食に関するアンケート調査を行っています。これまで、病院食に関するアンケート調査で使用するアンケート票や質問項目は、各病院で独自に作成・設定されたもので、統一されたアンケート票(質問票)は存在しませんでした。2021年に、患者の嗜好や病院食に対する感覚特性などを踏まえた病院食質問票として、海外において23の質問項目から成るHospital Food Experience Questionnaire(HFEQ:病院食経験質問票)が開発され、論文として報告されました。この論文の中で、HFEQが科学的妥当性がある病院食質問票であり、HFEQを使用することで、患者の病院食摂取量の推定が可能であることも報告されました。この報告から、日本においてもHFEQを使用できれば、各病院で統一された病院食質問票を使用できるのではないかと考え、HFEQ日本語版の開発と、日本語版の妥当性の検証性に取り組みました。
HFEQ日本語版を開発した上で、1施設72名の入院患者に対してHFEQ日本語版を使用した調査を行い、質問票の回答と食事摂取量の関係性を検証したところ、6つの項目の回答が、病院食の全量摂取と統計学的有意に関わることがわかりました。また、質問票の整合性もあることが検証されました。
以上より、HFEQ日本語版が日本の病院における病院食質問票として使用できる可能性があることを示すことができました。今後は各病院の給食システム、病院の機能、患者層などの違いに着目し、HFEQ日本語版を使用した多施設での調査を行う必要があると考えます。
Hospital Food Experience Questionnaire(HFEQ)日本語版の開発
【掲載雑誌】
日本臨床栄養学会雑誌
【論文情報】
44巻2号、P74-84、2023年3月