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2023年5月2日
- 研究
関節リウマチ患者の身体活動量が生体電気インピーダンス法で算出される指標の位相角と関連することがModern Rheumatologyに掲載されました。
関節リウマチ(RA)は、関節や全身の炎症、骨破壊を主症状とする自己免疫性疾患です。これまで我々は、生体電気インピーダンス法という方法で得られる指標の一つである位相角が、RA患者の転倒、虚弱状態(フレイル)、筋肉量・筋力・身体機能低下(サルコペニア)と関連することを報告してきました(詳しくは過去の投稿内容をご覧ください)。これまでの報告は、位相角がRA患者の診療において重要であることを示す内容でしたが、位相角を向上させるための方法は明らかではありませんでした。非RAの人々を対象とした調査では、位相角は身体活動量が高い人において高値を示し、良好な状態であることが報告されていました。このことから、今回我々は、RA患者の身体活動量と位相角の関連性を検証しました。76名のRA患者が対象となり、位相角は生体電気インピーダンス法で測定し、身体活動量は7日間身体活動計を装着していただき測定しました。位相角は、1時点だけではなく、最初の調査から1年後にも測定しました。
その結果、位相角と身体活動量には統計学的有意な関連性が認められました。また、両者の関係性は、一時点の調査(横断解析)だけではなく、経年的な変化(縦断解析)においても同様の結果が見られました。また、横になっているような状態の身体活動量の活動10分を、ウォーキング等の身体活動量以上の活動10分に置き換えることで、位相角の経年変化率が計算上0.7%程度高いことが示されました。
冒頭で示した通り、位相角はRA患者の転倒、フレイル、サルコペニアに関わる指標であるため、横になったり座ったりして過ごしている時間を、少しでも歩いたり運動する時間に置き換えることで、位相角の低下を防ぎ、RA患者の転倒、フレイル、サルコペニアの予防に繋げることができるのではないかと思われます。今回の調査はあくまで観察研究で、実際にRA患者さんに身体活動を促すような介入を行った結果ではないため、今後運動介入による位相角の変化を検証する必要があると考えます。
【掲載雑誌】
Modern Rheumatology
【論文へのリンク】