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2024年2月15日

  • 研究

居宅療養患者の居宅療養中断と栄養状態の関連性を検証した内容がJournal of Human Nutrition and Dieteticsに掲載されました。

近年、高齢患者が必要時に病院や高齢者施設などを利用し、自宅での生活を中心とした生活を送ることができるように、様々な社会的取り組みが行われています。高齢患者が自宅で過ごすためには、病状のコントロールが重要であり、治療そのものが重要であることは既知の事実ですが、患者の健康面に影響する栄養状態と高齢患者の自宅生活の継続性に関する報告は多くありません。本研究では、居宅療養中の65歳以上の患者297名を1年間追跡調査し、調査開始時点の栄養状態と1年間の調査期間内で居宅療養が中断となったこととの関連を調査しました。栄養状態は、MNA-SFという調査票を用い、『栄養状態良好』、『低栄養のリスクあり』、『低栄養』の3つのグループとして判定し、居宅療養の中断は『死亡』、『入院』、『高齢者施設入所』の3つの原因別に解析を行いました。結果として、1年間で82名(27.6%)の患者が居宅療養中断となりました。栄養状態と居宅療養中断の原因別の解析では、『低栄養のリスクあり』に該当する患者は『入所』が多く、『低栄養に該当する患者』は『死亡』が多い傾向が見られました。栄養状態が悪いと死亡リスクが高まることは知られていますが、『低栄養のリスクあり』が高齢者施設への入所に関わることは今回初めて明らかとなりました。居宅療養中の患者が高齢者施設に入所する理由は、健康状態だけではなく、経済状況や各家庭の生活様式、社会的サポートなど多岐に渡る要因が影響することが考えられるため、入所の理由を栄養状態だけで説明することはできませんが、『低栄養のリスクあり』の方は、栄養状態が良い方と比べて日常生活動作(ADL)が低下しやすいという報告もあり、栄養状態の低下傾向を示す段階から低栄養の進行予防と改善を目的とした介入を行うことが、居宅療養患者の自宅での生活の継続につながる可能性があると考えられます。今後、入所に至った理由や、入所に関わる様々な要因を調査し、『低栄養のリスクあり』であることが、なぜ高齢者施設入所と関連するかを検証する必要があると考えられます。また、今回の研究は、1つの地域を対象とした調査であることから、地域ごとの社会的サポートの特徴などを考慮し、多地域での調査を行う必要があると考えられます。

【著者】

Taeko TsujiKazuyo YamasakiKyoko KondoNobuko HonguYoshinari MatsumotoKeisuke FukuoDaiki Habu

【論文タイトル】

Association between being at-risk of malnutrition and discontinued home medical care among older patients: a 1-year follow-up study 

【掲載雑誌】

Journal of Human Nutrition and Dietetics

【論文へのリンク】 

https://doi.org/10.1111/jhn.13281