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2024年7月16日

  • 研究

高齢者施設入居者における低栄養状態のスクリーニングと食事摂取時の観察項目の関連性についての論文がInternational Journal of Older People Nursingに掲載されました。

我々は以前、高齢者の誤嚥性肺炎に関わりうる食事時のポイントを早期発見し、食事サポートを行うための評価ツールとして、2015年に厚生労働省が24のチェック項目から成る食事時の観察チェックリスト(MOCL)の項目と、誤嚥性肺炎発症の関連性を検証し、その結果を報告しました(Nishioka E et al. Geriatr Gerontol Int 2024)。この報告では、誤嚥性肺炎に関わりうる項目が見出されましたが、誤嚥性肺炎を発症する原因として低栄養も重要です。誤嚥性肺炎と低栄養は関わりが強いことから、今回我々はMOCLの項目と低栄養状態の関連性を検証しました。栄養状態の評価にはMNA®-SFという栄養スクリーニングツールを用いました。

その結果、食事時間が長く疲労しやすい、口腔内の食物残存がある、嚥下困難で嚥下に時間がかかる、食事介助が必要の4つの観察項目と低栄養状態に統計学的有意な関連性が認められました。今回の結果は、1時点の調査結果であり、低栄養が原因でこのような観察項目が見られたのか、このような観察項目が見られたことで低栄養に至ったのかという因果関係がわかりません。低栄養の早期発見とその予防は誤嚥性肺炎をはじめ、様々な不利益を予防するために重要であることから、今後これらの項目の該当の有無と栄養状態の変化について『前向きコホート研究』を行い、結果を検証する必要があると考えられます。

【著者】
Eri Nishioka, Mayumi Iwata, Noriko Kumai, Yoshinari Matsumoto, Chika Momoki, Yoko Yasui, Daiki Habu
【論文タイトル】

Association between a malnutrition screening tool and mealtime observation checklist items in older people receiving oral intake support: A cross-sectional study of four long-term care facilities

【掲載雑誌】

International Journal of Older People Nursing

【論文へのリンク】 

https://doi.org/10.1111/opn.12610