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2025年3月15日
- 研究
関節リウマチ患者のメタボリックシンドローム発症に関わる食生活についての論文がModern Rheumatologyに掲載されました。
関節リウマチ(RA)は、関節や全身の炎症、骨破壊を主症状とする自己免疫性疾患です。RAによる炎症などが原因で、RA患者では糖代謝や脂質代謝異常が生じやすく、血圧も高くなりやすいことが報告されています。メタボリックシンドローム(MetS)は、内臓脂肪の蓄積、糖代謝異常、脂質代謝異常、血圧高値を複合的に合併した心血管系への負担が非常に高い状態です。これまでに、RA患者のMetSに関わる食事の要因として、コーヒーの摂取がMetS抑制的に関連する可能性があることが報告されていましたが、その他の食事因子とMetSの関連性は十分に検証されていませんでした。今回我々は、RA患者205名と非RAのコントロール208名の6年間の追跡調査により、RA患者のMetS発症に関わる食生活の特徴を検証しました。
その結果、RA患者のMetS発症にコーヒーの摂取が抑制的に関係する可能性がありました。また、コーヒーの種類は、インスタントコーヒーで特に抑制的な寄与が高く、コーヒーを飲む習慣が無い人と比べて、数日に1回飲む場合や、毎日1杯以上のむことが、MetS発症に抑制的に寄与しているという結果が得られました。このことから、コーヒーの習慣的な摂取がRA患者のMetS予防に寄与する可能性があると考えられます。
今回の研究は観察研究であるため、介入研究によりコーヒーの摂取とMetSの関係性をより詳細に調べる必要があると考えられます。
コーヒーの長期的な摂取は、糖代謝、脂質代謝、血圧などに良い影響をもたらす可能性があることが報告されており、その健康への影響がRA患者でも期待されます。
【掲載雑誌】
Modern Rheumatology
【論文へのリンク】
https://doi.org/10.1093/mr/roaf016