研究室紹介

大阪公立大学文学部の日本史コースの教員は、現在、考古学の岸本直文、古代史の磐下徹、中世史の仁木宏、近世史の齊藤紘子、近現代史の佐賀朝の5名で構成されています。

大阪市立大学文学部の日本史コースは、日本全国の大学の中でもユニークな教育・研究を実施しているところとの定評があり、また自負しています。考古学が対象とする古い時期から現在までの日本史全体をカバーする幅広さを持つとともに、大阪周辺をフィールドとする共同の強みがその特色と言ってよいでしょう。

その一つは、スタッフ全員が大阪の都市史を、自分の専門研究の柱のひとつにしていることです。大阪市立大学は、大阪市に基盤をおく都市型総合大学として、 都市という場が要請する学問的な課題と取り組むことを目指していますが、日本史コースも総体として歴史学のアプローチからその一翼を担っています。それが、学生教育においても、都市文化史を一貫して学ぶことができる特色となっています。

第二には、時代や分野を超えた日本史研究室全体での地域調査を実施していることです。これは毎年夏に「地域の歴史的総合調査」を目標にして、大阪府和泉市教育委員会と協力して行なっていますが、教員、学生・院生はもとより、OB・OGも参加しています。これは、地域に出かけて、地域史料を調査したり、地域の人々から聞取りをしたり、フィールドワークを行なったりしますが、学生たちが生の史料に触れ、地域の現場で地域史を学ぶ絶好の機会になっています。

第三には、少人数教育のメリットを生かして、一方的な講義中心の教育とは一味違った教育体制を実現していることです。少人数教育は、本文学部全体の特色でもありますが、日本史コースのように、学生・院生・教員が一体となって、さまざま調査活動や研究会活動を行なっているところは多くありません。和泉市での調査はそのひとつですが、それ以外にも日常的に時代・分野ごとにたくさんあります。これには大学院生の力が大きいのですが、すでに伝統として定着していると言えるでしょう。教員の指導だけでは実現できない、日本史研究室という「場のもつ 力」とでも言うべきものが確実にあるのです。

研究室通信(研究室だより)

日本史研究室の構成員

教員

考古学    岸本直文  教授
古代史    磐下 徹  准教授
中世史    仁木 宏  教授
近世史    齊藤 紘子 准教授
近現代史   佐賀 朝  教授

大学院生
学部生
オーバードクター研究員

院生・学生・研究員の詳細はこちら

日本史コースの3年間

文学部では1回生の12月にコース志望届を提出し、2回生から日本史コースに所属します。本格的な専門教育が始まり、2回生、3回生、4回生と、ステップアップするカリキュラムを組んでいます。

【2回生】

「日本史通論Ⅰ・Ⅱ」で専門的な講義を受講し、「日本史講読Ⅰ~Ⅳ」で各時代の基礎的な史料読解の方法を学びます。「講読」の授業の予習のため、文学部棟2階にある学部指導室(L220室)に通い、史料集や辞書類の利用の仕方を実践的に体得することになります。また「考古学実習」では、石器や土器の実測といった考古学の基本技術を身につけます。

同学年の学生は、ともに講読などに取り組むことで連帯感が生まれてきます。また学部指導室は、日本史コース・世界史コースの学生がともに学ぶ場所となっており、上級生や世界史コースの学生とも密に交流することになります(世界史コースとは春のハイキングや秋の見学旅行も合同で行っています)。

【3回生】

授業の大半は日本史の専門科目になります。「日本史特講Ⅰ~Ⅳ」では、各時代や分野における最先端の研究成果を学びます。「日本史演習Ⅰ~Ⅳ」では、各時代の難解な史料の解読・分析の方法、専門的な研究論文の読み方を学びます。「演習」の予習のために、遅くまで学部指導室に残って調べものをする機会も増えます。
大学での勉強は授業の場だけで完結するわけではありません。3回生になると、多くの学生が、教員・院生が主催する研究会に参加するようになります。研究会は、時代別(考古・古代・中世・近世・近現代)に行われています。また、院生や学部生が自主的に開催する読書会や史料の読み会などもあります。

そして、3回生後期には、卒業論文にむけて自分がどういうことを研究するのか、決めていくことになります。3回生の終わり(2月下旬~3月上旬)には、第1回卒論演習が実施され、卒論指導が始まります。

【4回生】

卒業論文に取り組みます。取り扱う時代・テーマで指導教員が決まります。

テーマの選択は基本的に各自の意思に任されています。1人の教員が担当する4回生は数人程度と少人数です。どのような論文(先行研究)を読むべきか、どんな史料がどこに掲載・所蔵されているか、どのような視点で研究を進めていくかに始まり、 濃密な指導を受け、少しずつ卒論を作り上げていきます。

最終学年の年末年始は休みがないものと覚悟しておいてください。卒論完成のため精神的にも肉体的にもきつい日々が続きますが、教員はできる限りのサポートをします。こうして自分で書き上げた卒業論文(本文が400字×50枚程度、このほかに注や図表などを付けます)を提出した時の充実感は、何ものにも代え難いものとなるでしょう。2月中旬、卒論の内容について主査・副査の教員による「口頭試問」があります(1人30分以上)。試問が終われば、あとは晴れて卒業式を待つばかりです。

→日本史の講義一覧