藤本誉博さん

今治城 学芸員 (一般財団法人今治文化振興会)
2002年 文学研究科日本史学専攻前期博士課程入学
2005年 文学研究科日本史学専攻後期博士課程入学
2010年 同上単位取得退学
2010年~ 現職

【業績】
[図録]
特別展『よみがえる瀬戸内の名城 ―今治城絵図・古写真展―』((一財)今治文化振興会 今治城、2018年)
特別展『今治藩主 久松松平氏の世界』((一財)今治文化振興会 今治城、2016年)
特別展『高虎と高吉 今治に伝わる藤堂氏二代の足跡』((一財)今治文化振興会 今治城、2016年)
[論文]
「中世伊予府中の海岸地域と「今治津」」(『伊予史談』393、2019年)
「今治城絵図の歴史」(『今治史談』25(100周年記念特別号)、2019年)
「室町後期から織田権力期における堺の都市構造の変容 ―自治・支配をめぐって―」(『国立歴史民俗博物館研究報告』204、2017年)など

私は故郷の愛媛県今治市で学芸員をしています。
地域密着で、歴史を社会に活かすことを目指し、日々楽しく仕事をしています。

学部生の時は全く別の学問(体育学)を専攻していましたが、「どうしても日本史がやりたい。学芸員になりたい」と強く思うようになり、24歳の時にはじめて日本史学の門を叩きました。そして大学院に進学し、念願が叶って学芸員として就職することができました。
本当に強い思いがあれば、スタートの時期は関係ないと思います。就きたい仕事、取り組みたい学問があり、粘り強く頑張っていれば、実を結ぶ時がいつか必ず来る。そう実感しています。

大阪市立大学の日本中世史ゼミには、入門から就職まで、約10年間お世話になりました。
大学院時代は、自由な雰囲気の中で気兼ねなく学問に没頭することができ、充実した日々を過ごしました。コツコツと行う調べもの。一つの報告に対して徹底的に考える研究会。現場を可能な限り隅々まで見て回るフィールドワーク。仲間との有意義な議論(たわいない雑談も楽しかったです)。
多くのことを学びましたが、今の仕事で役に立っていることの一つに、歴史学をどうやって社会に還元するかについて、その具体例を見聞できたことがあります。学芸員にとっても根幹のテーマです。
指導教員の仁木先生は、多くの史跡・文化財保存活動や、全国各地の歴史の調査研究活動に従事していて、立場や分野の違いを越えて、多くの方と協力しながら事業を進めていました。その様子は大変参考になりました。
また、地域博物館におけるアルバイトの経験が、さらに私の血肉となりました。

私のような地方の中小機関の学芸員になると、自分と同じ専門分野の人は周りにおらず、年齢も職種も多様という環境がほとんどだと思います。学問以外の仕事もたくさんこなさないといけません。
ですので就職してからの体験を踏まえると、学生時代にすべきことは、まずは時間が許す限り学問に取り組み、自分自身の専門分野の知識・能力を身に付けておくこと(就職すると学生時代ほど学問に時間が取れません)。そして、多様な知識や価値観を持つ人たちとの良い協力関係を築く心構えや方法を学んでおくことです。そのためには、積極的に外の世界に出向き、見聞し、視野を広げることが重要です。
大阪市立大学の日本中世史ゼミでは、それが可能だと思います。
学生の皆様には、それぞれの夢や目標に向かって、ぜひ頑張っていただきたいと思っています。

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