大阪市立大学感染症医療人材養成プログラム 第一版
Osaka City University Infection Training Program (OCU-ITP)
v.1.02
概要(文部科学省 公募より抜粋)
(現状・課題)
○ 今般の新型コロナウイルス等、感染症対応において、院内感染を防止しながら持続的に高度医療を提供することが求められることから、感染症部門に留まらず、医療に従事するあらゆる職種において、感染症及び感染症医療に関する知識・スキルを向上させる必要があるという教訓が得られた。
○ 医学部生等に対しては現在、感染症に関する一般的な概要等の教育は行われているが、今後は感染症の診断や感染症の特色を踏まえた対処法等、より専門的な教育・実習を教育カリキュラムに取り入れ、感染症に関する高度な知識を身につけた医療人材の養成が必要である。
(対応)
○ 感染症の診断や感染症の特色を踏まえた対処法等に関する教育プログラムを新たに導入し、その一環として、新たな教育の課程で必要となる医療用シミュレータや音声・映像録画機器等の実習用周辺機器を整備し、感染症に関するより高度な知識を養う。
総論
本学の全学生に対して、地域に貢献する大阪市立大学感染症医療人材養成プログラム(OCU-ITP)を実施することにより、感染症診療に対してより実践的、実用的スキルを備えた医療従事者の養成・輩出を目的とする。さらに、感染症専門医や感染管理看護師といった専門家の養成を拡充することで、本院だけでなく院外に貢献する拠点として、医療連携の強固、広域支援体制の構築を目的とする。今後、未曾有の感染症に遭遇した際に、即座に対応できる医療人材や、円滑かつ効率的な広域支援を可能とする医療提供体制が必要と考える。一方、本学は令和4年に大阪府立大学と統合し、新たに獣医学科やリハビリテーション学科と連携する予定である。そのため、より一層の多職種連携を見据えて、本事業を展開する必要がある。
主な事業内容
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① 本院および地域の多職種が関わる現場の取り組みや知識を学習し、多角的な視点を養う。
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② 臨場感のある映像教材を視聴し、臨床実習に向けた感染対策・予防に対する意識付けを行う。
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③ シミュレーション教育を導入し、感染症に対するより実践的・実用的なスキルを習得する。
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④ 他施設の感染症診療を体験し、それを共有することで、現場にむかう心構えを身につける。
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⑤ 本院および地域を含めた多職種が関わる現場の取り組みや知識を学習することで、多角的な視点を養う。また、標準予防策演習では手指消毒やPPE着脱といった基本的な手技を習得する。
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⑥ 状況に応じた対応力を養い、臨床実習に向けた感染対策・予防に対する意識付けを行う。
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⑦ シミュレーション教育を導入し、感染症に対するより実践的・実用的なスキルを習得する。他施設の感染症診療を体験し、それを共有することで、現場にむかう心構えを身につける。
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⑧ 客観的評価を行うことで、感染症に対する看護実践能力の質を担保する。
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⑨ 感染対策における経験や学びを促進し、実際の臨床現場での職種間の協調をより円滑にする。
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⑩ 感染対策・予防には、常に最新の知識の習得・定着とともに、基本の徹底が重要と考える。
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⑪ 感染対策の底上げと強化を行い、屋根瓦式の人材育成体制を確立する。
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⑫ 他施設を含めた感染症診療の質改善を行い、地域と連携した感染対策の推進につなげる。
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⑬ マイルストーンを設定し追跡することで、目標にむけた進捗状況を確認し、自己評価の促進を支援する。またプログラムの継続的改善に活用する。
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⑭ 検体の採取から処理に至る過程を学ぶことで、検査の原理や感染予防等の理解を深める。
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⑮ ⅰ) グローバルな感染症に対応できるⅱ) 社会医学的な観点から科学的根拠に基づいた判断ができるⅲ)より高度な感染対策を安全に実施できる、人材を養成する。
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⑯ 未曾有の感染症に対応できる人材の養成と、地域を含め感染制御について連携・支援を行う。
2021年度の補助事業実施計画
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① 早期臨床実習I, IIにおいて、学習管理システムを使用した、本学、市中病院や地域診療所の多職種による感染症講義(感染対策、ワクチン接種等)を実施する。
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② 早期臨床実習IIIにおいて、バーチャルリアリティー(VR)等を用いた感染対策予防演習(手指消毒、PPE着脱)を実施する。
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③ 臨床実習において、シミュレーション教育(PPE着脱、救命救急対応、予防接種等)を実施する。
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④ 選択臨床実習において、他施設の感染症診療への参加と情報共有会を開催する。
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⑤ 早期体験実習において、本学、市中病院や地域診療所の多職種による感染症講義(代表的な微生物の知識、ワクチン接種等)と標準予防策演習(手指消毒、PPE着脱)を医学科と合同で実施する。
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⑥ 基礎看護学演習において、VR等を用いて状況設定に応じた感染対策予防演習を実施する。
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⑦ 成人看護学演習IIにおいて、医学科同様にシミュレーション教育を実施する。統合看護実習において、他施設の感染症診療への参加と情報共有会を医学科と合同で開催する。
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⑧ 感染予防の実践力を客観的に評価するためのルーブリックを作成し、演習に導入する。
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⑨ 現場での経験が浅い医療従事者に対し、実践的学習の提供と多職種間シミュレーション教育による感染対策研修を実施する。
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⑩ 現場での経験が豊富な医療従事者に対し、上記に加え、感染対策の基本動作の習得を徹底する。
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⑪ 診療部長、師長等の上級スタッフに対し、感染制御部によるシミュレーション教育での実践的な指導者講習会を実施する。
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⑫ 全医療従事者に対し、他施設への感染症診療の参加と感染対策研修を実施。
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⑬ 感染症医療人材育成用のポートフォリオを導入する。
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⑭ 新型感染症検査室での実習を導入する。
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⑮ 感染症科学研究センターによる感染症教育を導入する。
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⑯ 感染症専門医や感染管理看護師といった専門家を育成する。