FightingAMR

 抗菌薬適正使用を考えるきっかけとして、菌血症の治療をバーチャルで実施するゲームを開発しました。実際の抗菌薬の使用法とは異なるかもしれませんが、抗菌薬の使用量を可視化し、意識するようになることで、抗菌薬適正使用の支援につながるのではないかと考えました。あくまでも、ゲームであり、必ずしも、実際の症例やガイドラインに沿ったものではないことをご了承ください。治療終了後に、治療経過の振り返りが表示されますので参考にしてください。

  ゲームのルール  
 原因菌・耐性度・重症度*・腎機能(eGFR)などはランダムに振り分けられます。重症度が0になるまで治療を継続してください。重症度が40を超えた場合に治療失敗となります。また、腎機能の低下(eGFR 20未満)、血小板減少、Candida血症などにより治療失敗になることがあります。感受性の結果は2回の治療後に表示されます。初期条件によっては、適正使用を実施しても治療が失敗することがあります。また、治癒を目指すことは大前提ですが、できるだけ特定抗菌薬(広域βラクタム系薬や抗MRSA薬)を使用せずに治療できないかを考えながら治療薬を選択してください。
 それではチャレンジしてみてください。
*重症度は、本ゲーム内の独自のスコア設定となっております。

  開始方法と継続方法  
 レベルボタンのいずれかををクリックすると、症例1が開始します。レベルの相違は、症例1で出現する原因菌の種類で、レベルが高いほど原因菌の種類や耐性菌が増えます。例えば、レベル1AではMSSAのみ、1BではABPC感受性大腸菌のみ、2AではMSSAとABPC感受性大腸菌のみ、2BではMSSAとMRSAのみとなっています。レベル3はESBL産生菌も出現します。レベル4ではさらに耐性菌の頻度が上昇します。ただし、症例1のみに適応され、症例2以降はレベルによって原因菌に相違はありません。
 症例が終わるごとに、「もう一度」「次の症例」「関連問題に挑戦」「学びを深める」「ゲームの設定」のボタンが表示されます。 「もう一度」をクリックすると、レベル選択画面(初期画面)となり、これまでの症例がリセットされます。「次の症例」をクリックすると、症例を積み重ねることができます。抗菌薬の使い方により、耐性菌の出現頻度が上がります。「関連問題に挑戦」では、症例に関連した問題が出題されます。1症例につき1回のみ回答することができます。「学びを深める」や「ゲームの設定」も是非確認してみてください。きっと新しい発見があると思います。

以下のいずれかのボタンをクリックしてください
こちらに抗菌薬の使用回数が表示されます。
適正使用に心がけてください。
抗菌薬使用回数
ABPC0
TAZ/PIPC0
CEZ0
CTRX0
CAZ0
CFPM0
MEPM0
VCM0
ABK0
LZD0
Access0
Watch0
Reserve0
尚、特定抗菌薬には以下が含まれます。
略語など

AWaRe分類

 AWaRe分類は、抗菌薬の適切な使用を促進し、抗菌薬耐性の拡散を抑制するために世界保健機関(WHO)が導入した分類システムです。AWaReは "Access", "Watch", "Reserve" の頭文字から取られています。WHOは抗菌薬使用全体のうちAccessの割合を60%以上にすることを目標として掲げています。


DASC

 Days of Antibiotic Spectrum Coverageです。DASC=抗菌薬の使用日数×ASCスコアで計算されます。ASCスコアとは抗菌薬ごとに定められたスペクトルの広さを示す定数で、以下の論文に計算方法や77の各抗菌薬のASCスコアが定義されています。

  1. Kakiuchi S et al. Days of Antibiotic Spectrum Coverage: A Novel Metric for Inpatient Antibiotic Consumption. Clin Infect Dis. 2022 Sep 10;75(4):567-576. doi: 10.1093/cid/ciab1034. PMID: 34910130.

各抗菌薬のASC

ABPC:5, TAZ/PIPC:11, CEZ:3, CTRX:6, CAZ:6, CFPM:8, MEPM:12, VCM:5, ABK:5, LZD:6
ABKについては、論文中に記載がないため、ゲーム内では5で設定しています。ABKの算出に際しては、以下のようにしました。
S. aureus 1 + Streptococcus spp. 1 + E. faecalis 1 + MRSA 1 + PRSP1 = 5

■■■■■■ お願い ■■■■■■
 本ゲームは個人用で使用する場合には原則としてフリーです。悪用しない限り、ソースコードの変更も可能です。しかしながら、ソースコードを変更後は、出典を示すとともに、変更箇所を明示し、変更に伴うエラーやバグなどの対応は変更者でお願いいたします。
 また、本ゲームを何らかの研究や調査にご利用になる場合には、ゲーム終了後に表示されるお問い合わせから原作者の了承を得てください。
 本ゲームならびに関連するキャラクターなどの一切に関して、原作者の許可なく、特許や商標などの申請をしない、権利を独占しない、販売しないなどのマナーを守ってご利用ください。
 当然のことながら、ゲームだけで必要な知識や技術が直ちに身につくわけではありません。これをきっかけとして、抗菌薬適正使用にさらに関心を持っていただきたいと考えています。一回の挑戦では、初期設定の運も影響しますが、複数回チャレンジすると適正使用の重要性を実感できるのではないかと思います。治癒率だけではなく、特定抗菌薬の使用回数も確認することで、意識づけにつながると思います。
 さらに学びを深める工夫として、最後に、関連問題や解説ページを別途設けました。そちらにもぜひ挑戦してみてください。
最終改訂:2024年6月19日

経験症例のリスト

症例が終わるごとに、主要項目のリストが追加されます。

症例
重症度
体温
血圧
脈拍
呼吸数
GCS
qSOFA
eGFR
WBC
Plt
原因菌
ABPC
TAZ/PIPC
CEZ
CTRX
CAZ
CFPM
MEPM
VCM
ABK
LZD
抗菌薬インデックス*1
特定抗菌薬インデックス*1
DASC*2
Access使用比率*3
Watch使用比率*3
Reserve使用比率*3
抗菌薬適正使用体制加算
予後

*1抗菌薬インデックス、特定抗菌薬インデックスは本ゲーム独自のインデックスです。特定抗菌薬などの使用回数が増えると高くなり、耐性菌の出現頻度に影響を与えます。
なお、それぞれの算出方法は以下の通りです。
抗菌薬インデックス=DASCの合計/症例数
特定抗菌薬インデックス=特定抗菌薬使用回数/症例数 x 100(%)

*2DASC=抗菌薬の使用日数×ASCスコアで計算されます。

*3AWaRe分類の使用比率です。

経験症例のサマリー

症例が終わるごとに、サマリーが追加され、経験症例が蓄積されます。