図6 グラム陽性球菌の分類
 図7 ブドウ球菌の分類

黄色ブドウ球菌の学術的な位置付け

 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、グラム陽性球菌(gram positive cucci, GPC)のcluster(ブドウの房状)の代表的な細菌です。尚、同じGPCでも、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)はchain(連鎖状)です。clusterとchainの相違は、菌の並び方だけではなく、カタラーゼという酵素の有無でも分類できます。ブドウ球菌の場合は、団子になって「語ろーぜ」ということで、カタラーゼを持っています(図6)。
 さらに、団結力を高めるために、黄色ブドウ球菌は、血漿を凝固させるコアグラーゼという物質を産生します(図7)。コアグラーゼを産生することが、S. epidermidisなどの、コアグラーゼ非産生のStaphylococcus属(coagulase negative staphylococci, CNS)*と異なる特徴です。
*S. intermediusなど、黄色ブドウ球菌以外にもコアグラーゼを産生する菌種があります。