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研究概要
私達は電気生理学・光遺伝学・分子生物学・動物行動学的手法を用いて、記憶のメカニズムを調べています。
脳の情報処理は、巨大なネットワークの中でさまざまな解剖学的・時間的スケールにまたがる神経活動によって営まれています。局所回路を構成する個々の細胞が相互作用し、各脳領域が協調して働き、神経修飾系が時々刻々と脳状態を制御することで、脳全体として巧妙に機能しています。
私達は記憶のメカニズムをネットワークレベルで解明したいと考えています。そこで、行動中のマウスやラットの海馬とその関連領域からシリコンプローブ等を用いた大規模細胞外記録を行うことにより、百個程度の神経細胞の活動とフィールド電位を同時観察し、細胞間・領域間の相互作用や細胞集団の活動に着目して記憶の基盤となるメカニズムを調べています。
さらに、大規模細胞外記録法と光遺伝学を組み合わせて神経回路解析を行っています。具体的には、細胞種・経路特異的にオプシンを発現させることにより、記録している細胞の種類を同定し、さらにそれらの神経細胞の活動を人為的に操作しつつ同時に近傍のその他の細胞やネットワークの振る舞いを大規模細胞外記録法で観察することにより、局所回路における細胞種・経路特異的な役割を明らかにします。