消化器内科学
基本情報
臓器器官病態内科学講座 消化器内科学
代表者 藤原 靖弘教授
1967年 診療科として第3内科が新設されました。
1968年 消化器を専門とする内科学第3講座が開設されました。
2000年 大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学、肝胆膵病態内科学の二講座となり相互に協力しながら研究を行っています。
消化器内科学講座では口から肛門までの消化管全般を対象としています。消化管は食べ物を取り入れ消化、吸収、排泄を行っており、生活の維持に重要な役割を果たす臓器です。
また消化管は直接外界と交通しており免疫システムが発達した臓器ですが近年では消化管内に生息する細菌がさまざまな疾患と関連していることが解明されてきています。
我々は消化管を舞台とした疾患の病態解明、新規治療法の開発に取り組んでいます。なかでも消化管粘膜防御機構の解明、胃食道逆流症や機能性消化管障害、炎症性腸疾患の病態解明、消化管癌の治療、早期消化管癌の内視鏡診断、治療の解析に取り組むことで人類の健康に寄与したいと考えています。
- 場所
- 学舎 10階
- 連絡先
- TEL:06-6645-3811 MAIL:med-shoukakinaika@ml.omu.ac.jp
教育方針
学部教育
食道、胃、小腸、大腸の生理的特徴、それぞれの臓器における疾患の症候、診断、治療についての講義を通じて医師としての基礎知識を習得し、ベッドサイドではこれらの知識をもとに診断法、治療方針の立案ができることを目標とします。また消化器疾患の診療を通じて全人的医療を実践できることを目標とします。
臨床教育(研修医の育成)
日本内科学会、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本消化管学会などの認定医、専門医、指導医が多数在籍しており、各学会の専門医、指導医資格を取得できるように知識、技術について個別に指導します。また関連施設と緊密な連携をとることにより多種多様な疾患に対応できます。
研究指導
大学院では基礎研究、臨床研究によって学位取得が可能です。作業仮説の立案、評価、論文執筆について指導します。海外留学を希望する場合は相談に応じます。最近の海外留学実績ではハーバード大学ブリガム&ウィメンズ病院、香港中文大学、テキサス大学西南医療センターなどがあります。
研究について
概要
- 既存の診断・治療方法について精通するだけでなく、新しい診断方法や治療方法を創出する医師を育成することが当科の使命と考えます。そのために臨床研究とともに医学の発展に貢献できる基礎研究にも取り組んでいます。
- 臨床研究においては消化器疾患と睡眠障害の関連や薬剤性消化管障害の診断と治療、炎症性腸疾患の診断と治療、内視鏡検査における診断能や内視鏡治療の有効性などについて研究を行っています。大阪市立大学附属病院だけではなく、当科の関連施設をはじめとする多施設での臨床研究にも取り組んでいます。
- 基礎研究においては消化管粘膜防御機構と修復・再生機構、消化管癌の発生・増殖機構におけるプロスタグランジンの役割、炎症性腸疾患における小胞体ストレスの役割などについて取り組んでいます。
教室を代表する業績
- Epidemiology and clinical characteristics of GERD in the Japanese population. Fujiwara Y, Arakawa T. J Gastroenterol. 2009;44(6):518-34
- Non-steroidal anti-inflammatory drug-induced small intestinal damage is Toll-like receptor 4 dependent. Watanabe T, Higuchi K, Kobata A. et al. Gut. 2008 Feb;57(2):181-7.
主な研究内容
現在の主な研究テーマ
食道・胃・十二指腸・小腸疾患に関する研究
上部消化管グループ研究チームでは主に食道・胃・十二指腸・小腸疾患に関する研究を行っています。臨床研究では、非ステロイド系抗炎症薬や低用量アスピリンによる薬剤起因性消化管傷害、自律神経系から見た機能性胃腸症の病態解明とその治療法の検討、胃食道逆流症の病態解明、特に睡眠障害との関連性や治療法の確立、ヘリコバクター・ピロリ除菌成功後の胃癌の発症因子、消化管細菌叢の構成解析と消化器疾患への関与についての検討などを行っています。基礎的研究では分子生物学的手法を駆使した動物実験および細胞培養実験を行い、胃食道逆流症の病態の解明と予防・治療法、機能性胃腸症における腸管グリア細胞の病態への関与、消化管粘膜防御機構に関する研究、非ステロイド系抗炎症薬・低用量アスピリンや抗がん剤による薬剤起因性消化管傷害の病態とその予防法、胃癌におけるプロスタ グランジン代謝機構とその意義、炎症ネットワークや炎症シグナルからみた種々の消化管疾患の病態の解明などを行っています。
炎症性腸疾患の病態解明および診断、治療法の研究
炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎とクローン病は「難病の患者に対する医療等に関する法律」における指定難病であり、その病因、病態には遺伝的素因、環境因子、免疫異常などが関与していると考えられていますが、未解明な点が多くあります。当科では炎症性腸疾患における病因、病態を解明するべく免疫担当細胞の機能や、自然免疫応答について未熟形質細胞や小胞体ストレスに注目して基礎研究を行っています。また炎症性腸疾患の診断、評価においては様々なモダリティーを用いた検査法が開発されており、治療では生物学的製剤や免疫調節剤などが使用されるようになり大きな変化を遂げています。当科では大腸内視鏡だけでなく、カプセル内視鏡やバルーン内視鏡、MR enterographyなどを用いた炎症性腸疾患の診断能の研究や血清学的検討を用いた治療効果についての臨床研究を行っています。また難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班における多施設共同研究にも多数参加しています。
内視鏡検査・治療法に関する研究
当科では上部、下部消化管内視鏡検査だけではなく、胆道・膵臓疾患の診断や治療を含めた全内視鏡検査を行っています。特に大学病院ならではの市中病院では対応困難な専門領域として、診断では超音波内視鏡下穿刺吸引法を含む超音波内視鏡検査を行っておりこれを利用した治療も行っています。一方、これまでは診断が困難であった小腸疾患に関しても、カプセル内視鏡、バルーン内視鏡による診断・治療を行っています。
胆道癌、総胆管結石、膵癌などの胆膵系疾患については、内視鏡による診断や治療を行うと同時に、内視鏡検査後の膵炎発症における危険因子に関する研究やその予防法についての研究を行っています。また消化管の早期癌の最適な診断法についての研究や内視鏡治療成績、内視鏡治療による合併症予防などに関する研究を行っています。
臨床への取り組み
質の高い医療を提供し、地域医療の向上に寄与したいと考えます。また最新の高度医療を提供していきます。消化管内視鏡検査においては通常の上部および下部消化管内視鏡検査だけではなく、小腸および大腸カプセル内視鏡、バルーン内視鏡、超音波内視鏡、特殊光内視鏡を用いて最新の診断、治療を提供できるように取り組んでいます。また大阪公立大学附属病院先端予防医療部附属クリニック(Med City 21)と連携して予防医学にも貢献します。
スタッフ
教授 | 藤原 靖弘 |
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准教授 | 平良 高一、永見 康明、田中 史生 |
講師 |
鎌田 紀子、細見 周平、大谷 恒史、 福永 周生、灘谷 祐二、大南 雅揮 |
病院講師 |
丸山 紘嗣、西田 裕、東森 啓、沢田 明也、 田上 光治郎、垣谷 有紀、中田 理恵子、中田 晃暢 |
参考写真