クリパー通信 03
クリパー通信 03
外傷患者は、内因性疾患が隠れているという前提で診察せよ!
解説
外傷患者では、つい外傷にだけ目が行きがちであるが、背景に内因性疾患がある可能性を常に念頭に置く必要がある。
ある報告では、交通外傷のうち低血糖・不整脈・一過性脳虚血発作・失神といった内因性疾患が、0.43-3.43%の頻度で事故を誘発すると言われている
1)。
また、大腿骨頸部骨折は転倒により受傷することが多い。その転倒のリスクとして上記に加えてパーキンソン病・てんかんのような多数の内因性疾患が挙げられている
2)。
具体的には、高齢女性が、慣れた自宅の段差のない所で転倒したことが不自然だと感じ、さらに診察を進めたところ、実は高血糖による脱水でふらつき転倒した、といった例がある。
このように、外傷患者の受傷に至るまでの経過に少しでも不自然な点があれば、内因性疾患が潜んでいる可能性を考えなければならない。
参考文献
- 田熊清継, 他. 内因性疾患による交通外傷の検討. 日救急医会誌 2006;17:177-82.
- Anthony D Woolf, et al. Preventing fractures in elderly people. BMJ 2003;327:89-95.
文責:幕内安弥子