クリパー通信 04

クリパー通信 04

原因のわからない腹痛にはカーネット徴候をチェックしよう!

解説

CTや内視鏡検査など各種検査で異常はがない腹痛の鑑別として前皮神経絞扼症候群(anterior cutaneous nerve entrapment syndrome)がある。

前皮神経絞扼症候群は第7~第12胸椎に由来する肋間神経の前皮枝が腹直筋を貫く部位にて絞扼されることによって生じる。疼痛は腹直筋鞘の辺縁に狭い範囲に発生する事が多い。腹壁が緊張する動作(ストレッチ、くしゃみ、笑うなど)によって疼痛は悪化する。前皮神経絞扼症候群は腹壁由来の疼痛であり、カーネット徴候※が陽性(約80%)となる。ある報告では救急外来を受診した腹痛患者の2%が前皮神経絞扼症候群の患者であった。治療はトリガーポイント注射や外科的治療が選択肢となる。

各種検査で原因のわからない腹痛に対しては前皮神経絞扼症候群を念頭において診察をすべきである。

※カーネット徴候:臥位で疼痛部位を押しながら、腹壁が緊張する動作(下肢挙上や頭部挙上)をおこなう。疼痛が悪化すれば陽性とする。

参考文献

  • Mol FMU,et al. Characteristics of 1116 Consecutive Patients Diagnosed With Anterior Cutaneous Nerve Entrapment Syndrome (ACNES). Ann Surg. 2021 Feb 1;273(2):373-378.
  • van Assen T,et al, Incidence of abdominal pain due to the anterior cutaneous nerve entrapment syndrome in an emergency department. Scand J Trauma Resusc Emerg Med. 2015 Feb 8;23:19.