● アブストラクト
(1) 山名俊介(京都大学)
タイトルの通り、池田リフトの四元数体上のユニタリ群でのanalogyを構成します。
具体的には、有理数体上のdefinite四元数体上の正則構造を持つユニタリ群の場合に、Siegel Seriesのnon-trivial partを用いたFourier展開のexplicit
formulaによりliftingを与えます。
Satake parameterの間の対応も与えられ、2次の場合には、Kriegの考えたMaass liftingと一致しています。
(2) 安田貴徳(九州大学)
数体上の四元数体$D$のノルムから得られる2次空間の特殊直交群$SO(D)$のcusp保型形式は$D^{\times}$の2つのcusp保型形式の(テンソル)積で作ることができる。そのうち片方のcusp形式を定数関数とした場合、そのテータリフトで得られる$Sp(2)$のcusp保型形式は齋藤黒川表現になると考えられている。この講演ではこのリフトの四元数的内部形式版を考える。特に内部形式ならではの重複度1が崩れている例を与える。
(3) 成田宏秋(大阪市立大学)
楕円尖点形式と四元数体の乗法群上の保型形式の組からテータリフトという操作により、四元数ユニタリー群Sp(1,1)上の保型形式で「無限素点で四元数離散系列表現を生成する」という表現論的特徴づけを持つのもが与えられる(荒川リフトと呼ぶ)。
本講演では、このテータリフトについて明示的なフーリエ展開を与える。正確には、通常のフーリエ係数を更に虚2次体が定めるトーラス群上のユニタリー指標で展開し、そのような展開係数が持ち上げられる2つの保型形式のトーラス積分の積で書けることを示す。そしてそれに係る定数因子も具体的に決定する。このトーラス積分はWaldspurgerの仕事等から、保型L関数との関連が期待されこのテータリフトのフーリエ係数の数論的性質を反映するものと考えられる(村瀬篤氏との共同研究)。
(4) 若槻聡(金沢大学)
セルバーグ跡公式による2次のジーゲルカスプ形式の空間の明示的次元公式の計算について述べる。
また、その応用の一つである、paramodular formの空間とSp(2)のcompact twist上の保型形式の空間に関する次元の比較について述べる。
この研究は伊吹山知義氏との共同研究である。
(5) 早田孝博(山形大学)
算術的部分群の複素コホモロジーは保型形式を係数にもつ (g,K)-コホモロジーで計算される。ここでは四元数ユニタリ群を例にとってアイゼンシュタイン級数の正則値あるいは留数で代表されるコホモロジーの計算の様子を紹介したい。 |
|
|