数学、物理学、(生)化学等の科学において結び目に興味をもつ大学院学生を増加させ、ハイレベルの若手の国際的な結び目理論研究者を育成するために、以下の計画を実行する。
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数学研究所の任期付教員,COE研究所員の採用
任期付教員の公募や、結び目関連でCOE上級研究所員(給与付)(4名以内)、COE(無給)研究所員(6名以内、研究費付)の公募を、結び目を焦点とする広角度の数学の研究を行なっている学位取得見込みの大学院学生やPD(数学に限定しない)に対して行い,当該研究のDC学生に学位取得の意欲を促す。
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特に優秀な大学院学生への研究補助
特に優秀なDC学生を、TAやRAとして採用する(それぞれ2名以内)。
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大学院学生の研究レベルでの接触
毎日のティータイムなどの機会を利用して、任期付教員、COE(上級、無給)研究所員を含めた研究所関係研究者達と積極的に研究レベルで接触させ、考え方などを習得させる。
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英語で数学が議論できるようにすること
数学は国際的な学問であり、外国と連絡を取り合うことが日常的に行われている。今日では(英語圏に限らず)外国の数学者との連絡をとる場合や、数学の国際会議や国際的なセミナーでの講演などでも、英語が共通言語になっている。このことから、学部学生や大学院学生を対象に講座「数学のための英語」(mathematical English)を創設し、英語で数学が読み書きできるようにする。
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数学の計算のためのコンピュータプログラムの教育
結び目理論をはじめとした数学の研究には、コンピュータを用いた計算が度々必要であり、種々の計算ソフトも開発されている。学部学生と大学院学生を対象にコンピュータソフトの演習の機会を設ける。
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大学院学生やPDのセミナー参加と研究内容のレビュー
大阪市大の大学院学生やPDばかりでなく、他大学の結び目理論に興味を持っている大学院学生やPDにも(遠方の大学院学生やPDには予算の範囲内で旅費補助を行う等して)種々のセミナーに参加してもらう。またセミナーや自主セミナーの適当な折に、大学院学生やPDの研究内容の話をする機会を設け、セミナー出席者達のレビューを受けさせる。大学院学生やPDの話についても記録に留める。
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大学院学生やPDの海外研修の支援
海外で行われる国際会議への大学院学生やPDの講演申込みを奨励し、招待された大学院学生には、旅費補助のみならず、招聘研究者をはじめとした国内外の研究者による講演内容についての多面的なチェックやアドバイスなどの支援を行う。
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結び目理論の基礎概念と科学研究への応用され方についての学部レベルでの普及
米国の中等教育と結び目理論について、樹下眞一氏(米国在住)(元フロリダ州立大学教授;元関西学院大学教授)から、2001年9月20日付けの手紙で、日本の中学2年にあたる米国の学校の幾何学の教科書には、トポロジーが一筆書きの問題などを使って説明され、その終わりにつぎの文章があるとの連絡を受けた。“Researchers have also used a branch of topology called knot theory to study the structures of complex, tangled structures such as DNA molecules.”(研究者達は結び目理論と呼ばれるトポロジーの研究分野を利用して、DNA分子のような複雑に絡み合った構造物のしくみを研究した。) この報告からみると、日本での結び目理論普及の取組みは遅れているようである。結び目理論の基礎概念や科学研究への応用のされ方について、種々の講義の機会を利用して早い段階で学ばせる。
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