研究成果

2020年9月4日

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天尾豊教授と院生との研究成果のプレスリリースが発行されました

金属イオンを添加するだけで、二酸化炭素固定化酵素の 触媒活性を向上させることに成功!

本研究のポイント

  • 有機分子に二酸化炭素をカルボキシ基※1として結合する反応を促進するリンゴ酸酵素※2の活性を向上させることは効率的な二酸化炭素固定に重要。
  • アルミニウムイオンを添加するだけでリンゴ酸酵素の触媒活性を向上させることに成功。
  • 二酸化炭素を有機分子に固定・貯蔵可能な色素と酵素を複合化した人工光合成系の実現に向け、二酸化炭素固定に関与する酵素の活性を簡便な方法で制御する重要な指針となる。

概要

 大阪市立大学 人工光合成研究センターの天尾 豊 教授と大学院理学研究科 物質分子系専攻の片桐 毅之 大学院生(後期博士課程2年・日本学術振興会特別研究員)は、二酸化炭素をピルビン酸※3に固定化し、リンゴ酸※4を生成する反応を触媒するリンゴ酸酵素の活性に関して、アルミニウムイオンを添加するだけで向上させることに成功しました。

 二酸化炭素をピルビン酸にカルボキシ基として導入することでリンゴ酸を生成可能な人工光合成技術では、炭素数3のピルビン酸に二酸化炭素を結合して、炭素数4のリンゴ酸に変換する反応を触媒する「リンゴ酸酵素」の活性化が重要です。今回、私たちはリンゴ酸酵素の触媒活性を一般的な金属イオンを加えて向上させることに成功しました。

 本研究成果は、Royal Society of Chemistry(王立化学会)が発刊する『New Journal of Chemistry』にオンライン掲載されました。

※1カルボキシ基…重要な有機化合物であるカルボン酸を構成する官能基(-COOH)。
※2リンゴ酸酵素…リンゴ酸とピルビン酸の相互変換を触媒する酸化的脱炭酸酵素。
※3ピルビン酸…カルボン酸の一種。解糖系、アミノ酸・脂肪酸代謝における重要な中間物質。
※4リンゴ酸…カルボン酸の一種。食品・工業的にも広い用途を有する有機化合物。

資金情報

 本研究の成果は、学術研究助成基金助成金国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))、科学研究費補助金新学術領域研究及び日本学術振興会特別研究員奨励費によって得られたものです。

掲載紙情報

発表雑誌: New Journal of Chemistry (Royal Society of Chemistry)
論文名: Trivalent metal ion promotes malic enzyme-catalyzed building carbon-carbon bonds from CO2 and pyruvateTrivalent metal ion promotes malic enzyme-catalyzed building carbon-carbon bonds from CO2 and pyruvate
著     者: KATAGIRI, Takayuki, AMAO, Yutaka
掲載URL: https://doi.org/10.1039/D0NJ03449E

⇒プレスリリース全文 (PDF: 350.2KB)

掲載元:大阪市立大学 website