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2015年9月25日
アメリカ・イリノイ州にて訪問した学校、関連施設、機関における見学内容や研究者及び実践家による専門講義内容を簡単に紹介。
具体的内容は、「子育て教育系キャリア・コラボ力育成2010年度報告書」参照
●IASSW(イリノイスクールソーシャルワーク)協会;Mike Lingendorf氏よりイリノイの人口は1200万人で、だいたい250万人の児童が学校へ通う。それに対し、イリノイには3300人のSSWerがいる。SSWerは、それぞれの各学校が独自にSSWerの必要性を判断し、SSWerをイリノイSSW協会を通じてSSWer雇うという。
Mike Lingendorf氏により、スクールソーシャルワーカーの全体像、協会の役割、SSWerの制度を良くするためについての講義。
;メアリーブラグ氏(SSWer、次期会長)より『スクールソーシャルワーカーは、看護婦と考えるといい比較である。私は、学校で子ども達がどのような態度で授業を受けるべきか教えたり、子どもの家族が 地域のつながり、両親といい関係をたもっていることを確認したり。SSWerは子どもが学校で学べるようその準備をしてあげるという仕事』であるとメア リーブラグ氏は語る。
イリノイSSW協会の次期会長メアリーブラグ氏による、スクールソーシャルワーカーの仕事やゴールについての講義。
●Jane Addams College of Social Work でのプレゼンテーション;カサンドラ&アネット教授よりDr. Cassandra Mckay-Jackson とProfessor Annette Johnson によるプレゼンテーション。主に、シカゴ市内の学校で取り組まれている、SEL(Social Emotional Learning)を統合させたスクールソーシャルワーク実践という、発展的なアプローチについて、またEBP(Evidence Based Practice)について講義。http://www.uic.edu/jaddams/college/
≪SEL(Social Emotional Learning)とは≫ソーシャルエモーショナルラーニングとは、感情をコントロールでき、他への共感、気遣いができ、良い人間関係を築け、責任感ある決定能力を持ち、困難な決 断も有効的にできる、これらすべてのスキルを取得する過程のこという。イリノイ州は全米でもSELの起用において最先端を行く州である。
また、SSWerがどのようにSELをマイクロ、マクロそしてメゾレベルでSSWerのサービスの一つとして学校に取り込ませ、実践することが可能か、SELをクリティカルサービスラーニングと結びつけることの重要さなどについて講義。
●Evidence Based Practice について;Michael Kelly氏よりアメリカにおけるSSWは100年の歴史をもって、移民の子どもを家から学校へ連れてゆくという仕事に始まりであることなど、アメリカにおけるSSWの歴 史や仕事内容、SSWの特徴について講義。また、3人の教授と共同で書いた本「School Social Work: An Evidence-Informed Framework for Practice;スクールソーシャルワーク:実践のためのインフォームドされた実証をもとにした骨組み」を中心にEvidence Based Practiceとその成果について講義。
●Hull House 見学近代社会福祉の母といわれるジェーン・アダムズによって創設されたアメリカで初めてのセツルメントハウスであるHull Houseを見学。http://www.hullhouse.org/
●Dr. Dave Stovall によるプレゼンテーションイリノイ大学教授、教育学の研究者Dr. Dave Stovall氏よりアフリカンアメリカン、ラテン系が主に持つ教育上のハンディから来る、犯罪への関わりや生活上の問題などを研究し、さらに高校生に大学の教育機会を与える などの方法論や、教授法など追求している。ハンデを持つ子どもたちに、勉強に目を向けさせ、進学率を上げることで、問題を予防することができると熱く語 る。
●Jane Addams College of Social Work でのプレゼンテーションイリノイ大学のスクールソーシャルワークの実習に出向く学生への授業のなかで、教員、大学院生に向けて日本のスクールソーシャルワークの紹介を府大山野教授から、日本の養成カリキュラムの状況を府大の学生2名から、英語で紹介。
●イリノイ大学シカゴ校カレッジプレップ 訪問;charter school—UIC Prep. Jim Lynn氏より「生徒の成績のみで生徒を判断することに意義を唱えようとすること、また他の面から生徒を見る目的がこのチャータースクールの始まりだといえる。イリノイ 州のなかで、たくさんのチャータースクールがある。ここが属する地域の高校だけでも10校あります。2、3年で13校まで増える。チャータースクールが出 来たもう一つの理由は、ミネアポリスが最初で、教育に対しての絶望感から来ている。学校の運営費の地域による限界とあり方、教育がもっと平等に行き渡るよ うすべきだという要望から」とJim Lynn氏は語る。
また、SSWer派遣の経緯やSSWerの具体的な仕事内容などについて講義。
●King College Prep High School 訪問大学への入学に備え、様々な分野(アート、音楽、英語、科学など)の技術や内容を学ぶ学校。多くの障がいを持つ生徒も同じ校舎で学んでいる。スクールソーシャルワーカーは「すべての学生を視野に入れた活動を行っている」と30歳で校長に就任したライト校長は語る。http://kingcollegeprep.org/kcpweb/●Youth Guidance 訪問子どもが十分な教育が受けられるように様々なサービスを提供するNPO。http://www.youth-guidance.org/YG/YGMAINS.nsf
≪ユースガイダンスとは≫ユースガイダンスという団体は、100年の歴史をもつ非営利団体で、運営は州からの補助金や助成金からまかなっている。過去50年シカゴパブリックスクー ルともに働いてきた。公立校にある問題を共に解決してきている。生徒へのカウンセリング、先生と共同での問題に取り組み、先生が抱える生徒の問題の理解へ の支援など、学校と大変近い関係で、学校にいる深刻な問題を抱えた生徒に取り組む。
●DCFS(Department of Children and Family Services) 訪問DCFSは日本で言う児童相談所に近い機関。子供の保護、家庭に戻ってからの子供の環境の安全性の向上、家族の強化対策等をミッションとしている。ランチタイムを共にしながら学生へのレクチャー、熱く意見交換。http://www.state.il.us/dcfs/index.shtml
≪DCFS≫DCFSの目的は、報告された子どもの保護、そして家庭へ戻ってからの子どもの環境の安全性の向上。新規のプログラムとして実践している家族の強化対策、 またトレーニングを通して、家族に必要なサービスを提供し、子どもがまたその家族へ戻れるようにし、安全な環境で住めるようにする事。
≪LANS:The Child and Family Local Area Networks≫1980年、DCFSのクライアントによって訴えられたことにより、DCFSの活動は地域とともに問題へ取り組む姿勢をとりいれ子どもとその家族を支援す ることになった。もっと家族や子どもへ有効的な支援を与えられる機関が必要だという理由でこのDCFS地域窓口(LANS)が設立。改善されたサービスの 内容とは、クライアントを中心に、家族に焦点を置く事。そこで新しいケア(システム・オブ・ケア)を発展させた。このシステム・オブ・ケアとは、他の機関 とパートナーとなる、州また地域の機関、エージェンシー、団体と共同で、個々のサービスの提供を共同して子どもとその家族へ提供する事。
●Alternatives Youth 見学http://www.alternativesyouth.org/
≪Alternatives Youthとは≫Alternatives Youthは地域の非営利団体で、子どもまた若者、そして家族のための団体です。個人団体でDCFSのように州や市の運営ではなく、プライベートで、公的 な助成金や補助金、また寄付金、個人資金団体または個人の援助金で運営している。対象とする年齢は8歳から24歳まで。若者の発達、家族関係の強化、地域の幸福などの為に活動の場を提供している非営利団体。50人のフルタイムスタッフと、175人以上のボランティアによ り、毎年3,000人以上の若者と家族を支えている。利用者は40%がラテン系、37%がアフリカンアメリカン、残り23%は白人、アジア系など。2/3 が低所得世帯、1/3が片親家庭。写真の美しい外壁は子どもたちによってデザイン、製作されたもの。これもプログラムのひとつであり、子どもたちは技術を学び、成果によって報酬を得る仕組み。他にも、放課後のアクティビティのひとつであるサーカスは、全米でも有名。
Dr. Carol Massat氏;今回のスタディツアーでお世話になったイリノイ州立大学の教授。スクールソーシャルワークに関する論文を数多く執筆している、全米に配信されるスクールソーシャルワーカージャーナルの編集長。
(編集責任:山野則子/編集補助:森戸和弥)
具体的内容は、「子育て教育系キャリア・コラボ力育成2010年度報告書」参照http://opu-collabo.com/admin/document/4イリノイスタディツアー最終.pdf