研究科長/学部長挨拶

研究科長/学部長挨拶

研究科長/学部長 小嵜 正敏

学部長/研究科長 小嵜 正敏

 

理学で感じる純粋な知的欲求を満たす喜び

 

 理学は広範な自然科学のなかにある様々な謎や不思議を解明し自然の真理を探究する学問であり、理学によって純粋な知的欲求を満たすことができます。何かを知りたいという知的欲求は、「何があるのだろう?」、「なぜこうなるのだろう?」という純粋な好奇心や探求心から生まれてきます。好奇心や探求心はすべての人が生まれつきもっているものであり、知的欲求が満たされることで自然と心が満たされ喜びや感動が生まれます。私たちは一つを知れば、さらに次が気になります。学習によって知識が増えることは、私たちが立つ場所が高くなることに例えることができます。高い場所に立って周りを眺めると以前に立っていた低い場所とは異なった景色を見ることができます。するとより高い場所に立ちたくなります。また、低い場所より見える範囲も広くなり見えない領域との境界線も長くなります。すると自分がもっている知識の先にある自分が知らないことが見つかり、好奇心や探求心が刺激され知的欲求が生まれてきます。理学の学びや研究は、知らないことやわからないことの発見とその解明の繰り返しであり、自然科学の分野で広い範囲を遠くまで理解することにつながります。一人が見つけた知見を多くの人と共有することで、人類は自然科学の知識を豊富に蓄積し知識の範囲を拡大してきました。自然科学の知識の拡大と蓄積は私たちの心や生活を豊かにするために必要不可欠なものです。理学を学ぶことや理学の研究は知的好奇心を満たす活動であり、強い好奇心と探求心をもち続けることで楽しくわくわくしながら進めることができます。知る喜びを感じて歩み続けることで、自然科学の分野でこれまで誰も見たことが無いものを見ることや誰も知らなかったことを知ることができます。その時、私たちは新たな喜びと大きな感動を手に入れることができます。

大阪公立大学理学部における学びと挑戦

 

 大阪公立大学の理学部・理学研究科は、大阪市立大学、大阪府立大学が統合して20224月に新たに誕生した国内でも有数の規模を誇る理学部・理学研究科です。数学科/数学専攻、物理学科/物理学専攻、化学科/化学専攻、生物学科/生物学専攻、地球学科/地球学専攻、生物化学科/生物化学専攻の6学科/6専攻があり自然科学の全ての分野を対象として教育研究活動を行っています。理学部・理学研究科には、学生の教育研究を支える最先端の設備と機器が設置されています。さらに、協創研究センター、数学研究所、南部陽一郎物理学研究所、付属植物園、人工光合成センターなどの付属研究所や施設と連携しており、学生の活動を支援する体制が充実しています。2024年度には、理学分野での教育・研究の国際化を推進するため理学国際教育研究センター(International Research and Education Center: IREC)を設立し、グローバルに活躍できる人材の育成に取り組んでいます。それぞれの分野の最先端で活躍している研究者である理学部・理学研究科の教員が学生の教育研究指導を担当します。

 理学部・理学研究科での学びはこれまで蓄積されてきた自然科学の知識を学習することから始まります。学生の知的好奇心を満たし、それぞれが選んだ専門分野を中心として自然科学の広い範囲を眺めるために知識の階段を上がっていきます。既存知識やその延長で推測できることには限界があるため、学びが進むと「誰も知らない」、「誰もできない」未解決の問題や課題に出会います。すなわち、既存の知識を積み重ねるだけでは、答えを導くことができない問題や解決できない課題を見つけます。理学部での学びが進むと学生は教員の指導の下で、未解決の問題の答えを世界に先駆けて見つけることに取り組み、自然科学の知識拡大に挑戦します。理学研究科において、学生は最先端の研究に主体的に取り組みさまざまな未解決問題の解決に挑戦します。研究活動の成果によって、「誰も知らなかったこと」が明らかになり「誰もできなかったこと」が可能になります。教育研究活動を通じて学生は知識を蓄積し論理的な思考力を身に着けるとともに、知的欲求を満たし達成感や満足感を得ることができます。試験対策の学習では記憶力や既存概念の応用が重要ですが、これらは人工知能にはかないません。一方、自然科学の研究においては独創性や新規性が重要であり、これまでなかった新しい概念を創造する力や鋭い洞察力が私たちに求められます。このような能力は人の特別な能力であり、全ての人がもっています。理学部・理学研究科の学びと研究は、学生のもっている創造力や洞察力を向上させることにつながります。

 理学部・理学研究科では、誰も知らないことの解明や誰もできなかったことを可能にすることに挑戦し、その成果を世界に向けて発信しています。私たちの活動の原点は知的欲求を満たすことであり、得られる喜びや感動は私たちが前進する力の源になっています。