Research Topics
2023年4月19日
断層深部領域における石英中の水の挙動
当専攻の福田惇一准教授、奥平敬元教授らの研究成果が科学誌「Solid Earth」に掲載されました。
概要
大陸地殻10数km以深の断層深部領域において、岩石鉱物は伸びて変形し(塑性変形)、地震発生領域に歪を蓄積させます。そして、歪の開放、すなわち岩石の破壊が地震となります。塑性変形は岩石鉱物中の不純物である「水」によって促進されることから、実際の断層深部での水の挙動を理解することは重要です。
著者らは地殻の主要構成鉱物である石英の含水量について、赤外分光法を用いて分析しました。その結果、石英が塑性変形する際に起こる粒径減少と共に、含水量が減少することを見出しました。このことから、断層深部領域において、石英の塑性変形の進展と共に水が放出されることを明らかにしました。この結果は、断層深部領域において、水が石英内部に保持されている状態から、放出され周囲に分布するようになることを示す重要な知見です。
論文情報
Fukuda J., Okudaira T., Ohtomo Y. (2023) Water release and homogenization by dynamic recrystallization of quartz. Solid Earth. vol. 14, pp. 409-424 [リンク]